2021年第四回定例会一般質問 質問者 中村しんご

開催日:令和3年12月2日

 日本共産党葛飾区議会議員団を代表して区政一般質問を行います。
 はじめに、庁舎移転問題について質問します。
 これまで、過去三回の区長選挙は、青木区長との一騎打ちの構図でしたが、青木区長は、一言も区役所移転問題にはふれませんでした8年前は選挙が終わると総合庁舎基本構想の策定を指示しました。これが、破たんした立石駅北口再開発を救済するための税金投入となる方向性を定めるものとなりました。
 4年前は、選挙の直前に立石駅北口再開発のための都市計画決定を強行し、マスコミでも庁舎問題が争点と報道しましたが、何も語りませんでした。
 2020年一定で、最大会派の自民党議員団から庁舎移転計画の見直しを迫りましたが、根本的な見直しが行われませんでした。再開発は法律で2/3の地権者の賛成が必要です。当時所有権では58%の地権者しか賛成していなかったのに、区と公社の所有地11%を加えて2/3を超えたとして本組合の設立・認可に舵を切りました。反対もしくは態度表明をしていない多くの地権者がいるのに中立・公正な立場で住民のまちづくりの意識を醸成すべき立場の区が、本組合設立のために賛成派に手を貸して、すべての地権者の手足を縛る決定へと導きました。
 そして、選挙直前の三定で立石駅北口再開発での保留床をどのように活用するのかという「総合庁舎整備と現庁舎・庁舎敷地の活用方針(素案)」を示し、今議会で決定すると区長が表明しました。
 マスコミでも区長選の最大の争点は庁舎問題と報じましたが、区長はまたもや選挙中、何も語りませんでした。全戸配布の選挙公報にも一切この大問題を書いていません。
 現計画でも660億円という莫大な税金投入を伴う、庁舎移転・立石駅北口再開発について、何も語らないことは、無責任です。
 しかも、再開発ビルの床を埋めるために税務署や年金事務所、社会福祉協議会が保留床を購入する案はなくなり、都税事務所も未定の状態です。
 旧館は、解体、本田消防署の誘致としていましたが、わが党が東京都に問い合わせると「本田消防署より古い消防署が多い」と回答があり、素案の段階で撤回しました。
 策定しようとしている「総合庁舎整備と現庁舎・庁舎敷地の活用方針案」そのものが不明確です。そもそも、現庁舎新館は、あと、37年使用可能であり、80年使用できるという前提に立つなら旧館も、あと、20年使用可能で、そもそも建替えの必要がありません。
 庁舎問題の本質は、行き詰まった再開発の救済策です。このままでは更に、税金投入は膨らみます。
 しかも先の区議会議員選挙で14名の新人議員、三分の一以上ですが、その新議員の意見を十分にくみ取ることなく、区政の重要問題を区長が示すプログラム通りに進めていいのかが問われています。しかも、先ほどの区長挨拶でもこの件は、一言もありませんでした。
 今定例会での本方針案の決定は時期尚早なのではないか。

 過去三回の青木区長との一騎打ちで庁舎建替えに反対し、わが党も支援した候補者が、2013年、野口候補は36699票 、2017年、木原候補50126票 、先月の区長選では、梅田候補は、60497票獲得しました。
 対立候補の得票増について、庁舎問題も含めて、批判が増大していると受け止めるべきと思うがどうか。

 次に学校プール問題について質問します。
 まず、学校プール廃止のデメリットがいよいよ広がっているのに、矛盾が広がり続けています。
 先の定例会でも、移動時間と安全が保てない、区営であれ民間であれ温水プールを利用する一般利用者への使用制限、災害時に活用できないなどです。
 こうした矛盾は、新たに温水プールを設置しても、解決できません。

 先の定例会では水元小プールの請願は議会の意思として継続となりましたがどう受け止めているのか、答弁を求めます。
 水元小プールの存続を求める団体は、区営水元温水プールを管理する指定管理者のインストラクターは募集には、「普通に泳げる程度で問題ない」と指摘しています。しかも現場の教師が水泳インストラクターに「業務上の指示や命令はできません」これを無視すると「偽装請負」となる認識はありますか。教育長をはじめ、インストラクターによりよい水泳指導ができると強調してきたことは不適切です。いま、必要なのは、こうした説明のつかない答弁をくりかえしてきたことを「反省する」ことなのではありませんか。

 過日、二上小問題住民の意思を無視した基本構想・基本計画が11月17日付で届きました。10月5日の住民説明会では、プールをなくすことに全員が反対していました。D案というのはマンションの真横になり、その住民が反対を表明しているのにお構いなしでの決定です。住民の意見に耳を傾ける姿勢が問われています。この基本構想・基本計画は撤回すべきです。

 四つ木中・小学校の建替え懇談会は、やはり、プールの設置について問題となり、これまで10回の懇談会が行われました。そしてたどり着いたのは、プールの設置については棚上げにしたまま、基本構想・基本計画をつくろうとしています。こんな支離滅裂なことはやめ、プールをつくる計画として明記すべきです、答弁を求めます。

 地域の郷土史のパンフレットに木根川小初代プールは、昭和31年に区内小中学校では、11番目に開設され、当時の新聞記事も紹介されています。工事費は、270万円、内訳は、区が90万円、PTAと地元町会有志が一体になって作った建設協賛会が180万円を集めて建設したものでした。まず、こうして、地元との協力で設置されたプールがどれだけあるのか伺います。こうした歴史をどうとらえるのか、答弁いただきたいと思います。

