2020年第四回定例会一般質問 質問者 中村しんご

開催日:令和2年11月26日

 日本共産党区議団を代表して区政一般質問を行います。
 まず、コロナ禍のなか、区民のくらし、営業の応援について質問します。
 6日発表された総務省の家計調査報告では9月の勤労者世帯の消費支出は前年同月比で−10.2%の落ち込みとなりました。16日内閣府が発表した7〜9月期のGDP速報値は、実質で前期比5.0%増となりましたが、4〜6月期の反動という側面が大きく、実質GDPは前年同月期比で5.8%下回る水準です。
 昨年10月の消費税増税につづく新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本経済は低迷し消費が伸び悩み、労働者の雇用や中小企業の経営も苦しさが加速しています。
 わが党区議団が実施した区民アンケートでは、くらしについて「苦しくなった」が55.4%と半数を超え、いままで以上に記述による切実な声がたくさん寄せられています。
 消費税を中心に物価があがっている、会社倒産、コロナ解雇・雇止め、アルバイト減収など、「テレワークのためいろいろ食費他出費の増」「食事で調整。主に納豆とか豆腐、もやし、バナナを利用して生活」など、紹介しきれないほど切実です。
 また、「区政で力を入れてもらいたいこと」の上位5位は、高齢者福祉、防災、医療につづいて、子育て支援、いままで上位に入らなかった中小企業・商店街の活性化でした。新型コロナの流行による景気の低迷の結果だと思います。
 住民福祉の向上を使命とする区政が、増税と新型コロナから区民の暮らしと営業をどう守っていくのかが、問われています。
 「消費税減税」を求める声は、62.4%です。区長、この区民の声に応え、まず消費税を緊急に5%に引き下げるよう国に求めるべきではありませんか。

 「暮らしが苦しくなった」の主な要因は、「健康保険料・介護保険料の負担増」、「医療費の負担増」、「公共料金の負担増」があげられています。
 来年度は、国保、介護保険料は見直しの年に当たります。国保料は都道府県化のもとでの激変緩和の縮小による値上げが続きます。
 区民の現状を鑑み、これら保険料の値上げは行うべきではありません。むしろ引き下げるべきです。
 国保料の子どもの均等割りについて今年5月に閣議決定した「少子化社会対策大綱」には「子どもの数に応じた国保料の負担軽減を行う地方公共団体への支援などを着実にする」と言及しており、足を踏み出すべきです。答弁を求めます。
 政府は後期高齢者の医療費負担割合を2022年度から所得に応じて1割から2割へと引き上ようとしていますが、きっぱりとやめるよう国に求めるべきです。答弁を求めます。

 国費で実施している国保料のいわゆる「コロナ減免」は、10月末現在1724件で、いまなお申請が続いていると聞きます。後期高齢者医療保険料は、10月末現在で139件、介護保険料は11月18日現在で380件です。この減免は、来年3月までとなっていますが、申請締め切りを来年1月中旬にしようとしています。申請締め切りを伸ばすことはもちろん、減免期限をさらに延長するよう国に働きかけるべきです。
 また、この「コロナ減免」を広報を使って改めて周知徹底すべきです。

 10月末現在、緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付は4041件それぞれ4000件を大きく超えています。国は、年内で申請を打ち切るとしていますが、年明け以降も申請できるよう、改善を求めるべきです。
 特例貸付は最長で6か月間となっており、期限の切れた方から「引き続き借りられないか」との問い合わせがあるそうです。
 今年9月15日付けの厚労省生活困窮者自立支援室長名の事務連絡文書で、「10月以降の総合支援資金の申請分においては、自立支援に向けた支援を進めるため、申請の際に、償還開始までに自立相談支援に機関からの支援を受けることに同意することをもって、貸付を行うこととする」としています。 
 実際に、申請の際には同意書を取って区の自立相談窓口に情報が送られているといいます。
 申請を待つだけでなく、6ヶ月の期限が切れた区民に対して、むしろ区が積極的に働きかけを行い、生活の安定化に心血を注ぐべきではありませんか。答弁を求めます。

