開催日:令和4年2月28日
日本共産党区議団を代表して代表質問を行います。
さる24日、ロシアのプーチン政権は、ウクライナの主権と領土を侵す軍事侵略を開始しました。国際法も国連憲章も真っ向から反する侵略行為です。またプーチン大統領は、ロシアが核保有大国であることを示し、攻撃されれば核兵器で応えると公言しています。これはいざとなったら、広島、長崎のような惨劇を引き起こすという世界に対する脅しであり、およそ文明国には許されません。
日本共産党は、プーチン政権を厳しく糾弾し、直ちに軍事行動を中止することを強く求めます。
さて昨年10月〜12月期のGDPについて、経済財政担当相は、「おおむねコロナ前の水準まで回復した」と述べ、区長も16日の所信表明で「景気の持ち直しが期待されている」と述べられました。
コロナ前の水準というのは、19年10月に当時の安倍政権が消費税増税を強行した影響でGDPの水準も極めて低いものでした。決して経済回復といえるものではありません。
21年の成長率を四半期ごとにみると、マイナスとプラスが交互に入れ替わっています。これは、コロナ感染の拡大と減少の進展に左右されたものと言えます。再びコロナ感染が広がった今年の1〜3月期はマイナスとなる公算が高いと思われます。
ですから今、国や自治体がやるべきことは、コロナ対策に全力を上げることであり、景気対策とは切り離して考えていかなければなりません。
ところが、政府のコロナ対策は、ワクチン接種率はOECD最下位、1日の検査目標の引き上げもなく、成り行きまかせです。これは本区でも同様です。ワクチンだのみで、暮らしと営業を支える給付金は国頼みです。区民の命と暮らしを守る基礎的自治体としてそれでいいのかが問われています。
財政が厳しいのか。決してそんなことはありません。
現に、財政規模は、法人住民税などの顕著な伸びもあり、第9次補正予算案では、庁舎整備基金に30億円をはじめ100億円を超える巨額の積み増しを行い、基金の年度末残高は1286億円を見込んでいます。庁舎や新金線の基金は、前年度積み増しをしなかった分を加えて、要するに例年の2倍の積み増しを行っています。財政が厳しいと言えないのは明瞭です。
今定例会では、公共施設整備、まちづくり、教育施設整備、住宅整備の4基金を公共施設等整備基金の1本に再編する議案がだされています。
起債を抑制し将来の負担を減らすとのことですが、以前も教育施設整備積立基金からの一時借り入れに対して、特定目的外の活用となり問題があると総務省から指摘を受けた経過があります。
今回の再編は、この特定目的を外し、区長の匙加減で何にでも使えるものになってしまいます。その証拠に、4つのそれぞれの取り崩し計画はあっても、それぞれの積立計画はなく、一括の積立計画です。そうなると、議会にも区民にも見えないものになり、税金の使い方としては、極めて危険なものだと言わなければなりません。
わが党は、22日の総務委員会で教育施設整備積立基金については、従来通り、特定目的を持った基金とすべきだという立場から修正案を提案いたしました。特に子どもたちの教育にとって、さらに地域コミュニティーと生涯学習の核となる教育施設は、やはり特定目的をもって確実に積み立てを行うことが重要です。今回の基金の再編については、撤回すべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
コロナ対策を強化し、命と暮らしを守るための財源は十分あることは基金の状況をみても明らかです。
未だ連日500人前後の陽性者が確認され、140人を超える死亡者がでています。
新型コロナの特徴は、症状がない感染者がいること、症状がない時でも他者へ感染させていること、そして無症状や軽症であっても一気に悪化し、重症化したり死亡したりしているのが特徴です。
ところが区長は、優先すべきものを見極めると述べ、補正予算案でも来年度当初予算案でも新たなコロナ対策はなく、まさに成り行き任せで、危機意識が欠けています。
最初に検査と保健所体制についてお聞きします。
感染症対策の基本は検査です。無料の大規模検査で早期発見、保護・隔離し、医療につなぐことが必要です。東京都の不充分な無料化事業に安住すべきではありません。
墨田区では、国や都が保健所業務を縮小する中でも検査部門を守り、いち早く独自の検査に乗り出しました。墨田区の保健所長は、「現場の医師たちが、検査をしたい、患者を入院させたい、という時に、ちゃんとできるようにする、これが保健所の仕事」と語っています。いわば、国や都からのさまざまな連絡・変更に惑わされず、科学者の意見を重視し、行政の施策の範囲内で実施するのではなく、区民のニーズにこたえてメニューを広げること、それが公の仕事との認識で執行にあたっているとのことです。
区民の命を守るために、いつでも誰でも無料でできる大規模な検査を実施するための思い切った予算措置を区として決断すべきではありませんか。また、検査は、感染症だけでなく、食品の安全などさまざまな分野で活用されます。本区の検査部門は、環境衛生のほんの一部でやっているものの、ほとんどが外注です。区民の命と健康を守るためにも、保健所の検査部門の再構築と常勤保健師の増員で体制強化をはかるべきです。区長の答弁を求めます。
