2018年第一回定例会一般質問 質問者 おりかさ明実

開催日:平成30年2月27日 

 日本共産党区議団を代表して区政一般質問を行います
 区長は、所信表明で、「本区の在宅死」の割合が人口10万人以上の都市の中で全国第1位になったと述べられました。
 しかし、これは、区の施策によるものではなく、一部の医療従事者の奮闘によるものです。確かに、最期は自宅で、ということはご本人もご家族も望まれることでしょう。
 しかし、ここで直視しなければならないのは、在宅死の内、4割ほどが事故死、自殺、孤独死となっているという点です。
 これは偶然ではなく、国が、病院や施設から在宅へと誘導しているからに他なりません。
 在宅死の割合は全国1位になったと自慢している場合ではないと思いますが、区長の現状認識について伺います。

 安倍政権は、今月16日に「高齢社会対策大綱」を閣議決定し、医療、介護など社会保障を全面改悪する方向を打ち出しています。こういう時だからこそ、一番身近な自治体として、本区が出来得る限りの方策を講じ、高齢者の暮らしを守るべきであります。

 第一に、生活援助についてです。
 国は、生活援助の1日1回以上の利用を「効率的なサービス提供が行われていない可能性がある」と攻撃し、10月から居宅介護支援事業所にケアプランの届け出を義務付けました。
 これは、この間の経過を見れば、利用制限が狙いであることは明らかです。
 すでに要支援1・2の訪問介護と通所介護を保険から外し、総合事業に移行しました。さらに要介護1・2の生活援助を保険給付から外そうとしていますし、4月の介護報酬改定では、生活援助を行うヘルパー資格の基準緩和と、介護報酬切り下げを打ち出しています。
 利用制限につながれば、「生きていけない」「高齢者は早く死ねと言っているのか」という声も出ています。実際、認知症の方は、たとえ宅配弁当が届いてもヘルパーが声をかけ、お茶を出したりしないと食事ができないことがあります。それに服薬の確認も必要です。地域で支えようと思ったら1日1回どころか2回、3回の生活援助は欠かせないのです。
 伊藤周平鹿児島大学教授は、「生活援助は、家事支援を通じて高齢者の日常生活を支え重度化を防いでいます。また増加している認知症の人の見守り的役割も果たしてきました。それは介護保険の理念とされた『介護の社会化』を具体化するサービスの一つです。保険給付から外すことは介護保険制度の大きな変質です。国が進める認知症対策にも逆行しています。これでは高齢化社会は乗り切れません」と厳しく批判されています。
 利用者の生活実態や意志を尊重し、むやみに生活援助の制限はすべきではないと思うがどうか。

 第二に、特別養護老人ホームについてです。
 昨年の第4回定例会で国民年金でも入所できるよう利用料の軽減を求めましたが、補足給付による負担軽減と高額介護サービス費制度があることや、老齢基礎年金のみの受給者では、自己負担限度額が月15,000円となっているため、国民年金だけでも入所することができるとの答弁でした。
 しかし、配偶者が課税者であったり、一定額の資産があれば補足給付は受けられませんし、医者代や薬代、衣類をはじめ生活していく上での最低限必要な経費は当然かかります。居住費や食費も実費負担となります。
 ユニット型の特別養護老人ホームでは、月額15万円ほどの負担となり、年金だけでは入所できないのが実態でありはありませんか。
 補足給付がある、自己負担限度額ある、だから大丈夫だとは到底言えません。このような答弁は、あまりにも区民の生活実態とかけ離れています。
 代表質問でも指摘しましたが、もっと区民生活に寄り添う姿勢が必要です。
 国民年金だけでも特別養護老人ホームに入所できるというのであれば、多床室であろうが、ユニット型であろうが、安心して入所できるよう、居住費については区が負担すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 特別養護老人ホームの待機者解消も緊急課題です。
 1月31日現在で待機者は、1136人になっています。要介護3以上に入所基準を改悪しても待機者は減りません。
 区長は、整備率は23区中1位だといわれましたが、東京都の整備率は全国最下位クラスです。また、優先入所基準13点以上で、申し込んでから長くても1年半以内に入所できる、と答弁されました。
 本当にそうでしょうか。入所が決定しても利用料を聞いて断念したり、一定以上の医療的な処置が必要で入所を断られたり、何よりも13点以下の待機者はどうなのか、13点以下だからと諦めている人はどうのか、入所できずに亡くなっている方の、家族の気持ちはどうなのか、区長は胸が痛みませんか。
 待機者解消に見合った増設計画を作り、区民に安心してもらうことこそ必要ではないでしょうか。区長の答弁を求めます。

