開催日:平成31年2月26日
日本共産党区議団を代表して代表質問を行います。
一昨日、投開票された米軍新基地建設に伴う名護市辺野古沿岸部の埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票で7割を超える圧倒的多数の反対票が投じられ、改めて民主主義と地方自治を守ろうという良識ある審判が下されました。日本政府は、この結果を重く受け止め辺野古埋め立てを中止すべきです。このことを強く求め、質問に入ります。
最初に区長の経済認識についてです。
現在、統計不正という国政を揺るがす大問題が起きています。統計というのは、政府の経済認識、景気判断、税と社会保障、労働に関わる政策判断にとどまらず、来年度の政府予算案審議の大前提になるものです。
国会では、この不正の徹底解明が求められていますし、間違った統計による経済認識は正していかなければなりません。
ところが、区長は18日のあいさつの中で、「個人消費が持ち直し、景気は緩やかに回復し、雇用・所得環境の改善が続く」と述べられました。
消費税を8%にして以降、家計消費は年間29万円も落ち込み、増税前の水準の上に出ていないことは、安倍首相も国会で認めました。
消費が持ち直すどころか、増税の痛手を未だ引きずっているというのが実態です。毎月勤労統計の不正によって、実質賃金がマイナスになっていたことはすでに明らかとなりました。
安倍政権の6年間で384万人の就業者が増えましたが、内閣府と日本学生支援機構の調査によると、その7割は、65歳以上の高齢者、次に多いのが学生と高校生を中心にした15歳〜24歳です。
年金だけでは生活できない高齢者と高すぎる学費を払うためにアルバイトを余儀なくされる学生が増えていることをもって雇用環境が改善されたとは到底言えません。
まず、統計不正について、区長はどのように認識しているのか伺います。
消費、所得、雇用をめぐる状況は本当に深刻であり、区長の認識と区民生活とは大きくかけ離れています。消費は持ち直し、所得・雇用環境の改善が続くという経済認識は正すべきではありませんか。答弁を求めます。
私ども区議団が現在実施している区民アンケートには、2年前より「生活が苦しくなった」は56%になりました。収入では、年金や給与が減ったが7割を超え、支出では、健康保険料・介護保険料の負担増がトップで、医療費、公共料金、税金の負担が重い、が続きます。
このような状況の中で消費税を10%にしたらどうなるか。
アンケートには、「給与があがらないのに支出が増えて、その分を余分に働いても税金が増えてかえって大変になります」「格差が拡大して、つつましく暮らしている庶民や小さな商店には負担がかかり生活が破壊していきます」「年金のみで収入が変わらないのに増税で支出が多くなり生活ができない」などの声がたくさん寄せられました。
昨年12月まで安倍内閣官房参与を務めた藤井聡京都大学大学院教授は、「日本経済はこの30年間に4回のショックを受けています。97年の消費税5%への増税、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、そして14年の消費税8%への増税です。リーマンショックや東日本大震災より消費税増税の方が消費の下落は大きく、しかも影響が長く続き、元の状態に戻るのに時間がかかります。消費税を10%にすると日本経済は破壊します」と、安倍内閣のブレーンだった方も増税には警鐘を鳴らしているのです。
安倍政権がすすめる消費税10%の引き上げは、区民の暮らし・営業を今まで以上に脅かすことになると思いますが、区長の認識を伺います。
区長が提出している来年度予算案には、公立小中学校体育館へのエアコン設置、認可保育園の増設、予防接種費用助成の拡大など前向きな予算も含まれていますが、一方、国民健康保険料の値上げ、後期高齢者医療保険料の軽減特例の見直しによる値上げ、自転車駐車場の値上げ、公立学童保育クラブや児童館の全廃計画、待機児が増加している学童保育クラブの新設計画がないなど、区民の願いに背を向けるものになっています。
さらに幼児教育・保育無償化に伴う給食費の負担がどうなるのか、不安をぬぐうものにはなっていません。
にもかかわらず、今年度だけでも、庁舎整備などの基金に140億円もの積み増しを行い、今年度末の基金総額は1249億円になる見込みです。
身近な区政が今やるべきことは、ため込みではなく、区民の暮らしを応援することです。
10月から幼児教育・保育の無償化が予定されていますが、国制度では、3〜5歳の無償化、0〜2歳は非課税世帯のみ無償化、食材費は実費となっています。
