2021年第一回定例会代表質問 質問者 三小田准一

開催日:令和3年2月25日 

 日本共産党区議団を代表して質問を行います。
 1月22日、核兵器禁止条約が発効されました。
 広島・長崎の被爆者をはじめ、「核兵器のない世界」を求める世界の圧倒的多数の政府と市民社会の共同した取り組みによる画期的成果です。
 日本共産党は、核兵器廃絶を戦後一貫して訴え、その実現のために行動してきた党として、心から歓迎いたします。
 条約参加を訴える国連決議には、国連加盟国の3分の2を超える130ヵ国が賛同しています。ベルギー、スペイン、オーストラリアなど米国の軍事同盟国からも条約を前向きに受け止め、参加を模索する動きもおきています。
 こうした時に、唯一戦争被爆国である日本が、禁止条約の参加を拒否していることは、恥ずべきことであり内外に失望を広げています。
 「核兵器のない世界」の実現に向け、菅政権に条約参加の決断を強く求めるものです。
 本区は非核平和都市宣言区として核廃絶を求める取り組みを営々と行ってきました。まず核兵器禁止条約発効について区長の認識を伺います。

 さて、新型コロナウイルス感染症から、いかに国民の命と暮らしを守っていくのか、政治のあり方、身近な自治体のあり方が問われています。
 菅政権のコロナ対策の無為無策ぶりは、GOTO事業で旅行や会食を促し、ウイルスを全国に広げ、感染爆発をおこし、緊急事態宣言発出の要因をつくったことに現れています。
 その後も、専門家の勧告を無視し、積極的検査戦略を持たないために、感染拡大が止まらず、医療機関がひっ迫するなか、緊急事態宣言が延長されました。
 菅首相は、1カ月で改善すると言ってきましたが、なぜできなかったのかの説明と反省がありません。これではまともな打開策を打ち出すことはできません。 
 それどころか、新型コロナ対応の改定特措法・感染症法を強行し、罰則規定を創設しました。また「まん延防止等重点措置」も新設され、緊急事態宣言が出ていない段階でも罰則が可能となりました。国民の協力によって進めるべき感染症対策に逆行する改悪です。
 民間医療機関に対してコロナ患者の受け入れに従わない場合は機関名を公表するとしていますが、医療機関の協力を得るために必要なのは、国の責任で減収補てんをすることです。事業者が休業や時短営業に従わない場合も罰則です。事業者が安心して自覚的に感染抑制に協力するには、罰則ではなく補償こそ求められます。
 まともな支援もせず、自己責任をおしつけるやり方でいいのかが問われています。
 自己責任の押しつけは、本区でも現れています。
 年末年始は、江戸川区では、福祉事務所の窓口を開設し相談にあたりました。「自治体としてやるべき姿勢を見せることができた」と評価をしているとのことです。本区でも専用相談ダイヤルを設置しましたが、区民への周知が徹底されず、相談はわずか5件にとどまりました。コロナで生活に困窮した区民に、真剣に寄り添う姿が見られません。
 5日付け広報かつしかの「一人一人の努力でコロナに勝つしかない」は、努力や自己責任を押しつけるものであり、さらに「勝つしか」の色をかえて葛飾区とひっかけていることは、真剣さに欠けるものです。
 防災行政無線で、毎日、区長がテープで呼びかけるのは、区長選のために自らの名前を連呼しているような誤解を与えています。区民へのメッセージというなら、職員の声に変えるべきです。
 コロナ危機をともに乗り越えるために、努力している区民の命と暮らしをどう守っていくのか、ここに来年度予算編成の最大のテーマがあります。

 新型コロナの最大の特徴は、無症状者が感染を広げていることにあります。
 この1年間をみても新規感染者数が減少したときに検査数を減らしたことが第2波、第3波を招きました。同じことを繰り返してはなりません。
 感染者の減少傾向の今こそ、PCR検査を拡充し、早期発見、保護治療で感染拡大を封じ込める検査戦略をもたなければなりません。
 しかし、第9次補正予算案、当初予算案には、その方向が見えてきません。高齢者だけでなく若い世代も含めていつでも誰でも無料でPCR検査が受けられるようにすべきと思うがどうか。

 ワクチン接種が始まりました。スケジュールについては区長があいさつでも述べられておりますが、安全性や有効性、供給量など、様々な情報が飛び交っています。接種のためのコールセンターは設置されますが、正確な情報公開と情報提供を発信するために、保健所職員の負担増にならない特別な体制をつくるべきと思うがどうか。