 第三に、利用者負担についてです。
 昨年8月から利用者負担の高額介護サービス費の限度額が変わりました。
 一般世帯の上限額は、37,200円でしたが、44,400円になりました。これまで、たとえば要介護5の方で利用料1割負担であれば、限度額39672円でしたので、高額介護サービスを利用し、2,400円ほどの還付がありました。
 しかし、改定後は使えません。利用料2割負担の方で、要介護2以上は、子の高額介護サービス費の対象にはならなくなります。
 これでは、経済的負担が重くなり介護サービスの利用を控えることになってしまうのではないでしょうか。
 利用料の2割負担を導入したばかりなのに、今度は3割負担の導入です。ここでもサービス利用を控えざるを得ない状況が作られていくでしょう。
 高い保険料を払っているにもかかわらず、実際、サービスを受ける時には、高い利用料のために受けられない、こんなことはあってはなりません。
 利用料の区独自の減免制度を創設し、高額介護サービス費や利用料2〜3割の方の負担を軽減すべきです。答弁を求めます。

 第四に、介護職員の処遇改善についてです。
 どこの事業所でも慢性的な人手不足が問題となっています。原因ははっきりしています。介護職員の賃金は、全産業との比較で平均月額9万円もの差があります。ここにメスを入れていかなければなりません。
 ある施設では、介護度が高くなれば介護に費やす時間が増え、食事介助に職員配置が間に合わずパートを雇っている、またある施設では、食事時間を1時間切り上げて食事介助をしています。
 介護職員は、過密労働、長時間労働、低賃金という環境の中にありながらも、それでも介護で働くことに誇りを持っており、高い専門性とスキルを身につけたいと思っています。そういう方々が、賃金が安くやめていくのは大変残念なことです。
 国は、消費税率を10%にした後、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善を行うといっていますが、今現在、介護職員が不足、あるいは長続きしていないというのが実態です。
 国の処遇改善を待つのではなく、区独自の賃金助成を実施してはどうでしょうか。答弁を求めます。

 次に、公共施設の今後の在り方について質問します。
 国は、2014年5月 地方自治法改正・都市再生特別措置法制定、6月 「骨太の方針2014」を発表し、「国土強靭化基本計画」「日本再興計画の改定」と矢継ぎ早に、方針を打ち出し、各自治体にインフラ長寿命化計画・公共施設等総合管理計画策定を義務付けました。
 さらに、2014年7月に「国土のグランドデザイン2050」、同年9月 まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げました。
 そして、2015年「葛飾区人口ビジョン」を策定し、2015年から2019年を計画期間とする「葛飾区総合戦略」を策定しました。
 なぜ、国が地方自治体にこうした計画の策定を義務付けているのか。いうまでもなく、地域によってそのスピードに差はあるものの、急激な少子高齢化社会の到来、確実な人口減を見据えて、国土計画のあるべき姿を模索せざるを得ないという背景は明白です。
 我が国の自治体政策は、憲法で明確に規定されている地方自治に基づいて、どこに居住していても教育や福祉、健康など必要なサービスを保障できるように地方交付税を交付し、コントロールされています。
 この間の各自治体に対してインフラ長寿命化計画・公共施設等総合管理計画策定することによって、公共施設の大リストラ複合化を迫るというのはそうした計画を誘導するためのものです。公共施設の集約化・複合化事業を目的とした公共施設等適正管理推進事業という地方交付税措置の仕組みをつくり、公共施設の更新の際、自治体の一般財源は10%負担として抑え、残りの90%の起債をみとめ、起債額の50%は後年度以降地方交付税で補うとして誘導するものです。
 しかし、東京都は地方交付税の不交付団体であります。国の誘導策に導かれて、一般財源が措置される見込みのない公共施設の複合化に血道をあげるのは果たして意味があるのでしょうか。
 現実に「葛飾区の人口ビジョン」では、将来の人口減を予測しているものの、策定後、予想よりも人口増となっています。
 地方の過疎化は、勢いを増し、我が国の人口減は確実な情勢ですが、現状では、首都圏の人口流入は依然として続いており、現状認識と将来の予測の変更が必要なのではという認識はあるかどうか答弁願います。

