2021年第四回定例会一般質問 質問者 片岡ちとせ

開催日:令和3年12月3日

 日本共産党の片岡千歳です。通告に従い質問します。よろしくお願いします。
 最初に子育て支援について質問します。
 区長は、16日の臨時議会でのあいさつで、子育て支援は「最重要施策の一つとして取り組んできた」と述べられました。
 私も子育てしやすい葛飾を作っていくことは重要なことだと思います。そこでいくつかの点についてお聞きします。

 まず保育園の待機児についてです。
 4月1日現在では待機児ゼロになったものの、旧基準、いわゆる地方単独事業を利用している、他に利用可能な保育所等がある場合など、240人が隠れ待機児となっており、保護者の希望にそった入園ができていないのが実態です。
 昨年10月1日現在の待機児は、166人でした。今年10月1日現在の待機児は何人でしょうか。
 基本計画に待機児ゼロの目標を明記し、保育に欠ける子どもを保育する姿勢を明確にし、常に対応できる環境を整えることが自治体の仕事です。
 待機児は、0歳〜2歳に集中し、地域差があります。それだけに民間事業者まかせにせず、必要な地域に公立保育園を緊急増設することが必要ですが、区は、9月以降公立保育園の新規募集を停止し、未だに0歳児保育や延長保育をすべての園で実施しないなど、公立保育園が果たす役割を放棄しているのではないでしょうか。
 通年の待機児解消のためにも、公立保育園の緊急増設や、0歳児保育や延長保育など、事業の拡充を行うべきと思いますが、答弁を求めます。

 学童保育クラブの待機児解消も急がなければなりません。
 4月1日現在で259人となっているにもかかわらず、早急に対応する姿勢は見られず、今年度の新規増設はありません。
 保育ではなく見守りだけの夏季休業中のサマーチャレンジを実施することが、さも待機児解消につながるかのように装っていますが、極めて無責任です。
 学校内に整備することに固執するあまり、緊急増設に踏み出せない状況を改め、学校内にこだわらず、待機児を解消する立場での整備方針に転換すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 このように保育園、学童保育クラブの待機児解消に責任を果たさず、この間、児童館の全廃方針に続き、学校プールまで廃止しようとするのは、子育てしやすいどころか、子どもに冷たいと言わざるをえません。
 その大本にあるのが、公立保育園の廃止・民営化、公立学童保育クラブと児童館の全廃方針である子育て支援施設の整備方針です。この方針は撤回すべきと思いますが、答弁を求めます。
 私は、子育てしやすい葛飾をつくっていくためには、子どもの立場になって、安心して成長できる居場所を増やすとともに、経済的支援を強める必要があると思います。
 私たち日本共産党は、先の区議選で、子育て支援3つのゼロを訴えてきました。
 1つは、国民健康保険料の子どもの均等割保険料です。
 子どもが1人増えたら保険料徴収の通知がきますが、このような無慈悲な制度は他の健康保険にはありません。「子どもの保険料は廃止を」の声が政治を動かし、来年度から就学前は半額となりますが、区独自に残りの半額を補助し、無料にしてはどうでしょうか。
 2つ目に、学校給食費です。
 本区では多子世帯への補助をしていますが、全国的にも無償化する自治体が増えています。本区でも無償にしてはどうでしょうか。
 3つ目は、子どもの医療費助成です。
 児童福祉法では、児童とは「満18歳に満たない者」となっており、子どもの医療費助成について、15歳までとするのは合理性がありません。医療費助成は18歳まで拡大すべきと思いますが、答弁を求めます。

 次に、人権・多様性についてです。
 今、世界においても日本においても、ジェンダー平等社会の実現に、政治が本気で取り組むべき局面が来ています。
 ジェンダー平等とは、性別による違いにより、差別や格差といった不平等を解消するということです。すべての人が生きやすい社会を目指そうという動きがSDGsの広がりとともに世界で広まっています。
 私は、昨年11月の「葛飾区男女平等に関する意識と実態調査報告書」を読み、男女の地位の平等感について、「全体として、現在の日本では」平等であるが13.8%、男性優遇が74.4%、女性優遇が4.0%と、圧倒的に男性優遇の実感が多く、5年前と比較するとすべての調査分野で男性優遇の割合が増加していることに驚きました。
 特に『政治の場』で9ポイント増加しているのは、女性政治家が少ないというだけでなく、女性の声が政治に届きにくい現状に多くの区民が不満を持っていることの現れだと思います。そして行われました11月の区議選で、女性議員の割合が7.5ポイント増加したことはまさに、ジェンダー平等に対して本気で取り組む政治が求められていることの結果ではないでしょうか。
 そこで質問します。
 本区の人権・多様性施策で使用する「男女平等」の名称を、SDGsで使用する「ジェンダー平等」に変え、より多くの人が当事者性を獲得できるようにしてはどうか。
 また自由に選択できる学校制服や、オールジェンダートイレも増設するなど、SOGIに配慮したジェンダー平等の実行項目も具体的に計画すべきと思うがどうか。
 「報告書」によると家事や育児のほとんどを女性が担っていることに一番不平等を感じていると回答が出ており、ワークライフバランスが進んでいない状況が分かります。
 これは女性の賃金が低いために、無償の家事労働や育児などを引き受けざるを得ない社会的背景があります。国税庁の統計調査では、正社員でも女性の賃金は男性の7割と、生涯賃金で1億円もの格差があり、老後に受け取る年金にも影響し、生活できない低年金問題にもなります。
 そこで質問します。
 賃金格差の解消はジェンダー平等社会の実現において根幹を成すものです。区として区内の事業者の男女別賃金の実態を調査・公表し、是正を促すための支援を行うべきではないでしょうか。
 区長は、SDGsの考え方を全ての施策に反映し、生かすと挨拶されましたが、基本計画では、男女の共同参画が進んでいると思う区民の割合が、現状41.5%から10年後は44.8%と、たったの3.3%しか改善が見込めないのはなぜか、理由をお示しください。