 暮らしと営業を守るためには、自粛と補償はセットでなければなりません。
 柴又の老舗「川甚」がコロナの影響により廃業したことがマスコミでも大きく取り上げるなど衝撃を与えました。国、都、区の支援策では持ちこたえられない証拠です。
 緊急事態宣言下では、時短に取り組む飲食店には1日6万円、取引先には最大60万円の補償がありますが、いずれも事業規模によってはまったく不充分です。その他の業種には支援がありません。
 区の感染防止協力金は、1000件を想定していながら決定は8割前後です。
 ジャズを聴きながら食事をする店舗では、「演奏をネット配信するための支援をしてほしい、150万円〜200万円あれば」との声が寄せられました。
 区内の酒販組合は現在2カ所ですが、量販店との競争の厳しさだけでなく、コロナの打撃で、組合を1カ所に集約し、これを機に3割が廃業しようとしています。酒販組合からは、売り上げ50%減の支援策の要件を「せめて30%減にしてほしい」との要望がだされました。
 50%の売上減というのは、営業だけでなく生活そのものが行き詰まっている状態であり、そうなる前の支援が必要です。
 国の持続化給付金、家賃支援給付金などは、せっかく申請しても不備メールが来て、なかなか受け付けない実態があります。
 たとえば、夫が死亡し、5月に妻が事業継承する開廃業届をだしても、4月1日までに届をだしていないため認めない、3月に保健所に、5月に税務署に開業届けを出したがこれも認めないなどです。
 ようするに営業実態にそくした支援になっていないのです。また、これらの給付金や協力金が売上で合算されるために、いずれは税金や保険料となって跳ね返ってきます。自粛と補償が一体になっていない証拠です。
 営業実態にそくした支援は、やはり身近な区政が対応しなければなりません。
国や都がやっているから、区は情報提供や案内するだけという傍観者的な立場に立っていては、基礎的自治体としての役割は果たせません。都の協力金への上乗せという区の協力金のあり方も狭い支援であり、区独自とは到底言えません。
 国、都にさらなる支援策を求め、暮らしと営業を守るために何が必要なのか、調査を行うべきです。事業所を限定せず、かつ事業規模に応じた実態にあった独自の支援をすべきと思うがどうか。

 75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げるのは、冷酷な政治の現れであり、国に撤回を求めるべきです。
 国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料のコロナ減免は、申請期限が延長されましたが、減免申請は昨年12月末で2600件を超えました。
 来年度の保険料は、国保料の医療分は据置、介護保険料値上げ、後期高齢者医療保険料は、特例軽減の廃止で一部値上げと聞き及んでいます。
 区民に希望が持てるメッセージとなるよう、国保、介護の保険料は引き下げ、後期高齢者医療保険料の引き下げを東京都後期高齢者広域連合に求めるべきと思うがどうか。

 医療機関は大変ひっ迫しています。
 日本医労連の調査では、医療機関の40%余りで冬のボーナスの引き下げ、日本看護協会の調査では、看護師や准看護師の離職のあった病院が15.4%になっています。もはや使命感だけでは働けない状況にあります。
 高齢者施設でのクラスターが相次いでいます。通所事業所では一人でも陽性者がでれば当面閉所を余儀なくされます。入所施設での職員の集団感染は、職員の補充ができなければ重大な介護崩壊が起きます。高齢者施設でも感染リスクの高いなかで必死に働いているのが実態です。それだけに支援の強化が求められます。
 医療機関、介護事業所に対し区独自の財政支援とともに、医療・介護の従事者に1人10万円の慰労金を支給してはどうか。

 次に、学校プールの廃止方針について伺います。
 教育委員会は、昨年10月13日「今後の水泳指導の実施方向について」を議論し、12月25日に決定しました。
 その内容は、今後の水泳指導は区立の温水プールや民間プールを活用し、小学校にプールは設置しない、中学校は学校の状況による、大規模改修は実施しないというもので、学校プールを廃止する方針です。
 50年以上にわたって続いてきた学校プールを活用しての水泳指導を、たった1回の議論で変えるのは極めて乱暴であり、学校プール廃止を打ち出したのは23区で葛飾区だけです。

 まず、区長にお聞きします。
 「学校改築の基本的な考え方」では、「学校施設は、子ども達の学習・生活の場という基本的な教育条件の一つ」と同時に、「生涯学習、文化、スポーツなどの活動の場として利用される最も身近な地域コミュニティーの拠点」「災害時には、地域の避難所として利用される重要な役割を担う、地域の核となる重要な公共施設」としています。
 要するに、学校プールも含めた学校施設は、教育と地域からの視点が重要だということです。したがって改築にあたっては、児童・生徒、教職員、地域住民の幅広い意見を聞き、合意に基づいてすすめることが必要ですが、そのプロセスが一切ありません。
 教職員については、説明も意見聴取もされておりません。当事者である児童・生徒についてもいっさい意見を聞いていません。
 どういう学校をつくるかの基本構想・基本計画の検討は、そもそも懇談会形式で区教委、学校関係者、設計関係者と町会長など15人前後で進められます。
 「案」が策定されてからの説明会は、保護者と学校から30m以内と限定され、極めて閉鎖的です。
 子ども、教職員そして学区域まで広げて地域住民から意見を聞くべきではありませんか。区長の答弁を求めます。