 地域によって差異はありますが、区内すべてが都市化されている本区にとって、インフラを減らすことは実際できず、今後の公共施設をどうするかという点でインフラを除く公共施設がターゲットになるのは容易に考えられることです。

 しかし、今後の公共施設をどうするのかということについて、民主的な議論抜きの公共施設の再編・配置・切り捨てが進められていることが大問題です。区長は、「協働」を合言葉にしていますが、肝心要の結論は、決まっていては「協働」は成り立たちません。

 公共施設とは何か、あらためて問い直したいと思いますが、いうまでもなく、地方自治法第244条「公の施設」がこれにあたり、@住民の福祉の増進の場であり、福祉とは→住民の自主的な活動、教育、芸術も含むものと解されA住民に公の施設を利用することを拒んではならないB施設の使用に際して、住民に不当な差別的扱いをしてはならないものです。
 公共施設の本質とは、様々な意見や立場をもった住民がいて、そのお互いの意見を尊重しあい、認知し、交流する、そして、これを通じて地方自治が成立する、その空間が公共施設であります。

 いくつかの自治体の例を紹介したいと思います。
 大阪府堺市の取り組みは、示唆に富むものです。
 インフラ資産とハコモノ資産を区別し、ハコモノを更新した場合と長寿命化した場合の試算額を比較すると長寿命化しても年平均10億円の更新費用が不足すると割り出しました。これによって施設更新の際、延べ床面積を2%縮減することと維持管理費のコスト削減によって、基本的には公共施設の統廃合は行わず、公共施設の再編・統廃合による地域への影響を最小限に抑えるとのことです。
 そして、都市計画マスタープランや地域防災計画、行財政計画など各種計画の中に公共施設等総合管理計画を位置づけるという措置をとっています。

 次に、さいたま市ですが、学校の建て替えを住民参加型ワークショップ方式をとりました。建替え小学校を、子育て支援センター、文化財資料室、児童クラブ、コミュニティセンターなどの複合施設とすることを市が提案し、参加者は、公募市民10名、地区の市民13名他、25名で構成しました。このワークショップの委託費は大学やNPO法人、研究機関などに対して二年間で1800万円の運営支援し、施設の模型作成や基本計画策定させました。その一方で、ワークショップにかかわれる市民は、限られているので広く市民参加を保障するために意見交換会や模型展示会などを開催し、さいたま市と市民とが協力して市民参加を呼び掛けてきたことでした。
 重要なのは、その複合施設案はワークショップの意思を尊重するために、そのまま入札にかけられるという仕組みになっていることです。

 次に、長野県飯田市ですが、この飯田市の公共施設等総合管理計画には、数値目標がないというのが最大の特徴です。なぜなら、飯田市は九つの町村が合併してできた市であり、それぞれの地区ごとに基本構想を持っており地域の特色を生かした協働による将来像の実現を目指すという都市内自治が確立しているからです。

 一方、大阪府泉南市は、先ほども紹介した、公共施設の集約化・複合化事業を目的とした公共施設等適正管理推進事業を活用して、閉鎖した商業施設を改築して、公立保育園3カ所と公立幼稚園4カ所を統合して市立総合子ども館をつくり、その1ケ所で600名以上の保育を実施しようとしました。
 経過は詳しくは述べる必要はありませんが、地域の住民の理解を得ようとする努力が欠如していたために、住民の反対が大きく広がりました。その後、この計画を提案した市長は、市長選で惨敗し、私立子ども館計画は、頓挫、国の補助金を返還するという異常事態となりました。さらに、反対をかかげて当選した新市長は、すべての公立保育所と幼稚園の存続は難しいという判断から、施設の統廃合計画を提起するものの、いまだに結論がまとまらないというのです。