無償化と言っても、経済的支援をより必要としている子育て世帯が多い0〜2歳児に所得制限があることや食材費が実費というのは無償化の理念に反しています。
東京都は国制度の対象外となる世帯に対して独自の支援策を来年度予算案に盛り込みましたが、それでも所得制限で対象にならない世帯が残されます。
給食費は国は月7500円と見込み、無償化なのに一部は有償化とになります。さらに待機児になった場合、無償化の恩恵を受けることができず、不公平感がでることになります。
そのようなことがないよう10月からの無償化に伴い、区としての独自の支援策が必要です。
第1に、待機児を出さないための保育所増設です。
この間保育所増設によって定員は増えていますが、無償化によって需要が増えることが予想されます。民間任せではなく、必要な地域にバランスよく配置できるよう公立保育所も含めての増設計画とし、緊急対策としての分園の整備も検討すべきです。
第2に、給食費の無償化に踏み出すことです。
保育所保育指針では、食育は保育の一環として位置づけられています。国は、低所得世帯に限って副食費を免除、住民税非課税世帯の0〜2歳児は現行制度を維持するとしていますが、さらなる拡充を求めるとともに、区独自の無償化のための支援策を講じるべきです。
第3に、保育所の量とともに質の向上です。
質を担保するには、人材の確保が必要です。保育士の人材確保が困難なのは低賃金を含む劣悪な処遇にあるからです。保育士が確保されなかったために、区内でも募集が急きょ狭まったりした私立保育園もありました。
この間の新設認可保育園のほとんどが営利企業となっており、社会福祉法人と比較しても運営費に占める人件費の割合が低く、保育士の処遇改善にはつながっていません。
公立保育園の民営化は、社会福祉法人による新たな保育園運営を困難にし、営利企業の保育園を増やす要因を作っています。それが一層保育士の処遇を悪くする悪循環を作り出しています。このことを自覚し、これ以上の民営化は中止すべきです。
現在実施している保育士への住宅手当等の支援は重要なことですが、思い切った賃金助成を行うべきです。区長の答弁を求めます。
国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の引き下げも緊急課題です。
国民健康保険料は、国の政令改正で均等割りの5割減額と2割減額の対象が拡大され、医療分の賦課限度額は77万円から80万円に引き上げられます。
来年度は、法定外繰入の激変緩和措置として、納付金総額の5%相当額を一般財源で補うとしていますが、一人当たり保険料は3,186円の値上げになる見込みです。2月15日の区長会総会では、所得割率の引き下げ、均等割り額の引き上げを決めたことによって低所得の多人数世帯ほど値上げとなります。
法定外繰り入れを増額し、保険料の値上げを抑制すべきです。
また、収入のない子どもから保険料を徴収することがないよう、子どもの均等割り保険料を免除することを求めるものです。
後期高齢者医療保険料は、軽減特例の見直しによって9割軽減も8.5割軽減本則の7割軽減になります。これによって年金収入80万円以下の方は保険料が3倍に、年金収入168万円以下の方は2倍になってしまいます。
東京都広域連合に対して軽減特例を継続するよう要請するとともに、区自身の独自支援で保険料が値上げにならないようにすべきです。
介護保険料は、基準額で23区中5番目に高く、アンケートでも55%の方が「高い」と回答しました。
本区の要介護認定者数の高齢者人口に対する割合は、23区平均の19.4%を下回っています。「いざという時に介護サービスが受けられるか心配だ」との声がアンケートに多く寄せられるのは、高い保険料を払いながらも介護認定が厳しい、あるいは認定を受けさせず総合事業に移行させている、利用料が高いなどの反映と言えます。
後期実施計画案の重要プロジェクトには地域包括ケアシステムの深化・推進を位置づけていますが、介護や予防のサービスを利用しやすくするためにも保険料や利用料の減免制度、待機者解消に見合った特別養護老人ホームの増設は欠かせません。それぞれ区長の答弁を求めます。
自転車駐車場の値上げは、消費税増税の先取りなのかという批判が広がっています。
学割制度の導入の一方で、9割以上の自転車駐車場で値上げとなり、中でも亀有南の一時利用は、1時間以内50円だったのに、120円と2.4倍もの値上げです。
民間企業に委託する自転車駐車場総合管理では、放置自転車が減らないことがわかっていながら1億2千万円もの委託費を使い、一方で、区民には値上げを押しつけるのは逆さまです。値上げは撤回すべきです。区長の答弁を求めます。
