2024年葛飾区議会第三回定例会を終えて (団声明)

2024年葛飾区議会第三回定例会を終えて

 

1、今定例会に先立ち、8月28日、補正予算に対する緊急要望や立石駅北口再開発と区役所庁舎の保留床価格の動向の経過報告の期限が迫っていることから区長への緊急申し入れを行いました。物価高騰に苦しむ区民生活と事業者への支援策などを補正予算に盛り込むことを強く求めましたが、提案された補正予算は、43%の38億円が基金積み立てに充てるものであり、低所得者支援も事業者への追加給付も新たに提案されませんでした。党区議団は、喫緊の区民生活に寄与することを求めてこの補正予算に反対しました。

1、今定例会は、令和5年度決算を審議し、来年度予算編成に生かすべき問題を議論する場となりました。区民の運動と党区議団の論戦で切り開いてきた学校給食の無償化、医療費の高校生までの無料化などをはじめ、来年度は、修学旅行など移動教室費用の無償化など区民要求の前進を勝ち取りました。その一方で、再開発など優先の姿が如実になりました。今決算では用地特別会計が計上され、東新小岩運動場を私学共済から325億円という多額の予算で買収しましたが、区民のための運動施設としてではなく、真摯に区民の意見に耳を傾けることなく、一方的にスタジアム建設を目的としています。都市計画公園を新たな商業目的に差し出す新手の計画にほかなりません。

また、青木区政の15年の大きな特徴とは、いかに、特定の団体、個人を特別扱いして、区政を私物化して歪めてきた実態がさらけ出された結果となりました。現在、4件の住民訴訟がたたかわれています。児童相談所の事業用定期借地権の活用は、大地主を特別扱いし、経済的不合理性が問われています。私立保育園パート補助金誤支給問題は、返還免除を合理化しようとした区長自身の誤りでした。立石駅周辺再開発のエリアマネジメントの育成後に特命随意契約としたことも特定の事業者を優遇するものでした。集団住民訴訟として提訴された立石駅北口再開発の「権利変換に異議あり」「税金の無駄遣いを許すな」の訴訟もまた、一部の地権者とゼネコン優先が根源にあり同根の問題だといわなければなりません。

1、立石駅北口再開発が物価高騰と工期の延長により事業費と区役所庁舎とする保留床の上昇が問題になり、再開発組合から2024年6月現在、工事費253億円、庁舎保留床も242億円から45億円上昇し、312億円になるとの試算が公表されました。問題は、この上昇はあくまでも途中経過であり、竣工予定の2029年度末には、さらに増大することです。今定例会では、急きょ、10月8日に全員協議会が招集されました。全員協議会では区の推計として、2029年度末の庁舎保留床は、380億円と見積もりました。しかし、この見積自体が強引に物価高騰を低く見積もった数字であり、現実的ではありません。党区議団の独自の試算では庁舎保留床は、442億円から500億円になると指摘し、同時期に計画している江戸川区役所や中野サンプラザと比較しても整合性があるものです。さらに重大なのは、是が非でもこの計画に固執し、区役所新館の活用方針を「存続・活用」から「解体」もありと方針転換し、立石駅北口再開発の東棟の規模の縮小という方針転換の出口を塞いでしまおうとしていることです。いくらになるかわからない庁舎計画は、今、見直す以外に解決の道はありません。

1、水泳指導の民営化計画の矛盾が噴出しています。2020年に打ち出された水泳指導の民営化方針は、安くなるとしましたが、実際には予想を超える費用がかかり、とりわけバス移動は、2024年問題で不足し、困難をきわめています。なによりも子どもたちと教職員への負担やインストラクターによるハラスメントも問題まで起きています。こうしたことから今定例会には区民からプール問題に関する六つの請願が提案され、今定例会でも長時間審議されました。決算委員会での審議でも多数の会派からプール指導の今後の在り方に対する意見が出されました。

1、奥戸森永工場跡地は7haという広大な敷地に巨大流通施設の建設計画が発表され、そこにはのべ床面積16万6998㎡、高さ36メートル(マンション12階相当)に一日5000台の大型トレーラーやトラックが出入りすることが住民に説明会が行われています。学校や福祉施設、住宅街の中に建設予定の施設は、住民のくらしを一変させ、道路の渋滞や環境の変化はこの周辺のみならず、接続する幹線道路とその沿線にも重大な影響をもたらすことは間違いありません。すでに、森永工場内の多くの樹木も伐採されており、この巨大物流施設の建設は、区の環境対策にも多大な影響をもたらします。こうしたことから、党区議団は、直ちに環境影響調査・環境アセスメントの実施と環境対策を求めましたが、区は、法令上対象外と後ろ向きです。当地域では、説明会や地域への悪影響を懸念する学習会も活発に行われています。党区議団は、今後の環境を守るための街づくり対策として、公園の樹木、街路樹等による樹冠被覆率の重要性を指摘し、区は、「今後の環境対策として必要」と答弁しました。

1、営利企業が行う少年サッカーチームの事業を非営利団体の事業であるとを装い、グラウンド使用料やクラブハウスをタダ同然で使用させていた事実が明るみになり、文教委員会における審査だけではなく、党区議団は、百条委員会による事実解明も必要だと主張しました。党区議団は、10年前からこの問題を先頭に立って追及してきた経過からも、事実解明が必要です。

 

 今定例会には、国民救援会葛飾支部から「冤罪をなくすため再審法の改正を求める請願」が提案されました。おりしも、9月27日に袴田巌さんの静岡地裁で無罪判決が言い渡され、検察が控訴を断念し、10月10日に無罪が確定し、再審法の改定世論が高まっています。ところが、同日の本会議で自公などの会派がこの請願を否決したことは許しがたいことと言わなければなりません。再審法改正は待ったなしの課題です。

今後、党区議団は、区民の命とくらし・営業を守り、不公正な区政をただしていくためにも全力をあげてまいります。

2024年10月10日

日本共産党葛飾区議会議員団

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