 これは、区長・区議選の最中にある小学校の近隣にまかれたチラシです。
 10月31日から11月6日までの7日間が、区長・区議選が行われていました。梅田区長候補もわが党の候補者も他の候補者も「学校プールを守れ」と訴えていました。
 ところがプールをなくす宣伝物が白昼堂々と中立・公正であるべき公務員によって配付されたことは、選挙妨害以外の何物でもありません。
 まず、この配布に要した税金はいくら投入されたのか。区長の意思で配布させたのか。 そうでなければ、地方公務員違反の越権行為を行った職員を処分すべきではないか。それぞれ答弁を求めます。

 次に、新型コロナ対策について質問します。
 多くの国民による五輪開催の反対を押し切り強行した結果、感染爆発を起こし、医療崩壊、入院病床が不足し、政府による原則自宅療養という無責任な方針をとった結果、救える命さえ救えない事態となりました。二度とこのような事態を招いてはなりません。

 そこで第一に、保健所と医療体制の強化について伺います。
 東京都は、第5波のピークだった8月、濃厚接触者を追跡する調査を事実上縮小し、放棄する通知を出し、都内の重症者は297人に達し、約400人が亡くなりました。本区でもこの通知によって追跡・調査、情報公開も後退しました。自宅療養者が1200人を超えこの中から死者が生れ、保健所の体制が逼迫しました。
 しかし、墨田区では重症者、死者とも一人も出しませんでした。それは保健所と医療体制の強化によるものでした。これまで通り調査を続け、無症状者を早期に発見するため、濃厚接触者の追跡、また、検査を万全に対応しました。
 この姿勢を学ぶ必要があるのではないでしょうか。保健所体制を125人増員し、自宅療養者全員に血中酸素飽和度を測るパルスオキスメーターを配置し、24時間体制で自宅を訪問する健康観察チームを5ヶ所整備し万全の態勢を取ってきました。
 また、週1回、保健所、医師会、全12病院でミーティングを行ない「地域の連携力」を発揮し、重症者を増やさないため、重症化リスクのある人や、症状の悪化が見られた人に早く抗体カクテル療養を実施し、墨田区は独自に区内の病院と協議し、1床あたり上限100万円補助することで、緊急対応病床の確保し、自宅療養者は400人を超えましたが、全員、重症となることを防ぐことができました。このように、検査、追跡、医療体制などを進める姿勢が必要ではないのか、答弁を求めます。
 都の施策として区が適地を確保すれば、医療用のベッドを確保できる補助金のメニューがあり、活用すべきと思うがどうか。
 政府は、地方財政対策において、保健所において感染症対応業務に従事する保健師が現行の1.5倍にするよう指示しましたが、本区では、この方針に基づきどのように増員していくのか、答弁を求めます。
 引き続き、保健所は、三度目や低年齢層のワクチン接種などコロナ対策として機能の強化が必要であり、また、感染拡大次第では必要な人材を集める必要がありますが、そのための体制構築についての基本的な考え方について答弁を求めます。

 第二に、検査体制についです。
 岸田首相が総選挙中に「無料検査はしっかりすすめる」と訴えていましたが、健康上の理由などにより、ワクチン接種を受けられない人を対象に限定、また、感染拡大がみられるときに支援するというもので、線引きがあいまいです。
 感染拡大時に検査数を大幅に増やすため、無症状の人でも都道府県が認めた検査場での検査を無料にするとし、都も補正予算で710万人分のPCR検査を認めたことは重要です。第6派を抑え込む、大規模検査として「いつでも、誰でも、無料で」という立場で、職場、学校、保育所、家庭などでこの制度をどのように運用していくのか、答弁を求めます。

 第三に、事業者への支援についてです。
 東京商工リサーチでは、コロナ関連の倒産件数が、今年に入り2月以降100件を超え、9、10月は2ヶ月連続で最多を更新しています。
 今も、区民のくらしと営業はますます追い詰められています。政府は事業者への給付金は、支給額は昨年の持続化給付金の半分程度と報道されています。
 前年と同程度の持続化給付金や家賃支援給付を、また、前年度比較して、50%の減という条件の緩和を国に求めるべきだと思うがどうか。

 また、ある試算では、感染防止協力金を1400万円受取り、売上が300万円の場合、控除が200万円として、来年度の所得税320万円、住民税144万円、事業税60万円、国民健康保険料99万円、支払いが623万円と急増します。売上減のままでは、納税や保険料の支払い困難が生じます。
 感染協力金を受け取った人が、営業不振の場合、引き続き来年度以降も調整三税は都に滞納処分の執行を停止するよう求めるべきと思うがどうか。また、国民健康保険、介護保険、地方税なども来年度以降も継続的に減免するよう求めるべきと思うがどうか。

 区長挨拶では、「中小企業の業績が回復するには、時間を要する」と述べ、融資制度の申込期間を来年3月末まで延長すると述べました。しかし問題は、新型コロナウイルス感染症の影響により業況悪化は続いており、苦境にあえいでいます。 
 来年度も新型コロナウイルス対策持続化支援・借換融資を延長すべきだがどうか。

 最後に、コロナ禍の中、原油価格の高騰にともない、区民のくらしと営業が圧迫されています。中小事業者への燃料費助成制度の創設、福祉施設への暖房費への助成実施をすべきだと思うがどうか。
 生活保護世帯の冬季加算の上乗せのための法外援護を実施すべきと思うがどうか。
 また、非課税世帯、高齢者、障害者、ひとり親世帯、本区が支援を必要と認めた場合、生活困窮者冬期特別対策として暖房費の助成を行なうべきだと思うがどうか。