 「報告書」では、少数ながら同性のパートナーと同居しているカップルが区内にいることが分かります。
 今年3月の朝日新聞の世論調査では同性婚を「認めるべき」が86%となり、年代が若くなるほど賛成していることが分かっています。
 近隣区の江戸川区は『同性パートナー関係申出書受領証』制度を2019年4月1日から開始して現在3年目。これまでに30組が利用しています。足立区では『足立区パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度』を2021年4月1日から開始し、運用7か月でこれまで17組、そのうち1組はファミリーシップ制度まで利用されています。
 本区では「性自任・性的指向に関する相談窓口」を開設するなど、理解促進の取り組みをしていますが、若年層の生きづらさの悩みは年代が上がれば住居や医療、財産など生活に直結した問題となり、権利保護の仕組み作りを急がなければなりません。
 さらに、一部の政治家による「LGBTは生産性がない」、「LGBTばかりになったら国が亡ぶ」といったような発言を聞き流すこともできません。
 そこでお伺いします。
 国に対して、LGBT平等法、同性婚の法整備を求めるとともに、本区でも同性パートナーシップ制度を創設すべきと思うがどうか。また性的マイノリティーの権利保障の仕組みを作るべきと思うがどうか。答弁を求めます。

 次に、地球温暖化対策について質問します。
 世界各地で異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇など、気候危機と呼ぶべき非常事態が起きています。気温上昇を1.5度に抑えても、洪水のリスクにさらされる人口は今の2倍となり、食料生産も減少するなど人類と地球環境は打撃を受けますが、それを上回る気温上昇となると、その打撃は甚大なものになります。また新型コロナウイルス、エボラ出血熱などの新しい感染症が次々と出現し、人類社会の大きな脅威となっていますが、この背景にも、森林破壊をはじめとした環境破壊、地球温暖化があります。
 COP26では、気温上昇を1.5度未満に抑えるための削減強化を各国に求める「グラスゴー気候合意」を採択し閉幕しました。
 CO2排出世界5位の日本の責任は重大で、未だ石炭火力発電にしがみつき、国際NGO「気候行動ネットワーク」から、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」という大変不名誉な賞を贈られました。
 国連IPCC「1.5度特別報告書」は、2030年までに温室効果ガスの排出を2010年比で45%削減を求めています。
 日本政府の削減目標は「2013年度比で46%削減」です。これは2010年比にすると42%減となり、全世界平均よりも低い数値です。日本がなぜ2013年度を基準にしているかといえば、東日本大震災の復興により近年で最大にエネルギーを消費した年であるからです。
 区長は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすると宣言されましたが、それに向かい2030年度までに達成すべき目標値をお示しください。

 区は、区内最大の事業者ですので、率先して省エネ推進、再エネ利用を行い、CO2削減をリードする必要があります。
 前期実施計画では、温室効果ガス排出量は、4年間でわずか8.9%削減となっていますが、2030年までに区民・事業者・区が達成するべき成果指標をお示しください。またCO2削減をより強力に進めるため、区内施設で使用する電力は再エネを100%供給している電力会社と契約してはどうでしょうか。
 ヒートアイランド現象の抑制とCO2を減らす取り組みには植樹の位置づけが必要です。亀有の東部地域病院横にマンションとスーパーが建設されました。その工事の際、歩道に生えているメタセコイア2本など、地元住民の存続願いを聞かず、民間事業者の建設計画のために街路樹が伐採されました。
 グラスゴー気候合意では「温暖化ガスを吸収する森林などの自然と生態系を保護し、回復することの重要性を強調する」と発表されています。このような新しい提言を区政にも反映していくべきだと思います。
 アメリカ、ニューヨーク市では市内の街路樹マップを作り、一本一本の樹木がどれだけ空気汚染や水害、CO2削減し、エネルギー節約に役立っているか、また樹木や公園の管理活動を目に見える形で市民に情報提供しています。
 そこでお伺いします。
 区内の街路樹、公園や公共施設の植樹の管理について、本数の把握や各樹木のCO2吸収量など、区民に見える化して環境保全意識を高めてはどうか。
 また区が所有管理している樹木を切った時には、その分新しく樹木を植え、木をこれ以上減らさない取り組みを行うこと、また学生など若い世代が参加する、環境取組み評価チームを作ってはどうか。答弁を求めます。

 以上で私の質問は終わりますが、答弁いかんによっては再質問をすることを表明しておきます。ご清聴ありがとうございました。