区民の暮らしを脅かしながら、駅周辺の再開発事業には湯水のように税金を注ぎ込もうとしていることは重大です。
金町駅周辺では、すでに約2800戸の高層マンションがつくられ、JR金町駅のホームの混雑及び駅から東京理科大学へのアクセスの改善を求める声が急速に高まっています。また学童保育クラブの増設を求める請願も区民から出されています。
今後、東京理科大学は、学部の再編によって葛飾キャンパスに、2000人を超える学生・教職員が増えることになります。
そういう状況の中で、さらに新宿六丁目、東金町一丁目、金町駅南口で合計1500戸のマンション建設が計画されていますが、金町駅周辺のまちづくりをどうするのか、そのビジョンがまったくみえません。
みえているのは、駅前に高層マンション、そしてそのビルには、公益施設の名で新たな税金投入を行うというものだけです。金町駅南口においては、再開発事業の救済のために当初の目的にもなかった子育て支援サービスとコミュニティー施設等の複合公益施設を突然計画したことは、税金のバラマキと言わなければなりません。北口でも同様です。
今、金町駅周辺で必要なことは、金町駅へのホームドアの設置、新しい改札口ではありませんか。区長の答弁を求めます。
再開発事業への異常な税金投入という点では、立石駅前も同様です。
現在の計画では北口、南口合わせて1000戸を超える高層マンションです。加えて北口では区役所の移転計画、南口では公益施設の名で税金投入をしようとしています。
昨年12月19日の葛飾区都市計画審議会では、駅周辺をどうするかのビジョンがない、立石らしくない、歴史と文化を継承するとして今ある商店が高層ビルに入るような計画になっていますが、審議会では、正直に住宅にすると言ったらどうか、などの意見が出されました。
南北ともに高層マンション、北口に区役所を移転し、駅前広場を整備するとしながら、南口にも公共施設を誘導し、駅前広場を整備しようとする、無茶苦茶な計画です。
駅前に高層マンション、公共施設、駅前広場、こういう発想は転換すべきです。すでに広大な面積を確保できている高架下を使えば駅前広場はできます。再開
発をやめた方が、立石らしいまちとして発展ができるのではありませんか。区長の答弁を求めます。
さて、立石駅北口再開発ビルへの区役所移転計画ですが、準備組合が示した資金計画では、すでに総事業費は当初の2倍の1千億円になろうとしており、総床価額の半分を区が税金で買い取らなければ成り立たない事業になっていることがわかります。
区の中間報告では、新庁舎の整備費は、保留床約250億円プラス内部設備、移転経費となっていますが、そんなことはありません。
区役所移転を前提にした再開発事業ですので、その事業が成り立たなければ区役所の移転はあり得ません。その意味で税金で賄う費用は、保留床取得として庁舎分は242.8億円、公共駐車場分は23.2億円、合わせて266億円、道路や駅前広場など公共施設負担金が117億円、補助金は240億円と、合計623億円となっています。
準備組合の試算は、7割の権利者が残り、商業床に空きがでないことを前提にするなど、ありえない試算です。だから「今後変更もありうる」となっています。
加えて、什器等を含む内部設備、移転経費を入れるといくらになるのかわかりません。
このまま突き進めば、公費負担がさらに膨らみ、区民の税金を湯水のように注ぎ込むことになってしまいます。
これほどの無駄使いはありません。再開発ビルへの区役所の移転・建替え計画は撤回すべきです。区長の答弁を求めます。
区役所の建て替えは、区民合意で進めるべきです。
私どものアンケートでもっとも多かったのが「区役所の建て替えより学校の建て替えを優先すべき」との声でした。
多くの区民は、豪華な庁舎ではなく、子どもたちが勉強し成長する場所となり、災害時の避難所ともなる学校の建て替えこそ求めています。
現在、6校の建て替えが進んでいますが、来年度以降、新たに計画化されるのは、わずか7校でしかありません。
その選定も、これまでの劣化調査にもとづく結果をまったく無視し、一定規模の学級数が見込まれること、そして7つの地域で各1校としています。
劣化調査にもとづくという科学的な根拠もなく、小規模校は対象から外すという、恣意的なものであり廃校宣言に等しいものです。区民合意が得られる選定基準に見直すべきです。
学校というのは、その地域の拠点となるものであり、区立全小中学校の建て替え計画とそのための資金計画を明確にすべきです。区長の答弁を求めます。
最後に共生社会をどう作っていくのか、について伺います。
