2025年葛飾区議会第四回定例会を終えて (団声明)

 2025年葛飾区議会第四回定例会を終えて(団声明)

1、今定例会は、先月の区議会・区長選挙後、初の定例会となりました。自民党の議席減と極右・排外主義勢力の台頭という複雑な選挙結果でしたが、区議会の会派構成の変化により、党区議団は議席を維持し、第四党から第三党になりました。区長選では、青木区長が再選されました。党区議団は、選挙公約実現のために定例会に先立つ11月20日に来年度予算案に対する455項目の要望書とともに年末年始に取り組むべき5項目の緊急要望をまとめ、区長に提出しました。

1、物価高騰が収まるどころか、高市首相の失政ともいうべき状況で円安の進行、金利の上昇を招き深刻な状況になっています。ところが、青木区長に我が国経済の現状認識を問いましたが、「緩やかに回復。日本経済が停滞局面にあるという認識ではない」と述べ、一方で「物価上昇が区民生活や中小事業者の経営に大きな影響を及ぼしている状況」とも述べました。しかし、提案した補正予算は、中小事業者への年度末の給付は行うものの、金額は、前年と同額でした。区独自の給付も低所得者に限り、1世帯一万円でした。隣の江戸川区は、三万円の給付、墨田区は、すべての世帯に一万円分の「お米券」と比較しても劣るものです。何よりも、「物価上昇への影響」を認めているのにもかかわらず、不十分な対策だとの批判は避けられません。この施策は、いずれも、国費で行われる予定の「交付金」によるものであり、区独自財源を活用し、おもいきった施策が行われていないことが問題です。

1、葛飾区の選挙と同時期に行われた米国ニューヨーク市長選挙でアフリカ生まれインド系ムスリムで民主社会主義者のマムダニ氏が当選しました。反共主義と人種差別を乗り越えた勝利であるとともに、深刻な物価高のなかで、家賃値上げ凍結や、時給の引き上げ、特に「市バスの無料化」を訴えたことに注目しました。住民の移動を「権利」とし、重要な「福祉」として位置付け保障する政策は、押し付けられた受益者負担主義の考えから経済的セーフティネットへの転換であり、世界各地で広がりつつあります。これを前提にして、区内公共交通の充実を求める改善策を提案しました。それを推進するためにも葛飾区に独自の「交通局」を設置し、区民の移動権を保障する施策の拡充を求めました。

1、立石駅北口再開発にともなう庁舎移転計画について、今期、新たに「新庁舎整備・現庁舎跡地活用特別委員会」が設置されました。その最初の委員会で突如「新館を含めた現総合庁舎はすべて解体することが優位性が高い」と報告したことは、重大です。これまでの経過からも優位性が高いという根拠も何一つ示していないからです。青木区長は、これまでも、選挙が終わるたびに、選挙中一切口にしていないことに対して一気に「アクセル」を踏んできましたが、今回もまた、同じことの繰り返しであり容認できません。来年1月20日に東京高裁で第一回目の公判が行われる予定です。

1、これまで自衛官募集に、18歳と21歳の住民基本台帳の閲覧を許可してきましたが、今後、閲覧ではなく自衛隊に情報提供すると報告、同時に情報提供を望まない区民には3月から5月まで除外申請を認めるというものです。問題は、安保法制により自衛隊が米軍の戦争に巻き込まれ先制攻撃も辞さないとされ、自衛隊への入隊者が減少していることから勧誘を拡大しようというものです。これまで除外申請なしで閲覧させてきたことが個人情報保護の観点から問題であり、仮に情報提供するのであれば、希望者のみに情報提供するべきです。これ以外の一切の妥協は許されるものではありません。なお、今定例会では、初の「国民保護実動訓練」が2月4日に行われることが報告されました。その目的は、武力攻撃事態も想定したものであり、安保法制成立後、国民保護の名のもとで戦争準備を想定したものとして容認できるものではありません。

1、今定例会中に柴又公園内に新設された「川甚まちなみ館」の改修工事が完成目前に開館延期となりました。その原因は、建物の梁が設置されておらず、危険であるということが判明したからです。どう考えても起きるはずのない誤りがなぜ起きたのか。これは、本来、区が果たすべき事務事業を「アウトソーシング」等により、民間任せにして、必要な人材育成が伴っていないことだと指摘しなければなりません。宿泊施設「フーテン」の目的外利用、第三者委員会が設置され、解明が急がれている「バルサ」問題などにも共通する不公正な区政運営は、青木区政の最大の特質の一つであることも指摘しなければなりません。

今後とも、区民と力を合わせて、引き続き公約実現のために奮闘します。

                             2025年12月17日

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