開催日:平成29年12月6日
日本共産党葛飾区議会議員団を代表して、区政一般質問を行います。
まず、11月29日、早朝の北朝鮮のミサイル発射は、度重なる暴挙であり厳しく抗議しなければなりません。しかし、米国が「あらゆるオプション」と表明していることから、圧力の強化を叫ぶことはあまりにも危険です。戦争は絶対に避けなければならず、国際社会との連携で「対話」の実現のために、重ねて外交努力が必要だと表明します。
さて、11月12日投票で行われた区議会議員・区長選挙について伺います。この選挙をマスコミは、どう報じていたでしょうか。
11月6日付の東京新聞は、四段見出しで「庁舎建て替えなど問う」、同日の朝日新聞は、「葛飾区長選に2氏、庁舎移転など争点」、翌日発行の都政新報も「庁舎移転整備が争点」と報じました。その他の新聞も、表現はいろいろ異なりますが、木原敬一候補が、「庁舎移転反対」を鮮明に打ち出しているのに対し、青木区長はそのことには一切、触れずにいることは無責任だといわなければなりません。
わが党は、これまでも主張してきたように、「まだまだ使用できる区役所の建て替えは許されない、立石駅北口再開発と区役所庁舎移転関係の費用がいくらかかるかわからないというのも無責任ではないか」と主張し続けてきました。
選挙戦の中でも、豊島区役所が再開発計画での問題点も挙げて、際限のない税金投入になりかねないことについて警鐘を鳴らしてきました。区有地を賃貸し収入をあげて再開発ビルの保留床を買えば、お金がかからず区役所ができるというものでした。しかし、区有地の収入は地価の下落で減ってしまい、再開発は見直すたびに保留床が高騰し、現時点で200億円の赤字になり、地価の下落と計画変更次第では、さらに赤字が多くなるというものです。
再開発の保留床の購入という方式は、場合によっては際限のない税金投入となる危険があります。
本区でも、亀有駅の再開発ビルの7階が開いてしまい、やむなく税金投入したばかりではありませんか。全国的にも、破たんした再開発ビルのために多額の税金投入が行われている例は枚挙にいとまがありません。
庁舎建替え移転反対を訴えた候補の得票が、四年前の区長選では3万6千から今回の選挙では5 万以上となりました。この区民の声をどのように認識されているのか、区長の答弁を求めるものです。
この選挙戦で、区長は、これほど明確な問題点を提起しているのに、なぜ、区民に語ろうとしなかったのか、明確な答弁を求めます。
重大なのは、8年前も、4年前も選挙が終わるたびに、庁舎建て替え方針のギアをあげていることです。8年前は、現庁舎について、10年後に耐震補強を行えば、19年は使用できるとし、その時点で判断するというものでしたが、突如、立石駅北口再開発ビルに10年後に移転することと方針転換をしたからです。
さらに、4年前は、やはり庁舎移転については語らず、子育て支援施設の整備方針で全児童館・区立学童保育クラブの廃止方針、保健センターの廃止、区役所より古い学校の建て替えも絞り込みなどを続けて打ち出しました。
青木区長は、少子高齢者対策が、区政の最重要課題といいつつ、こうした区民のための公共施設の相次ぐ廃止宣言は、矛盾しているのではないでしょうか。
きちんと自らやろうとしていることについて説明責任を果たして、ことを進めていくのが、民主主義のルールです。
区長選挙の結果は、前回比で区長に対する批判が増加していることは明らかです。庁舎については、一切語らず、自らのアピールに終始して、多数を得たとしても、区民は白紙委任したわけではありません。
再開発を前提にした庁舎移転計画の抜本的見直すべきと思うがどうか。
開票結果を報じた、都政新報の11月14日の記事では、区長信任派は26名と報道し、満点には至らずとのサブタイトルが付きました。庁舎の移転は、三分の二以上の議会の賛同が必要な事項であり、区長選の結果も区民の三分の一近くの批判票を重くとらえるべきであります。
次に、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料について質問します。