 学生や貧困率の高いひとり親家庭への支援も重要です。
 区民アンケートには、アルバイトの収入が減った、アルバイトの日数が減ったの声が寄せられました。コロナ禍の下で、アルバイトが極端に減ってしまい、満足に食事もとれない学生もいます。
 区内の青年団体が、食料を学生に無料で配布する「フードバンク」という活動を行いましたが、そこでは「オンライン授業で質問ができない」「一級建築士試験の勉強がうまくいっていない」「大学に行けず不安な日々が続いている」「バイトにあまり入れなくなり、固定費がキツイ」「3か月収入がない」など、学業と生活と両方で行き詰っている深刻な実態です。
 こうした学生に対して、生活の支援を行うべきです。例えば、学生に対する給付金や家賃補助などを緊急に検討すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 また、ひとり親家庭はもともと一般家庭よりも収入が低く、生活が不安定です。ひとり親家庭に対し、5万円の緊急一時給付金を支給してはどうか。答弁を求めます。

 次に、中小企業、中小業者の営業です。
 毎年、年末は申告や資金繰りなどの問題で頭が痛い時期ですが、今年はそれにコロナ禍が重なり、例年にも増して大変な年の瀬となっています。
 区内の金属加工者の方は、「今製作中の部品を収めたら、残受注はありません。この仕事を35年間していますが、初めての事態です。新年を迎えられるか、不安でたまりません」、また、「コロナ禍で、金属加工の仲間2人が廃業しました。職人技を持つ多くの中小業者が廃業したら、日本は以前のようなものづくりができなくなってしまう」など、年が越せない、事業が続けられないの声がたくさん上がっています。
 国の持続化給付金は一回限り家賃補助も短期で、困窮する中小企業の実情に追いついていません。その一方で「Go to 事業」は、一部の大手しか利益を上げられず、感染を広げる危険性が指摘されているのに、来年まで延長しようとしています。
 今どのような支援が求められているのかを把握するために、国の持続化給付金を受けている区内事業者を調査すべきと思うがどうか。
 コロナ禍が収まらない以上、事業継続のためにも国に第2弾の給付を求めるべきです。
 東京都の感染拡大防止協力金も多くの飲食店が受けられない仕組みで、休業は求めるが、支援は自助という貧相なもので、区の協力金は、この都の制度に上乗せしただけです。しかも、都の事業がスタートした後、区制度がスタートしました。つまり、都制度を申請した事業者しか、利用できないという欠陥制度でした。多くの飲食店が依然として厳しい状況にあり、区独自の感染防止協力金を設けるべきと思うがどうか。

 また、大幅に売り上げが落ち込んでいるのに、持続化給付金の対象とならない事業者もいます。こうした事業者に対する区独自の制度を創設し、支援すべきです。
 国の家賃補助制度は支給が大幅に遅れています。区が国に代わって立て替えができることも含めて、家賃などの固定費助成制度を創設すべきです。

 住宅リフォーム助成制度は、経済対策として抜群の成果をあげています。本区でも実施すべきです。それぞれ答弁を求めます。

 リーマンショックの際に「年越派遣村」が話題となりましたが、誰一人として区民が衣食住に困り、ましてや年越しできないような事態を生んではなりません。
 区長は、わが党の来年度予算要望書の提出の際に、国の支援制度がなくなっていけば「生活保護が増える」という認識を示されました。もちろん必要な方が生活保護を利用することは当然です。
 特に年末年始については、生活困窮者に対して、区の幹部職員も動員し、緊急の対応が取れるよう臨時の相談窓口を開設すべきです。答弁を求めます。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 まず、PCR検査の拡充・拡大についてです。
 今も感染拡大は止まらず、本区でも日に日に感染者が増えており、「検査・保護・追跡」の抜本的強化が求められています。
 しかし、首相は警戒感を呼びかけ、政府の対策分科会の緊急提言でも、国民への行動変容の呼びかけなど従来の対策の延長線上に留まるものです。
 政府は、11月10日のコロナ対策本部会議に提出された資料で、新宿区歌舞伎町においては、大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになったとその効果を認めています。
 社会的検査を強力に推進することが何よりも求められていますが、現状は、自治体任せです。
 この間、東京都は、特養ホーム、老健施設の職員の定期検査、入所者への検査の実施を決めました。また、通所施設についても職員と施設利用者と接待をともなう飲食店および周辺店舗の従業員等へのPCR検査も行われ、本区の補正予算にも計上されました。
 また、子育て支援施設で陽性者が発生した濃厚接触者以外の職員に対する検査、本人負担があるものの65歳以上は全部、65歳未満でも基礎疾患がある方にPCR検査を実施することになりました。
 検査の拡充は、歓迎すべきことです。しかし、冒頭述べた抜本的強化という点からは、十分だといえません。
 この間、医療や介護施設・子育て支援施設だけではなく学校などでも感染者が相次いでいます。だからこそ、江戸川区では、11月から高齢者施設の他、学校などの職員を対象にしたPCR検査を始めます。また、マイクロバス1台を用意し、希望する施設があれば、バス内で看護師が健康相談にも応じます。対象となる施設は、入所者の重症化リスクが高い高齢者施設や障害者施設、集団感染しやすい小中学校などの約1800施設、これらの職員約2万2000人を対象とし、今年度中にPCR検査を実施する予定です。
 世田谷区では、介護施設だけではなく全保育所を対象にした検査を行うとしています。検査の対象を医療機関、保育園・幼稚園、学校、学童保育クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に定期的な社会的検査を行い、感染拡大を事前に防いでいくことが求められますがいかがでしょうか。答弁を求めます。