学校、保育園、学童保育クラブでの感染が広がり学級閉鎖や休園、高齢者の施設でも100人を超える規模のクラスターも起きています。
介護施設等では検査が実施されており、このたび学校も東京都が週1回の検査を実施するとしました。区が実施すべきは、公私立問わず、保育園や学童保育クラブなどの子育て支援施設の従事者に対して、頻回検査ができるようにすることではありませんか。答弁を求めます。
区立図書館を休館し保健所の応援体制にまわしていますが、23区で本区と同様の理由で休館しているのは1区だけで、21区は感染対策を取りながら開館しています。受験シーズンでもあり開館は当然です。
保健所の応援体制は臨時職員の直接雇用で補い、知る自由、歴史や文化に触れる機会、区民の生涯学習となる図書館におけるサービスは再開すべきです。答弁を求めます。
冒頭申し上げたように、今区がやるべきことは、コロナから区民の命と暮らしを守ることです。
巨額の基金の積み増しではなく国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の値下げ、学校給食費の無償化、18歳までの医療費無償化に踏み出すべきです。また保育士や幼稚園教諭に対する住宅手当等は、実質、賃金助成につながるものであり、介護施設における労働者にも適用すべきです。区長の答弁を求めます。
次に、区役所の移転・建て替えと立石駅北口地区再開発事業についてお聞きします。
区は、「新庁舎の整備に向け準備を進めています」と題した1月25日付け広報かつしかを全戸配布しました。そのタイトルの下に、小さく「立石駅北口地区の再開発事業で建設される東棟に移転」と書かれてあるように、区役所の移転とこの再開発事業は一体のものであり、区役所の移転なしに、この再開発は成り立ちません。
ですから切り離して論じたり区民に知らせることは、真実を隠すことになってしまいます。
まず区役所の移転先としている立石駅北口地区再開発事業についてです。
今月15日、NHKラジオ番組でこの再開発事業が取り上げられました。都市計画の専門家から「スクラップ&ビルドでは、コミュニティや文化が壊されてしまう。修復型や保全型の再開発、防災上の問題ある部分を手直ししていく不燃型の再開発など、もう少し知恵を絞る必要があった」「身の丈にあった再開発というのは住民の理解を得て進めること」「再開発を成功させるカギは何か、もっとも大切にすべきことは何か」と聞かれ、「徹底した議論を通じて一番いい答えを導きだしていくこと、子どもからお年寄まで住民の暮らしを大切にしながら身の丈にあった再開発が必要」とコメントしていました。
ところが、立石駅北口再開発事業は、これまでも指摘してきた通り、区有地等を入れることによって、やっと3分の2をクリアーしたものであり、住民合意はありません。
さらに再開発地区内では、210人の借家人が長年商売を営み、立石のまちなみや居酒屋文化を支えてきましたが、再開発に対する権限はなく、ほとんどが補償料を受け取って出ていくしかありません。しかし、いまだ補償の合意のメドは立っていません。
本来、区民の暮らしを守らなければならない区政が、住民追い出しに手を貸すことが許されるでしょうか。区長の認識を伺います。
今からでも遅くはありません。住民説明会やアンケートなどを通じて話し合いをし、住民の理解を得るという身の丈に合った計画にすべきです。答弁を求めます。
次に、区役所の移転についてです。
そもそも区役所の移転には、区議会での3分の2の議決が必要ですが、未だされておりません。また先の区長選で青木区長は、一言も区役所移転にふれず、選挙公報にも掲載していません。選挙で民意を問わず、区議会での手続きも無視して、あたかも決まったかのように税金を使って宣伝するのは、民主主義を否定するものではありませんか。区長の認識を伺います。
この再開発事業には、区役所の移転費用に加えて、国、都、区の補助金を合わせると、約660億円もの税金投入が生じることはすでに明らかになっています。ところが広報かつしかでは、247億円で済むかのような記載となっていますが、なぜ区民に本当のことを知らせないのですか。区長の答弁を求めます。
当初予算案には、新庁舎の建築・設備計画、庁舎機能、整備費用等を取りまとめた説明書作成等に7億7千万円が計上されています。そもそも整備費用もわからないのに、整備を進めるということほど、乱暴で無謀な計画はありません。
この7億7千万円は、247億円には入っていないのではありませんか。答弁を求めます。
区役所は長く大切に使うことを基本とすべきです。新館については、大規模改修を行い今後も使用することになりました。そうであるならば、本館・議会棟も同様に大規模改修を行い、バリアフリーや防災性を高めるための必要なレイアウトの変更を行うなどして、長く大切に使うべきです。答弁を求めます。
次に、学校プールについてお聞きします。
当初予算案には、12校の学校外プール活用のために9千万円が計上されています。しかし、昨年第3回定例会以降、次々に区民から請願が提出され、今定例会にも請願が提出されています。しかも区立温水プールの利用者からだされた請願は、多くの委員からたくさんの意見が出され議会では継続審議になっています。学校外プールの活用に区民合意がないことは明らかです。