来年度は、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料が同時に改定され、いずれも値上げが予定されています。
まず国民健康保険料です。
国民健康保険制度の加入者は、自営業、非正規、年金など低所得者が多く加入する制度でありながら、保険料が高いという構造的な欠陥があります。
保険原理にもとづく民間医療保険では、低所得者や有病者など「保険弱者」が多く加入する保険者ほど保険料が高くなりますが、国民健康保険のように社会保障の仕組みである公的医療保険では、こうした逆転現象を防止するため、国庫負担の投入で財政安定化と負担緩和を図ることが原則となっています。
ところが歴代の自民党政権は、現在の国民健康保険法が社会保障制度を明記しているにもかかわらず、「相互扶助の精神」「社会保険制度」と、旧国保法の目的をそのまま持ち込み、国の負担を減らしてきました。あわせて都、区も一般財源の繰り入れを削減してきたため、毎年値上げが続き、滞納者は増え続けています。
来年度からの国民健康保険制度の都道府県化は、この構造的欠陥を正すものではありません。11月21日、東京都国民健康保険運営協議会に示された「運営方針(案)」では、区市町村が、住民福祉のために実施している負担軽減などの一般財源の繰り入れを計画的に削減・解消していくことが明記されています。
要するに国保の都道府県化というのは、国保の財源不足を、最終的には保険料引き上げで穴埋めをするため、東京都に権限を与え徹底するための制度改正です。
都国保運協の資料によれば、来年度の本区の一人当たりの保険料は、14万4352円となっていますので、2017年度の13万7095円と比較すると、7,257円の値上げとなります。
同資料の本区の標準保険料率で世帯・収入別に試算すると、70歳単身、年金収入200万円で、17年度は83,921円、18年度は100,866円、1.2倍、16,945円の値上げ、40歳代夫婦、子供2人の4人世帯、収入400万円、17年度は48万2937円、18年度は58万7737円と、1.2倍、10万4800円もの値上げ、30歳代夫婦、子ども1人の3人世帯、収入300万円で、17年度は29万8437円、18年度は35万9433円と、1.2倍、6万996円の値上げです。
こうした事態にならないように激変緩和が検討されていると聞いていますが、少なくとも現在の保険料を抑えるために、あらゆる手立てを尽くすべきです。
そのためにも国庫負担の増額、都、区の一般財源の繰り入れは欠かせません。
国に対して国庫負担の増額を求めるとともに、東京都に対しても財政支出を求めるべきです。答弁を求めます。
国民健康保険法77条には「特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる」という任意減免が規定されています。これを区市町村が活用し、均等割の7、5、2割減額の法定減免に1割を上乗せし、8、6、3割減額をした場合、東京都が、その1割分を全額補助すれば、一人3000円〜4000円の負担軽減につながりますが、こうした制度の創設を都に求めてはどうでしょうか。
そして区独自の一般財源の繰り入れで保険料を値上げさせないことが必要です。私どもはこの間、保険料の値上げ分を福祉手当という現金給付で補い、事実上の保険料の値上げを押さえる条例提案をしてきましたが、こうしたあらゆる手立てを尽くすべきです、答弁を求めます。
本区では、多子世帯への軽減策として、保育料や給食費を軽減していますが、国保でも実施すべきです。
国民健康保険料の算定が、旧ただし書き所得に変更になった時点で、多子世帯の保険料が高くなりました。国民健康保険料においても多子世帯への軽減策として、収入のない子どもの均等割り保険料の徴収を免除すべきと思うがどうか。
収入が少なく、やむを得ず保険料滞納になった場合でも、有無を言わさない保険料の取り立てや強権的な差し押さえが行われています。
しかし、国税徴収法では、「生活を著しく窮迫させる恐れがある時」、具体的には、本人10万円、生計を一にする配偶者その他の親族一人につき4万5千円が手元に残らない場合は、滞納処分の執行停止を規定しています。