 また、第二次救急医療機関に対する医療体制整備費の助成について伺います。
 夜間・休日を問わず新型コロナウイルス感染症の疑い患者受け入れに尽力している二次救急医療機関に対し、院内感染防止等のための医療体制の整備費が、この間の調査で、未だに助成されていないのが明らかになりました。予算上の措置もできており、病院の要望をしっかりと伺い、一刻も早く支給すべきと思うがどうか。

 次に、保健所体制について質問します。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、最前線で対応に当たる保健所では、患者の受診調整やPCR検査の検体搬送、患者の聞き取り調査など多岐にわたる業務で休みは満足に取れず、自らが感染の不安におびえ、ウイルスのまん延を食い止めるため献身的に職務に従事している保健所職員の負担を軽減しなければなりません。
 そのためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが確保は急務です。検査・保護・追跡を一体に推進し感染拡大を抑止するため、感染追跡を専門に行うトレーサーを確保すべきと思うがどうか。
 また、年末年始の保健所体制についてです。
 新型コロナウイルス感染に休みはありません。感染した疑いのある方を、受診体制の整った医療機関につなぐため、帰国者・接触者相談センター、感染症に関する一般相談窓口、「検査・保護・追跡」の一体的連携強化を切れ目のないようにしなければなりません。
 現行の保健所体制では、年末年始にこうした業務を続行することは、不可能です。今のコロナ禍は特別な災害であり、そうした立場で特別の体制を構築すべきと思うが、答弁を求めます。

 わが党は、介護事業所へのアンケートに取り組んできました。
 725事業所に郵送しましたが、約1割の70件が宛名不明で戻ってきました。私が、先の決算審査特別委員会で、この実態について認識を質したところ、東京都が把握すべきものだという驚くべき答弁でした。私は、廃業しているのではないかと思っていますが、だいたい保険者である区が介護事業所の推移を把握していないこと自体が問題ではありませんか。区長の認識を伺います。

 コロナ禍の下、回答があった半分以上の事業所から「減収」との回答でした。
 また施設では、面会、外出、レクリエーションの禁止や制限で「利用者の気持ちの落ち込み」「地域密着でありながら地域との交流ができず、外部とのかかわりがなくなり認知症状が進むのではないかと心配」「地域交流がなくなることにより高齢者の精神的な負担増になっている」、在宅では、「通所を利用休止したため、身体機能が低下した方が増えた」、「外出しないためADLも低下している」など、利用者を心配する声が多く寄せられました。
 職員についてもスタッフの健康、感染しない、させないよう仕事をすることによる精神的負担、職員へのPCR検査の実施などがあげられています。
 全体として減収や職員のメンタルを抱えながらも、利用者第一に、よりよいサービスを提供しようと頑張っている姿が伺えます。
 このようにコロナ禍の下でもサービスを提供する事業所が頑張っているからこそ、介護予防や重度化を防ぐことができるわけです。この間、指定管理者に対する赤字補てんをすることになっています。そうであるなら、介護保険事業所への赤字補てん・財政支援や職員への特別手当などを実施し、支えていくことが必要ではないでしょうか。答弁を求めます。
 国のコロナ対策として実施されているデイサービス事業所などへの介護報酬の特例措置は、提供したサービス時間より2段階高い介護報酬を月4回まで算定できるもので、その分が利用料の引き上げにつながっています。
 もちろんこの特例措置は、事業所の減収対策の側面がありますが、それを利用者に負担させることは間違いです。国に対して介護保険の財源ではなく公費をあてるよう求めるべきです。その間、区が独自に負担軽減を行うべきと思うがどうか。