 教育委員会は、民間プールを活用するメリット、デメリットをあげています。メリットについてお聞きします。
 複数の専門のインストラクターがつき、プール管理も不要で、学校の負担が軽減できるとしています。
 しかし、これは議論のすり替えです。学校現場からは、長年、人の配置が要求されてきました。それを拒んできたのは区教委ではありませんか。
 教員の負担軽減が必要と判断するならば、専門の指導員やプール管理の人員を学校に配置すべきです。

 民間プール活用は経費削減になるとしています。
 民間プールの活用は年間500万円、学校プールは年間770万円と試算し、民間プールが安上がりと強調しています。
 学校改築には、都の財調算定があり財源が措置されています。その中にはプールの改築費用も含まれており、1校当たり小学校は1億1600万円、中学校は6600万円です。プールを改築してもしなくても措置されますので、改築しないのは、税金の使い方の主旨に反するのではありませんか。

 天候に左右されない計画的な水泳指導ができるとしています。
 教育的見地から屋内温水プールが水泳指導に適しているというなら、今後の改築校は屋内温水プールを検討し、改築の際の財調算定を温水プールにするよう都に求めるべきです。当面の対応として学校プールに屋根を設置すべきです。それぞれ教育長の答弁を求めます。

 次に、デメリットについてです。
 移動時間、移動時の安全確保をあげています。
 移動時間がかかれば、結果として、他の学習時間に影響を及ぼします。実際、改築中の中学校では、学校外の体育館を活用して体育の授業をしましたが、移動時間がかかり、授業時間を短縮しました。
 移動はバスも検討しているようですが、改築中の小学校では、学校外プールへバスでの移動でしたが、予算がとれず、15分間徒歩での移動を強いられました。   
 子どもの中には通常と異なることに緊張や興奮など、様々な反応を示す子もいます。移動といっても物ではありません。特別支援学級の介助員は移動に付き添うことはできません。
 区教委の「考えながら運用ができる」という姿勢は、子ども達を犠牲にし、事故につながることになりませんか。

 夏季休業中の水泳指導は「難しくなる」としています。
 夏季休業中は、任意の参加ですが、授業を補い泳力の到達を引き上げるためです。9月の水泳記録会は、水泳指導の集大成となります。学校ごとに民間プールでばらばらの水泳指導になれば、この記録会はできません。
 ある小学校教諭は「自校で指導できなければ岩井臨海学校には連れて行けない」と語っています。
 夏季休業中の水泳指導や水泳記録会ができなくなるのは、水に親しみ、泳力を身に着け、海や川での事故から子どもの命を守るという教育を否定することになりませんか。

 災害時の対応があげられています。
 13日に発生した福島県沖地震では、火災と断水の被害も出ました。学校プールは、災害時の貴重な消防水利となっていますが、消防署との協議はどうなっていますか。学校プールは、水害時に活用するゴムボートの訓練の場ですが、区教委は、「川で対応できる」と強弁しています。川での訓練は、かえって危険であり、災害時の公助を投げ捨てることになりませんか。ここには自助、共助を強調し、自己責任を押し付ける姿勢が伺えます。

 施設開放が「難しい」としています。
 これほど区民を侮辱するものはありません。
 鎌倉公園プールの廃止を強行し、その代替として東柴又小学校プールを開放しましたが、そのプールを廃止する方針は、区民をあざむくことになりませんか。
 今後、子ども達や地域住民が泳ぎたい時には、民間プールで高い料金を払っての利用となり、プールで泳げるかどうかは自己責任、区がスポーツ格差をつくることになりませんか。
 区立の温水プールにしても民間プールにしても一般の利用者がいます。学校が利用する時は、当然利用できません。区民の生涯スポーツを否定することになりませんか。それぞれ教育長の答弁を求めます。