昨年の臨時国会では、外国人労働者の受け入れ枠を拡大する入管法の改定が行われました。
政府は、技能実習生の深刻な実態を隠すためにデータの偽装や虚偽答弁を行ってきました。
たとえば失踪者の聴取票の内、最低賃金以下は22人としていましたが、実際には聴取票の67%、1927人が最賃以下でした。
職場移転の自由もなく、住居を変えることもできず、苛酷な状況に置かれて最悪の場合死に至るケースもあります。実際、2010年から8年間で20代、30代の方を中心に174人もの方が亡くなっています。
外国人労働者の人権と労働環境は、日本の労働者に深く関連することはもちろん、地域社会に大きな影響を及ぼします。どのように共生社会をつくっていくのか、国民的議論を尽くすべきですが、法務委員会の自民党筆頭理事は「この問題は議論したらきりがない。いくらでも問題が出てくる」と言って採決を主張しました。まさに議会制民主主義を否定し、国会を愚弄する態度だと言わなければなりません。
本区の外国人住民は、21000人と人口の5%にまで急増しています。入管法の改定によってさらに増えることは推測でき、今後どう向き合うのかが問われます。特定地域の人々を誹謗中傷するデモやスピーチなどは、毅然とした態度で臨まなければなりません。
政府は外国人労働者を増やす仕組みだけを作り、あとは自治体任せ、これはあまりにも無責任だと思いますが、区長の認識を伺います。
アンケートには「ここ数年で外国人の流入が増加し、保育園や幼稚園では言葉の壁による保育の質の不均等、保護者間のコミュニケーションの壁などをよく耳にするようになりました。今後、小学、中学と義務教育を受ける中でも子よりも保護者と学校間の連絡が困難になったりし、先生方や学級運営上のトラブルも増加するのではないか。我が家は父が外国人の子ですが、両親共に外国人の子らの転入、出生が増えることを想定すると保護者をサポートするためのサービスが必要になってくるのではないか。教育の質は守って頂きたい」と意見が寄せられました。貴重な意見だと思います。
まちの中での公共サインの整備、観光のためのツールなども重要ですが、入国後、定住するための手続き、地域の住環境への理解、子どもがいれば保育や教育への手続きなど、大人に対するサポートが重要になってきます。
本区でもその一環として外国人生活相談が行われています。年間200件前後の相談があり、その中でも医療・社会保障、教育・子育てが多くなっています。この相談日が週1回で午後の4時間程度です。
逆に教育委員会では、外国人の子ども達が増えていることに対応するために日本語ステップアップ教室の実施や日本語学級を1校増やすとしています。
そうであるならば、大人に対するサポートも重視し、外国人生活相談の体制強化によるサポート内容と相談日の拡大、自治町会、保育園、学校には翻訳機を常備することも検討してはどうでしょうか。区長の答弁を求めます。
共生社会という点では、先日、同性婚の法制化を求める訴訟が全国で一斉に起こされました。同性婚が認められないのは、「婚姻の自由」「法の下の自由」を保障した憲法に違反するという訴えです。
世界では同性婚を認める国が広がり、日本でもLGBTへの理解が徐々に広がりつつあります。
こうした時に本区議会でも請願が採択され、後期実施計画案の人権部分に、「LGBT」への対策を位置づけ、啓発のためのパンフレット作製や今後の人権推進指針の改定の中で検討するとしています。
今後の対策を考える場合、その根拠となる明文化が必要です。性的少数者への理解促進のための明文化を求めるものです。
そして幼少期からの教育を重視することが必要です。当事者の約90%が小中学校の時に性的違和感をもち始めると言われます。学校教育で性の多様性を読み解くに足る最低限の情報を与えることや、何よりも教職員の研修は欠かせません。
当事者への相談対応も重要です。世田谷区では性的マイノリティ―等の相談のウエブページ、当事者と家族、支援者に特化した電話相談事業、居場所づくりが始まっています。こうした施策に学ぶことも重要です。
性的マイノリティ―などを理由に差別されない、多様性を認め合う葛飾をつくるためにも、学校教育での位置づけ、区職員や教職員への研修、相談窓口の開設、同性カップルの区営住宅への入居ができるように改善すること、パートナーシップ証明書の発行の具体化を求めるものです。区長の答弁を求めます。
私の質問は以上ですが、答弁いかんによっては再質問を行うことを表明し質問を終わります。
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