わが党は、今月4日に教育長に抗議と是正の申し入れをしましたが、12校の学校外プールの活用計画は、議会軽視も甚だしいと言わなければなりません。教育長の認識を伺います。
学校外プールの活用は、移動時間がかかり、水泳指導か他の授業に影響を与えるのではないか、A中学校は学校の状況に応じるといいながら、改築懇談会で結論がでていない四つ木中が対象になっているはなぜか、B常盤中はプールの議論がされる前に学校周辺にプールは設置しない趣旨のチラシを配布していることは、学校と住民を無視しているのではないか、C21日の文教委員会の庶務報告について、授業時数が間違っている、中学校についての授業時数について検討していないにも関わらずなぜ学校外プールの活用の対象校になっているのか、D学校外プールの活用シミュレーションでは、給食終了後5分後に水泳指導になっているが、子どもに一層の負担を強いるのではないか、E来年度12校での学校外プールの活用は、プールがあるのに使わないという無駄使いになるのではないか、F西小菅小学校のプールは新しくなるのに、使わないということについて、何のために作ったのか説明を求めます、G社会体育施設条例は、「区民の平等な利用」を原則としており、学校優先の利用はできないのではないか、H一昨年末、高砂駅南側の民間プールは閉鎖となりました。民間プールが将来にわたって存続の保障がないことを示していますが、そうなった場合、水泳指導を学校教育として保証できなくなるのではないか、以上、教育長の答弁を求めます。
学校外の屋内プールを活用することが、天候に左右されず計画的にでき、インストラクターが教えることで「より良い水泳指導」になるというなら、全校に、ただちに屋根や遮光ネットの設置、指導員の配置、プール管理の業者委託を検討し、学校プールを活用するための予算に転換すべきではありませんか。転換しないとなれば、学校間格差をつくることになるが、格差をつくる目的はなにか、区長の答弁を求めます。
区教委のいう「よりよい水泳指導」は、現在12校しか対象にしていませんので、間違いなく格差が生じます。それでも学校外プール活用に固執するのは、その目的が「より良い水泳指導」ではなく、学校教育にコストをかけたくないという真の狙いがあるのではありませんか。
改めて教育委員会の水泳指導の方針にあるコスト比較を検証してみました。小学校49校で試算されていますが、学校外の民間屋内プールを活用すれば、年間1校当たり507万5千円、学校内の屋外プール活用は、1校当たり770万6千円と、民間プールが270万円安上がりというものです。
学校プールの試算では、80年間で新規建設や大規模改修が盛り込まれていますが、民間プールの試算には、新規建設も大規模改修もせず、利用料金も人件費もバス代も80年間上がらない計算です。現実にはあり得えません。
民間プールは安上がりを強調したいがために、説明のつかない試算をしなければいけなかったのではありませんか。区長の答弁を求めます。
先ほども申し上げた通り、民間プールは将来にわたって存続できる保証はありません。水泳指導を民間に委託し、民間プールの経営が思わしくなければ、立石駅北口地区再開発事業と同様に、莫大な税金投入で救済しなければ、水泳指導を継続することができないではありませんか。
学校における水泳指導というのは、小さいころから水に親しみ、泳ぐ力を身に着け、海や川での水難事故から命を守る教育です。その教育を将来にわたって保障するために学校にはプールが設置されています。学校プールの廃止は、命を守る教育の放棄になるのではありませんか。教育長の答弁を求めます。
東京消防庁は、学校プールは消防水利にとって重要だという認識を示しています。防災に強い地域を作っていくためにも学校プールは必要と思いますが、区長の答弁を求めます。
次に契約の在り方についてお聞きします。
学校改築にあたっての仮設校舎について、暴力団との関係がある企業との契約が問題になっています。区は、昨年第3回定例会でわが党が指摘して初めて、この問題を知ったと言いましたが、その後、何の調査もせず、契約を続けていることは重大です。
すでに住民監査請求もだされ、今定例会では請願も出されています。
この仮設校舎は、数億円の規模での契約となりますが、議会の議決を経ずに進んでいます。こうした議会軽視の契約が最近増え続けています。
たとえば、児童相談所の整備地、新小岩駅ビルでの区民事務所の整備などは定期借地契約として、新小岩駅から遠くにある回転式の地下自転車駐車場の整備なども議会の議決を必要とせず、契約が交わされています。
区長は、議会と行政は車の両輪と言われますが、実際には議会に関与させない、こうしたやり方が横行しているではありませんか。
工事案件同様、1億5千万円を超える案件や長期間にわたる契約案件などは、議会の関与ができる契約制度に改善すべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
以上で私の代表質問を終わります。答弁いかんによっては再質問することを表明しておきます。ご清聴ありがとうございました。
|