 今年竣工する本田中と小松中は、民間プールの活用について、移動時間の問題や民間プールは恒久的ではないとの検討からプールを設置しました。であるならば小学校も同様ではありませんか。学校プールを設置しないという方針には道理がなく撤回すべきです。
 昨年3月、文科省は、学校施設の老朽化対策として、学校施設と他の公共施設の集約化、近隣学校の共同利用、民間施設の利用の重点化が進んでいないとし、学校プール廃止の事例をあげました。
 この国の動きが、青木区政の公共施設のリストラ計画に拍車をかけ、現在策定中の基本計画素案に学校プール廃止方針を盛り込もうとしていますが、到底認められません。削除すべきです。
 学校プールの廃止は、コロナ禍のもとでストレスを抱える子ども達に最悪のメッセージです。改めて撤回を求めます。区長の答弁を求めます。

 次に、子ども達の施設を次々に廃止しながら、大型開発には湯水のように税金をつぎ込んでいる問題についてです。
 来年度予算案では、64億円の税収減となり、区民の暮らしの深刻さが現れています。
 そのために区は、事務事業の徹底した見直し、事業の実施時期の見直しを行っ
 たとのことですが、見直しの仕方が違います。
 たとえば、実施時期の見直しで33億円ほど削減できたとのことですが、その内の15億円ほどは、学校関係で屋上防水工事、内装改修、スポーツ施設の環境整備などです。保育園のブロック塀改修も後回しです。子どもたちの教育や施設の予算を削るのは問題だと思うがどうか。
 その上、学校改築費用として財調算定される教育施設整備基金を来年度予算案に反映していないのは問題です。反映すべきと思うがどうか。

 見直すというなら、区役所建替え計画や駅周辺の再開発事業です。それだけでも第9次補正予算案、来年度予算案、基金積立から200億円を超える財源をつくりだすことができます。

 来年度予算案のプレス発表で、区役所は全面移転ではなかったのかの質問が相次ぎました。区長は、「新館をどう活用するのかということは決まっていなかった」と述べていますが、これは質問に答えていません。なぜなら全面移転は決まっていたからです。
 区長は、昨年の第3回定例会のあいさつで、「新型コロナウイルスを契機とした区民の意識や生活様式の変化をとらえ、総合庁舎のあり方について改めて見直す」と述べられました。「あり方」を辞書で調べると「あるべき姿」「本来どういうものでなければならないのかの問題」とあります。ところが総務委員会での庶務報告では、突然具体的な整備の内容になっています。総合庁舎のあり方をどのように見直したのか、その形跡がありません。
 区としては、総合庁舎のあり方を基本構想、基本計画、基本プランとして示してきたわけですから、それ自体を見直さなければ「あり方」を見直したことにはなりません。これらの計画などが、あたかもなかったかのようなやり方は、区民を愚弄するものです。
 基本計画の重要プロジェクトからも外し、全面移転もやめるとなれば、当初予定していた整備計画が破たんしたことを認め、白紙に戻すのが筋ではありませんか。区長の答弁を求めます。

 立石駅北口再開発事業計画は、区役所全面移転が前提ですので、この計画も見直すべきです。そもそも区及び区土地開発公社の土地を除けば地権者の3分の2の合意がないだけでなく、全面移転でなければ、地権者への説明も、合意形成もやり直しということになり、認可手続きに合理性がありません。
 認可申請に対し、1月14日までに都に60件の意見が寄せられ、2月10日の口頭意見陳述には7名が反対の意地陳述を行いました。
 今月12日には、地権者の方々が、東京都に対して認可審査の中止の申し入れをおこないました。本区のまちづくりに禍根を残さないためにも、思い切って見直すべきです。
 金町駅南口地区再開発ビルの3階保留床の購入価格は16億円です。保留床の購入だけを先に決め、どんなサービスを提供するかは民間任せになっています。税金の使い方が逆立ちしています。
 東金町1丁目西地区再開発事業は、「生活再建」の名で特定企業を優遇するものです。補正予算案には当該地区の土地購入のための36億円が計上されています。こうした大型開発に注ぎ込む予算をコロナ対策にまわすべきです。区長の答弁を求めます。

 最後に、基本構想、基本計画についてです。
 今やるべきことは、新型コロナから区民の命と暮らしを守ることです。コロナの変異種も出現し、今後、この感染症がどう推移していくのか誰にもわかりません。だからこそ、基本構想の策定を急ぐのではなくコロナ対策に集中すべきです。
 そもそも基本構想と基本計画を同時進行で策定することには最初から無理がありました。
 アフターコロナをどう展望していくのか、地球温暖化、ジェンダー、貧困など、社会が抱える課題にどう立ち向かっていくのか、じっくりと考えるためにも、基本構想の策定を、今定例会で決める必要はないと思うがどうか。
 現基本計画の最終年度は2022年度です。計画策定を前倒しするのではなく、コロナ対策に集中すべきと思うがどうか。
 私の質問は以上ですが、答弁いかんによっては再質問することを表明し終わります。