2025年葛飾区議会第一回定例会をおえて(団声明)

   

1、今定例会は、2025年予算を審議する議会でした。区長は、日本経済が「雇用・所得環境が改善」とし、来年度一般会計予算が、過去最高の規模となり、区民にとって「幸福に直結する予算」といいました。しかし、税収増の要因は、今年度の定額減税がなくなり、異常な物価高による消費税の負担増、さらに、インボイス制度の導入により、これまでの非課税者からも強引に消費税を納税させていることによるものです。しかも、多くの区民は給与所得増以上に物価が上がり、実質賃金が減少、年金生活者もマクロ経済スライド制によって、年金は物価上昇よりも0.4%以下に抑えられています。ですから、税収増のすべてが区民のための施策として活用するのが当然ではないかと論戦に挑んできました。そのために、現在も実施中の中小業者に対する給付額を増やして実行することや義務教育の無償化のための支援拡充、会計年度職員やシルバー人材センターでの待遇改善、公契約条例は職種別に最低賃金を決定するとともに、その下限を大幅に引き上げることを求めました。しかし、議会質疑のなかで、これだけ物価高となり、とりわけ米価は去年の二倍近くにもなっているのに、無償化した学校給食の食材費を据え置いているために、質の低下を招いています。高齢者の配食サービス事業も事業者は値上げせざるをえなくなり、利用者も負担増になっているのに、区の補助単価だけを据え置いていることも大問題であると指摘し、改善を求めました。経済的苦境の増大で生活保護の申請は、この間最大となっているのに、来年度予算では、生活保護費は減少するという見立てで予算が組まれていることも区民生活の厳しさとかけ離れています。そのうえ、シニア活動支援センターの風呂を廃止したことは、利用者に対する血も涙もない仕打ちといわなければなりません。区長がいう「幸福に直結する予算」とはかけ離れ、「雇用・所得環境が改善」というのは、極めて楽観的かつ、実態とかけ離れているといわざるを得ません。

1、一方、立石駅北口再開発を救済する庁舎移転計画の矛盾は広がるばかりです。今定例会では、242億円とした庁舎保留床は、現在、352億円を予定価格としています。そのため、区民生活の困難をしり目に20億円もの庁舎基金の積立を行いました。しかし、再開発による庁舎保留床の価格がどれだけ上がるのかはわからないのに、再開発組合との「協定」でどれだけ値上げしても、最終的に「組合」の提示価格を支払うというのがこの「協定」の本質です。しかも、区財政価格審議会では、庁舎保留床の鑑定価格を399.5億円としたことはこの金額までは支払うことを「是」とすることに他なりません。こうした仕組みを続けているならば、庁舎保留床価格は、意図的に青天井となることは免れません。解体工事の最終段階にある今だからこそ、「見直し」のチャンスでもあります。

 東新小岩運動場のスタジアム計画も区民の声に耳を傾けず、「スタジアムありき」計画になっています。庁舎計画と同様に、区民生活がこれだけ逼迫しているときに、莫大な税金投入となるこうした事業に突き進んでいていいのか、が問われています。

1、今定例会でも学校プール民営化に係る区民からの請願が、5本提案され、この請願採択のために論戦をしてきました。バス不足のために大手旅行会社に「丸投げ」プロポーザル契約は、一校当たり1000万円を超し、当初の計画の6倍にも及びます。教育委員会の「手抜き」、大手旅行会社には「中抜き」であるとの批判は免れません。青森市では、大手旅行会社によるプロポーザル方式による入札による、「談合の温床」となったことも指摘しました。ようやく水泳指導を学校プールで行うプールサイドに日よけを設置する予算が計上されましたが、一校当たりわずか60万円です。1年限りで児童のバス移動のために一行当たり1000万円支出すると予算化しましたが、税金の使い方が根本から問われています。水泳指導の民営化に対する疑念・批判は、他会派にも広がってきました。あらためて根本的な水泳指導の見直しが必要です。

1、バルサアカデミー葛飾校が一般財団法人「キッズチャレンジ未来」(以下、キッズ未来)によって、区営運動場やクラブハウスの優先利用についての疑惑解明が問題となりました。文教委員会で資料要求が行われ、令和4年にキッズ未来から営利企業「アメージングスポーツラボジャパン」(以下、ラボジャパン)に運動場の優先利用権を4900万円で譲渡されていること、キッズ未来の乱脈財政で財政破たんした結果であると判明しました。キッズ未来との信頼関係は失われたとしてこれまでの協定は解除する方針を示しましたが、区は、営利企業ラボジャパンに2025年4月から、新たな「協定」を締結し、事業の計画を進めようとしていました。このことにより予算審査特別委員会の総括質疑審議が紛糾し、3月11日に、急きょ議会運営委員会理事会が行なわれ、3月17日の文教委員会に区長の出席を求め、3月25日に区議会議員全員協議会が開催され、集中審議が行われました。全員協議会の資料には、ラボジャパンとの協定は、断念するものの、「協定」なしで、4月から9月まで、ラボジャパンに区営運動場の優先利用を認めるという提案でした。営利企業に、「協定」もなく、公共施設の優先利用など絶対にありえません。3月27日の議会運営委員会で、この措置に対する「バルサアカデミー葛飾校運営法人へのグラウンド優先利用に反対する決議」を提案し、本会議で全会一致により採択されました。

 党区議団は、この問題の徹底解明には、地方自治法100条による100条委員会の設置、協議が必要だと主張してきました。現段階では、合意に至っていませんが、100条委員会の設置が必要です。

1、来年度予算には、修学旅行無償化等義務教育への負担軽減、ガン健診の無料化、補聴器購入費助成は課税者も対象に大幅に増額、スケボー広場の開設、保育料の完全無償化など区民の運動と議会論戦によって要求の前進を勝ち取ることができました。党区議団は、区民要求のさらなる前進のために、「学童保育の無償化条例案」「公契約条例に業種別最低賃金を明記する改定案」「子どもの権利条例に権利擁護委員と補佐する調査相談員を明記する条例案」など5本の条例案を提案しました。これらの財源措置も明確にするために、不要不急の事業を削り、財政調整基金と庁舎建設基金を取り崩し、区長提案の当初予算に対し総額64億円の事業を実施するための組替動議を提案しました。これは、当初予算のわずか2.5%程度の組替で実現できるものです。今定例会でも、賛成少数で、可決には至りませんでした。

しかし、来年度予算で新しく実現した事業や、この間、18才までの医療費、学校給食、保育料無償化なども粘り強く運動し、議会で主張し、条例提案、組替動議によって提案したものを次々に実現してきました。こうして、区民要求は、区民の願いに根差した切実な要求であるからこそ、時間はかかっても必ず実現することができたといえます。

今後も切実な区民要求を握って離さず、区民生活の向上のために全力を尽くす決意です。

2025年3月27日

日本共産党葛飾区議会議員団

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