厚労大臣も「滞納処分の停止の制度が適切に活用されることは重要。低所得者の方に配慮したきめ細かな対応を行なければならない。市町村に徹底していきたい」と国会で答弁をしています。
無理な差し押さえによって生活保護に至ったケースは本区の場合もあります。区民の暮らしを守る観点から適切な滞納処分の執行停止を実施すべきと思うがどうか。
後期高齢者医療保険料の値上げも重大です。
8月末の都広域連合議員への議案説明では、都広域連合の4項目の特別対策、すなわち葬祭事業費、審査支払手数料、保険料未収金補てん、国の特例措置に対する上乗せ軽減、この独自の対策を引き続き実施した場合でも7554円の値上げ、何の抑制策も取らず国の政令通りとした場合、1万3692円の値上げになるとしています。
これには財政安定化基金の活用、剰余金の繰り入れ、診療報酬の改定などは、含まれていません。今年度から国は、低所得者軽減制度を縮小・廃止する特例措置の見直しを実施していますが、それに伴う、都広域連合の軽減制度については未定としています。
値上げになる要因が大きく、国民健康保険料と同様にあらゆる手立てを尽くさなければなりません。
都広域連合に対して、4項目の特別対策を継続するとともに、国の特例措置の縮小分を広域連合の上乗せで補てんするよう求めるべきと思うがどうか。
次に、東京理科大学への土地売却等の問題について伺います。
国会では、森友学園、加計学園についての疑惑が大問題になっています。これらの問題は、行政の一方的な情報隠しによって、真実が隠されていますが、この間、森友学園問題では会計検査院が国有地の値引きに合理的な説明がなされていないとの指摘がありました。
この二つの問題点は、未解明な問題がありますが、特定の学校法人に特別扱いしたのではないか、という問題が共通点です。
加計学園問題では、今治市が加計学園に多額の補助をしていたことも問題点のひとつであり、葛飾区が理科大に対して、多額の補助と様々な恩恵を与えていることが共通点です。
わが党は、旧三菱製紙跡地がショッピングセンターとして活用されるより、公園と大学誘致のほうが区民にとって有益だと考え、当時のURによる土地代の不当なつり上げを問題にしてきましたが、区の土地取得の方針に賛同してきた経過があります。将来のある学生たちが区内に通学してくることも歓迎するものです。
それだけにわが党は、葛飾区が、公正な態度でこの問題に対処すべきと要求するものです。
平成21年3月に同大と本区との間で基本協定を締結し、第一期として約30,000uを138億円ほどで理科大へ売却しました。同時に、施設建設費にかかる利子補給等として53億円を20年間補助するという内容も含まれていました。その積算根拠について求めましたが、納得できる回答はありませんでした。
それだけではなく、同時に整備した公園内に図書館等大学施設の建物を建てるとし、公園条例の改定によって、その地代の割引まで行いました。また、公園内に併設された運動施設を同大学の体育の授業に優先使用させるという特権的待遇まで与えたことも問題です。
その二年後、平成23年11月第二期工事として予定していた敷地11070uのうち6242uを理科大が取得する際、約5億円の値引きが行われたこともわが党は、区有地を値引きは問題があるとして批判してきました。
区民の財産を一学校法人に格安で払い下げることは重大です。
そして、今定例会の補正予算では、本区土地開発公社から24億5057万円で買い戻した用地を、約3億6000万円値引きした金額で理科大に売却することになっています。
この9年間に今後、支出する予定の金額も含めると、およそ62億円もの巨額の税金が投入されることに加え、さらにプラスアルファの便宜を重ねてきています。
選挙の前には、値引きを隠して、選挙後に補正予算で値引きを計上することは、区民に対する背信行為ではありませんか。
利子補給という名の補助金を抜本的に見直し、売却の度の値引きをやめ、特権的な公園利用の見直すべきと思うがどうか。
以上ですが、答弁いかんでは再質問させていただくことを表明して、質問を終わります。
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