2025年葛飾区議会第二回定例会を終えて(団声明)

2025年葛飾区議会第二回定例会を終えて

1、物価高騰は、区民のくらしと営業に重大な影響を及ぼしています。党区議団は、本会議一般質問で、前年度の税収増は、物価高騰による消費税の税収増、インボイス制度導入によりフリーランス、中小零細業者からも消費税を搾り取った結果であり、「税収増は、区民のくらし、営業にすべて還元すべき」との立場から、思い切った支援策を実行することを求めました。現金給付策、義務教育無償化、様々な手当の支給額増額、「住まいは人権」の立場から、公共住宅の改善策を求めました。ところが、今定例会の補正予算案は、学校給食の食材費への増額や福祉施設、保育園、学童保育クラブ等への物価高騰対策が含まれていますが、国、都による財源の裏付けのある施策ばかりで独自策に乏しい提案でした。多額の財政調整基金の活用もなく、決算剰余金も多額を余らせたままです。物価高に苦しむ区民に寄り添うものではないとして、この補正予算案には反対しました。

1、区民運動と議会論戦によって、補聴器購入費助成とこれに係る「聞こえの健診」は、10月から実施予定でしたが、前倒して7月から実施されることになりました。保育所保育料も延長保育を除き0~2才児も9月から無償化が実現します。さらに、小中学生の就学援助・入学準備金も増額されたことは今定例会で重要な前進といえます。

1、水泳指導の民営化方針は、いのちを守る教育、教員としての指導の在り方、バスの確保に予想を超える費用を要するなど矛盾が激化しています。今定例会にも住民から5つの請願が提出され、慎重に審議が行われました。今後の水泳指導の改善のために江戸川区や学校に温水プールを建設し周辺の数校で活用、長野市で行われている教員が指導することなど提案しました。質疑のなかで、この間、議会からの提案で見直しが始まったにもかかわらず、区長によるトップヒアリングで議会への報告が先延ばしされていたことが判明しました。この問題でも、区長が水泳指導の改善への最大の妨害になっていることが浮き彫りになりました。

1、立石北口再開発の工事契約と同時に進めようとしている庁舎保留床を購入する「協定」の締結が、前定例会で3月末から6月末に延期されました、ところが今定例会でも、再度、6月末から10月末までに延期されました。下請け事業者の選定などに時間を要したなどと説明していますが、その間、工事費が物価高騰により1280億円から増加することについて否定していません。その一方で、庁舎保留床の購入価格は、352億円を前提にしていることが大きな矛盾です。この保留床価格は、民間事業であるのに、公共事業で採用されている物価スライド制度を適用し、再開発組合から要求された金額を支払うことを「協定」で縛り付けられる仕組みであり、だからこそ、「青天井」になりかねないと不安が高まっています。

党区議団は、物価高騰により跳ね上がった工事費等を公表すべきだと主張してきましたが、区は、5月25日付の広報で、現段階の工事費と庁舎保留床価格を公表しました。さらに値上がりすることがわかっていながらこの段階で公表すること自体、姑息な態度といわなくてはなりません。さらに、工事費の増により、庁舎のための基金を増額するだけではなく、起債をすることも公表しましたが、これこそ、「青天井」となりかねないことを示すものです。しかも、このタイムスケジュールでは、次回の定例会は、10月7日が最終本会議であり、議会によるチェック機能が働かず、区長の判断で進められる危険があります。中野サンプラザは、再開発中止、船橋駅南口再開発も無期限延長等、立石駅北口再開発の抜本的な見直しこそ求められています。一方、立石駅南口東地区の権利変換計画が1年延期とされました。これも物価高騰による影響で進められないばかりか、1年後に進められる保証はありません。

なお、立石駅北口再開発「権利変換に異議あり」住民訴訟は、東京地裁で7月22日に第5回公判が行われます。

1、バルサアカデミー葛飾校の問題で、今定例会に先立つ5月31日に小林副区長が辞任しました。区長は、小林副区長が、訴追されていないことをもって「身の潔白が証明された」と公式の場でも発言しましたが、区政の混乱について自らの責任を全く自覚できていないと指摘しなければなりません。

前定例会の最終日「同法人へのグラウンド優先利用に反対する決議」を全会一致で採択した後、区長は、総務部長を責任者として内部調査を開始し、6月6日に区議会議員全員協議会が行われました。しかも、この総務部長を副区長とする人事案件を提出しました。しかも、この定例会中に、バルサアカデミー葛飾校の事業譲渡をうけた「スポーツラボジャパン」社長から全議員に「書簡」が届き、そこには、「小林副区長は事業譲渡の認識があった」とこれまで区側の答弁と全く異なる主張や「区議会が説明の機会を与えなかった」など理解しがたい内容が含まれ、こともあろうに「グラウンドの優先利用継続」を求めています。こうしたことから、副区長人事は、「現在、判断する段階ではない」という主張が多数となり異例の「継続審査」となりました。区長は、今定例会で、この問題の「第3者委員会」設置を表明しました。党区議団は、議会が自律的にこの問題を解明するために地方自治法にもとづく100条委員会の設置を呼び掛けています。

なお、東金町運動場のトレーラーハウスに関する住民監査請求は、5月30日に棄却されましたが、この問題でも「サッカー振興の美名のもと区に大きな損害を与えた」と不正を追及する住民訴訟の提訴が準備されています。

 青木区政の行き詰まりは深刻であり、問題山積です。しかし、住民の立場に立って切実な要求実現のために引き続き全力をあげてまいります。

                                     2025年6月23日

                                     日本共産党葛飾区議会議員団

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