 区政に対する要望もたくさん寄せられました。
 以下、第8期介護保険事業計画に反映することを求めます。
 1、 事業所からの共通要望として「人材不足」、「処遇改善」「介護報酬アップ」が出されています。
 アンケートには、職員の質の向上が必要という要求がある一方で、研修に参加できるほど職員に余裕がないという「人材不足」に悩んでいます。しかし、人材紹介手数料が高額になっており、区が斡旋する仕組みを作るべきと思うがどうか。
 2、 国の「処遇改善」は、介護職員全員が対象になっていないことや在職年数などの制約があります。対象外となった職員に区が独自に賃金助成を行うべきです。
 3、 要介護3以上の中重度の利用者を40%以上抱えていればケアプラン1件に月5000円が加算される特定加算がありますが、多くの事業所がこの対象になっていません、区独自の加算をすべきと思うがどうか。
 4、 アンケートでは利用者から「お金が足らない」「感染が怖くて外出できない、しかし買い物代行を頼むほど経済的余裕がない」などの声があります。利用料の独自の減免制度が必要と思うがどうか。
 5、 特別養護老人ホームについては、課税世帯の利用料が1ヶ月20万円前後と高額となっており、入所者を確保できていないなどの問題が生じています。利用料の軽減をすべきと思うがどうか。また約1,300人の待機者の内、13点以上が65%と重度化が進んでいますが、優先入所者が早く入所できるような増設計画を持つべきと思うがどうか。

 次に、区役所移転問題と立石駅周辺の再開発について質問します。 
 区長による、現庁舎は、最大限生かし、窓口業務など立石駅北口へ移すという表明は、総合庁舎を立石駅北口に移転させるという現基本計画の11プロジェクトのひとつ、また、総合庁舎基本構想がすでに破たんしました。それなのに、「庁舎基本構想」は見直さないとする区長の態度は、支離滅裂であり説明がつきません。
 いまコロナ禍にあり、いのちと健康、くらしや営業の深刻な危機にあり、区民をこのコロナ禍からどう守るのかが、最優先すべき課題であり、庁舎問題は最優先課題ではありません。
 そこでまず、庁舎の移転にかかる問題についてです。
 先の定例会で区長は、「庁舎基本構想」を見直すものではないと答弁しました。
 しかし、総合庁舎の最有力候補地として、立石駅北口に、26000〜29000uに総合庁舎を建設するというのが、この「庁舎基本構想」です。
 現庁舎を遺して、駅前には、窓口業務などを一部移転、その埋め合わせに、税務署、年金機構事務所、社会福祉協議会等の移転など、これから検討するというのですから、これで、どうして、「庁舎基本構想」が維持できるのか、解るようにご説明いただきたいと思います。 
 また、全面移転でないなら地方自治法上、議会で2/3以上の賛成の議決が不要になりますが、この区政の重要問題どうとらえているのか、答弁を求めます。

 総合庁舎ではないという前提ならば、建物の強度にも影響が及びます。その強度をどうするのかによって、工事費が異なってくるからです。安全性は、目標IS値0.6の一般公共建築物でよいということになりますが、そうした、検討は行ったのか、また、IS値の変更によって生じる建設費の概算についても答弁を求めます。

 区長発言、答弁は、現在、策定中の新基本計画との関係でも矛盾が生じています。前定例会の総務委員会報告では、新基本計画は、来年一定で素案報告・パブリックコメントと説明、6月に議会報告と変更しました。
 一方、庁舎は前定例会で立石駅北口の東棟(業務棟)の中に、区役所以外の業務用保留床を検討して、6月の議会で案を出して12月に決定すると報告しました。
 庁舎がどうなるのかということは区政にとって重要問題なのに、新基本計画を策定した後に、立石駅北口の庁舎一部移転と現庁舎の活用方針が定められるというのは、まさしく異常なプロセスだと思いますが、答弁を求めます。