 先進例といまだに混乱が収拾していない例を紹介しましたが、いま、あらためて、葛飾区でいま求められていることは何なのかと問わなければなりません。
 「葛飾区総合戦略」は、2015年から2019年までの5年間の計画期間とし、「中期実施計画」も2019年を最終年として計画のローリングが行われるタイミングにあるのであり、大胆な見直しを実行するのには絶好の機会だからです。

 これまで本区では、国の大号令がかかる以前から、2013年からの基本政策の11のプロジェクトなかに「公共施設の効果的・効率的な活用」をあげ、数々の取り組みをすすめてきましたが、いま、様々な矛盾が噴出しています。
 小菅・高砂保健センターが強引に閉鎖されました。区民事務所などに代替要員として相談業務を行う窓口の設置に派遣社員を配置しました。新たに相談窓口「健康ホットラインかつしか」を開設させ「保健センターを減らしてもサービスは低下させない」と弁解してきました。
 ところが今では、区民事務所などの窓口となる派遣社員の配置はやめてしまい、今定例会では、相談窓口「健康ホットライン」を廃止して、コールセンターで電話相談業務を丸投げするという後退ぶりです。
 わが党の追求によって取りつくってきた措置をすべて放棄するということではありませんか。撤回を求めるとともに小菅と高砂の保健センターの復活を改めて求めるものです。高砂では障害者施設の建設はこれからであり、ここも複合施設とすれば実現可能だと思うがどうか。
 なお、高砂保健センターの建物は、耐震診断でも耐震補強の必要のない堅牢な公共施設をわざわざ解体したという税金の無駄遣いは決して免罪されるものではないということをあらためて申し上げるものです。

 「子育て支援施設整備方針」で児童館・区立学童保育クラブの全廃、区立保育所を七カ所だけ残し、それ以外はすべて民営化、その計画を具体的に進めていることも絶対に容認できるものではありません。
 小菅保健センターがすでに解体され、小菅児童館併設の小菅保育園の仮園舎の建設工事がこれから始まるところです。子育て支援施設の整備方針によれば小菅児童館を「廃止」したいというのは、区の願望でしょうが、私の地元、小菅地域の児童館を廃止してもよいなどという合意はできていません。説明会を実施したといいますが、参加者が少なく十分ではありません。区民の合意がない以上は、仮園舎に児童館を移転させるべきではありませんか。
 新小岩複合施設の児童会館と学び交流館をどのようにしていくのかの住民合意もありません。ましてや、昨年、新小岩児童館を廃止し、児童会館があるからそちらに移動するように区自身が説明してきたのに、その児童会館を複合施設の建設のために廃止するのは許されません。複合施設の今後の在り方を決めるのは、区が押し付けるものではなく、住民との対話によって、民主的なプロセスによって決定されるべきものです。
 複合施設の設計についても「さいたま市」の複合施設のプロセスを参考にするなど、再考すべきではありませんか。そして、現児童会館の施設解体後は、仮施設をどう確保するのか区民に説明する必要があると思うがどうか。

 今後、区政の重要課題の一つが「児童相談所の開設」であり、連携施設のハード分野の充実、人的確保の観点からも児童館や公立学童保育クラブ、公立保育園の廃止は逆行するではないのか、答弁を求めます。

 だからこそ、これから今後の「区立学校の改築・改修」は区民の意見を慎重によく聞き、「(仮称)学校施設長寿命化計画」の策定や問題のある「子育て支援施設整備方針」の根本的な見直しが必要です。

 青木区政の最大の問題点は、公共施設が豊かな地域社会づくりの土台であり、その在り方が「まちづくり」そのものであるという観点がないことが問題だといわなければなりません。
 地域コミュニティの質の向上とは、住民参加、価値観の共有、寛容性である、そのプロセスこそが行財政改革の要諦であり、まちづくり計画と住民参加はその基盤である、その観点を失うこと、その過程で自治体と住民の対立が頻発し、地域の政治や公共心が荒廃していくと立命館大学森裕之政策科学部教授が警告しています。
 青木区政の対応は、警告を無視しているかのようです。
 言わずもがな、区役所建替え計画と立石駅北口再開発問題は、住民の意見を聴こうともせず、強引にすすめ、いよいよ破たんに直面している青木区政の最大の問題点であるといわなければなりません。

