巨大開発事業と庁舎問題について 2025年9月10日(一般質問より)

巨大開発事業と庁舎問題について質問します。

埼玉大学岩見良太郎名誉教授によれば、介入強化型都市再生によりディベロッパーの利益にはつながっても、国民所得は減少を続け、実質賃金も減り、日本経済が経済成長できない、格差の拡大が広がり続けるという結果になっていると指摘しています。

 劇的な矛盾は、不動産価格が急騰、特別区のマンション販売価格が1億円を超し、その原因は、都心を中心にタワーマンションが投機目的で買われ、不動産バブルを作り出しています。

 こうしたタワーマンションが再開発により建設するにあたり多額の税金投入が行われています。すなわち、再開発によるタワマンがそのマンション価格を引き上げる要因となり、周辺の地価、賃貸物件の家賃高騰を招き、住み続けられない状態を作り出しています。

 こうした状況をどう認識しているのか、答弁を求めます。

 千代田区は、マンション高騰の転売の一手として「新築マンションの転売5年間できないようにしてほしい」と不動産業界に要請を行いました。再開発で、巨額の補助金が投入されているわけですから、そういう要請を行うことには、根拠があります。

いま、必要なことは、不動産バブルを作り出しているこうした構造、投機目的による売買の規制を行うことが必要ではないのか。今後、竣工する駅前再開発のタワーマンションに対して、居住目的という条件を明記させる行政指導が必要だと思うがどうか。

加えて、今日的な新たな物価高騰が再開発事業に急ブレーキかけるという状態が生じています。中野サンプラザ周辺の再開発は、野村不動産が断念しました。新宿駅、池袋駅、品川区、北区、船橋駅南口など各地で中断においこまれ、本区でも新小岩駅南口、立石駅南口も足踏み状態になっています。

立石駅北口再開発に、ブレーキがかからないのは、区役所庁舎建設により潤沢な資金供給を保障しているからに他なりません。

 再開発事業への補助金の区の負担は、33%から45%であり、都市計画交付金と都区財調で賄われると説明していますが、再開発の竣工時には、一括で支払わなければなりません。

 立石駅北口再開発の総工費は、さらに上昇することは間違いありませんが、総事業費について明示していただきたい。答弁を求めます。

今定例会の後、10月末に再開発組合が契約を締結、同時に、保留床取得に係る「協定」も締結されますが、さらに上昇すれば、保留床取得に要する負担と別に200億円超の補助金と公共施設管理者負担金負担が生じることとなります。ほぼ同時期に、東金町1丁目西地区の再開発も竣工時に、同じく100億円超の負担が生じます。

 先ほども述べた、区内のその他再開発、新小岩、立石駅南口東地区、西地区の再開発も補助金等はそれぞれ100億円単位の負担が毎年生じることになります。加えて、東新小岩運動場にスタジアム構想が現実にあります。スタジアム建設となると数百億円規模の税金投入が必要になります。

 都市計画交付金、都区財調で措置されると言っても、今後、毎年巨額の財政支出を必要とすることになり、財源対策に問題が生じる危険があるのではないか。

区役所庁舎保留床購入で積立金に不足が生じれば、すでに起債を起こすと答弁していますが、そうなれば、他の再開発等で財源が不足する場合、記載とするのか。そうなれば、多額の利払いによる財源不足を生じさせるのではないのか。

また、学校建て替えなど同じく多くの財源を必要とする計画事業が困難となる危険が生じると思うがどうか。

 

立石駅北口再開発は、現時点で工事契約も区が購入する予定の保留床の「協定」も決定していない、見直し可能な局面にあります。今後、保留床の価格上昇は確実であり、これが新たな財源を必要とする問題をはらみ、保留床価格の向上にとどまる問題ではないのか。

さらに、再開発後も新たな税金投入が必要となります。亀有駅南口では、7階部分は、結局、税金投入によって公共施設とし、今後も続きます。弐番館店舗も空きが多い。金町駅南口ベルトーレ3階も当初計画のない公共施設とせざるを得ませんでした。さらに、金町南口のビナシス2階の双葉会館が撤退しました。再開発後の施設維持にはこういうリスクがあり、これをどう認識し、また、今後の見通しの答弁を求めます。

さる7月22日に立石駅北口再開発の「権利変換計画に異議あり、区民の財産をこれ以上散逸させるな」と5回目の230名以上が原告となり集団住民訴訟が行われ、判決の言い渡しが9月19日となりました。

あと2ケ月余りで、私たちの任期が終了し、区議会議員・区長選挙がたたかわれますが、立石駅北口再開発にかかる区庁舎移転問題も重要な争点であり、強引に進めれば進めるほど区民サービスの低下に直面する危険があります。 改めて、抜本的な見直しを強く求めるものです。

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