 なぜ、このような矛盾が広がったのでしょうか。何が何でも立石駅北口再開発の本組合設立を最優先にしたため、整合性がつかなくなってしまっているのではありませんか。
 ましてや、来年6月の議会と12月の議会の間には区長・区議会議員の選挙があります。選挙のたびに区長はこの問題からいっかんして避けてきましたが、この問題は、選挙で堂々と区民に説明すべき大問題です。今度こそ、この問題を語らない選挙はあり得ないということを指摘するものです。

 第二に、立石駅北口再開発についてです。
 市街地再開発事業は、そこに住む住民が主人公でなければなりません。しかし、区は、平成13年の連続立体交差化事業の事業認可申請の時に都市計画決定に再開発を前提とした駅前広場を設置するとしたことでした。これが、鉄道事業と再開発という全く異なる事業を無理やり一体化することで、立石駅北口の再開発に前のめりになり、事業として採算性を持たせるために、総合庁舎移転という事業を選択して、半ば区の大型公共事業として扱われてきました。
 公平性をもつべき公務員を動員して、再開発に異論を唱える区民、地権者を排除し、進めたことが、住民の分断という罪深い、地域壊しとなりました。
 法的要件をクリアしたという強弁は、あらためて、虚構だといわなければなりません。
 土地所有者の合意は58%であり、連続立体交差化事業が遅れた結果、立石駅区間について、土地収用を可能にして買収した結果、区と土地開発公社の所有地が11%あまりでそれを合計して2/3となっているにすぎません。
 借地権者については、多数いることを知りながら、都市計画法を悪用して、一定の期間にけ名乗りあげた賛成者だけを集め、90%以上と強弁していますが、先の都市基盤整備特別委員会での質疑で明らかにされたように40名以上の地権者の意思が尊重されていません。

 しかも、都市再開発法の第4条では、権利者の営業やくらし、地域周辺の環境に影響するものであるだけに厳しい公共性を求める条文が定められています。これは、区画整理法にはない条文で、それだけ市街地再開発は、強い公共性が求められているわけです。
 ところが、東棟の計画は、先ほども述べた通り、何ができるかわからない、つまり、公共性が担保されていません。東棟に入る施設が、決まっていないのに、立石駅北口再開発の公共性とは何なのか、答弁を求めます。
 それなのに10月28日に区長は、準備組合理事長から本組合設立の申請を受け、11月11日に、東京都に申請を行ったと聞きました。再開発をためらい、また、反対する地権者が多くいるのに、本組合となれば、地権者の権利を強制的に縛るものであり、著しく地権者の権利を制限し、混乱させるものです。
 東京都への本組合の設立申請は、直ちに撤回すべきだと思うがどうか。

 第3に、立石駅南口東地区市街地再開発についてです。
 立石駅南口準備組合の理事が原告となり理事会を被告として係争した裁判では、すでに、判決が言い渡され、原告の勝訴となりました。その後、理事会の会計や都市計画決定にいたる議事録などの閲覧が可能になりました。区の理事者も毎回、参加している準備組合のこのような実態について、また、準備組合の理事が準備組合に対して訴訟がおこされるという事態について、まず、見解を求めます。
 問題は、こうした情報が開示される前に都市計画決定をおこなったことには、重大な瑕疵があったと思いますが、答弁を求めます。
 さて、清水建設が事業協力者として、工事から撤退するとの表明がありました。これまた、異常なことだと認識していますが、冒頭で述べた準備組合の理事が、準備組合を訴えた訴訟と清水建設撤退との関係をどう認識しているか、答弁を求めます。
 また、この裁判で、明らかにされたことは、参加理事の責任の重大性でした。
 予算委員会の質疑では、準備組合による事業協力者の負担金は、準備組合理事の負債にはならない、なぜなら、本組合設立後に、立替金を金融機関から融資を受けて事業協力者に返還するからだと答弁したからです。
 問題は、本組合設立後は、本組合の理事が金融機関から借り受けた全額について支払い義そ務があるということをこの判決では指摘しています。
 工事を請け負う事業協力者も不在になった立石駅南口東地区の都市計画決定は、この際、再検討するべきと思うがどうか。