 次に、リノベーション事業について質問します。
 まず、亀有リリオ館7階リノベーション事業の問題は、アリオという巨大なショッピングセンターの進出と切り離しては考えられないことを指摘しなければなりません。
 わが党は、アリオの進出は、地元で営業している商業事業者にとっても計り知れない打撃となること、また、リリオ館のイトーヨーカドーにも重大な影響が及ぶことを指摘してきました。
 そうした指摘について、危惧するどころか、区は、東京都と一緒になって用途地域の変更、補助136号線の拡幅、ペディストリアンデッキの建設など、大盤振る舞いの支援をしました。
 このようにヨーカドーを区が特別扱いし、アリオの出店を支援したことが、亀有南口駅前再開発のその後に重大な危機を作り出してきました。区長には、その自覚があるでしょうか。
 ご承知の通り、ヨーカドーはアリオ出店の際、地元に対して「駅前のヨーカ堂を撤退することはありません」と明言をしていましたが、ヨーカドーは地元に説明を尽くすことなく、2010年(平成22年)には4階から7階までの賃貸契約を解消してしまいました。4、5階には幸い新しいテナントが入りましたが、6、7階のテナントは直接管理会社と契約することで営業がなんとか維持されました。
 さらにヨーカ堂は2015年(平成27年)、2、3階からも撤退しました。
 そして、問題となっているリリオ館の7階部分の社員食堂の撤退を機に、その活用が問題となったわけです。
 当然、これまでのように、商業施設を誘致するなどの営業努力があってしかるべきであるのに、区は、説明の成り立たない介入を行って、特定の企業に対する支援を行い、区民の貴重な財源がそこに支出されるという異常事態となったのであります。

 本来、商業施設として活用されてきた再開発ビルの空きスペースに対し、その管理業務を担っているライフホールディングとURとの間で不透明な「基本協定」を締結し税金を投入していることが問題です。

 地区センターとしての需要があるのは事実なのでしょうが、その分の床を区が取得するまたは、賃料を支出するなどして公共施設として活用することはありうることです。
 しかし、民間企業が行う「絵本劇場」、レストランを経営のためになぜ、区が多額の支出をするのか、到底、理解できるものではありません。
 平成29年度以降、後年度負担は、1億5000万円以上を特定企業のためにつぎ込むことになっています。しかし、予算書の債務負担行為の欄には、支出予定額に限度額を明記せず、「限度額に同じ」と記載し意図的に隠していることは、誠に不誠実です。さらに、「基本協定」では「係る費用は別途協議」とありますが、予算書に記載されているのは、今後、10年間の金額であり、今後、更なる税金投入となる危険があるのではないでしょうか、答弁を求めます。
 また、このリノベーションの一端として設けられる図書サービスカウンターは、絵本劇場を運営する事業者が請け負うことになっていますが、図書館業務の民間委託を拡大するものであり、別の問題が生じます。
 図書サービスカウンターは、公共施設であり、図書館業務を民間業者が担うことと同時に「絵本劇場」とレストランを営業することは、「公の施設」として両立するものではありません。ましてや図書館を利用している区民の情報に危険が増大することが危惧されると思いますが、答弁を求めます。
 道理のない特定企業への思いやり予算ともいうべき「亀有リリオ館7階リノベーション事業」とその根拠としている「基本協定」の撤回を求めます。答弁を求めます。

 さて、リノベーション事業といえば、柴又の職員寮を過大な財源を特定企業のために改築し、宿泊施設として活用させたことも問題となりました。
 しかも、こちらのリノベーション事業は、一切議会にも説明なく秘密裏に進められたことも重大です。
 リノベーションと名の付く事業は、果てしない税金投入に道を開くものとなる危惧があります。
 インターネットでこの宿泊施設の予約が簡単に行えますが、土日を除くと、かなり空きが目立ちます。
 そのような状況を忖度したのか、30年度予算で行われるふるさと納税の返礼品として「HU−TEN」の宿泊券を予定していますが、これも形を変えた税金投入ではありませんか。
 区が巨額の事業費を出して、民間の宿泊施設を支援したことが問題です。しかし、その施設の経営状態が良くないからといって更なる税金投入を行うことは容認できるものではないと思いますが、答弁を求めます。