水泳指導の民間委託について 

次に水泳指導の民間委託について伺います。

区教委が実施した3回のアンケートの結果は、昨年の広報かつしか8月15日号1面トップの「安全、安心、楽しく、充実の水泳授業」とは裏腹の結果でした。今年度に実施した教員のアンケートは回答の仕方を変えていますので比較できませんが、子どもへのアンケートでは「楽しかったか」「コーチは良かったか」は、いずれも否定的な回答が増えました。子どもに対して、「今後も続けたいか」の項目を2回目から外したのは、子どもの意見表明権について「子どもの意見を聞かなければならないという解釈はできない」との教育長の間違った認識があることを指摘しなければなりません。

泳力別のグループ分けについて、技術力だけでなく、思考力、仲間との学びあい、伝えあいが必要という学習指導要領との関係で問題視する声、子どもへのハラスメントの指摘もありました。今年度も「低学年の学習指導要領の内容と指導自公があっていない」「指導は担任ではなくプールの指導員が行っている。担任は児童の観察、記録、補助を担っている」との意見があり,教員が直接指導していないことが改めて明らかになりました。

江戸川区は新たな水泳指導の方針案を示していますが、中学校改築時に屋内温水プールを整備し、3校~4校の近隣小学校が使い移動の負担を最小限にする、授業の評価は教員が行うために指導は教員が行うとしています。本区の水泳指導の民間委託での問題点を把握した当然の結果です。

教育委員会は、足元で起きている問題を直視すべきです。

まず移動の負担とバスの配車問題です。

移動の時間により、その後の授業、休み時間に影響が出ていることは否定できません。特にバスの配車は非常に深刻な事態になっています。

今年度は、入札不調が続き京成2社による10校分以外の13校分は随意契約となりました。この契約は、バスを配車することの契約であり、契約バス会社の自社バスでなくても良いとなっています。たとえば京成バスが落札をしても、他のバス会社に依頼することも可能であり、依頼した場合、どんな契約になっているかは教育委員会もいっさい把握していません。子どもの安全に関わる問題でありながら極めて無責任です。

来年度から13校分を大手旅行代理店に、3年間の一括契約するとの庶務報告がありましたが、予算は初年度1億2700万円、1校当たり約1千万円です。京成バス2社は10校分を4500万円、1校当たり450万円です。当初、バスの配車は、1校当たり160万円としていましたが、大手旅行代理店では1校当たりが6倍になります。

運転手不足から配車が困難になればなるほど契約料が上がる危険性だけでなく、代理店からバス会社、そのバス会社から他のバス会社へ、2重3重にコストの中抜きが行われ、質と安全対策が後退する危険性もあります。そうならない保障はあるのか、具体的にお答えください。

子どもたちにとってより良い水泳指導になっていないことは、アンケートからも明らかです。にもかかわらず、当初の6倍にもなる費用をかけて実施することは、税金の使い方として区民の理解は得られないと思うがどうか。

さらに契約したバス事業者、大手旅行代理店によって安全誘導員の仕様書が違っています。誘導員をつけなくても良い契約、誘導員がバスに乗車して安全を確認する契約、乗車しない契約など、同じ安全対策であるなら、仕様書も同じでなければなりません。なぜ変えるのか、具体的に説明願います。

新たな屋内温水プールの整備についても問題があります。

水泳指導の民間委託を導入する際、教育長は、民間施設の受け入れ不足の事態は、現時点で問題ないと強弁していましたが、何の根拠もない場当たり的な答弁であったことは、区立屋内温水プールを3か所整備することになったことで明らかになりました。

新宿地域、お花茶屋地域での説明会では、反対意見が続出しただけでなく、反対意見を隠して「主な意見」として地域住民にチラシでお知らせしたことは教育委員会の隠蔽体質が現れています。

来年度予算案では、新宿地域における整備費が債務負担行為も合わせて約30億円が計上されています。

バス配車が今後どうなるのかわからない中で、30校の水泳授業を3か所に集中させるプール建設も、税金の使い方としてどうなのかが問われます。

学校教育施設として整備するというなら、学校内に整備することを最優先に考え、学校が使わないときは一般開放することで学校がスポーツ拠点にもなるようにすべきと思うがどうか。

整備費について、加温式の屋内プールであれば、約5億円で整備できます。仮に30億円の3か所分、90億円あれば、改築校にバランスよく18校整備することができ、当面、近隣校も活用すれば移動の負担を最小限に減らすことができます。こういう方向に転換すべきと思うがどうか。

双葉中学校はグランドが狭く、改築を求める声が大きくなっています。改築校に選定し、屋内温水プールを整備すれば、現在のプール敷地、新たに取得した敷地をグラウンドとして活用することができ、生徒にとても地域にとってもプラスになると思うがどうか。

柴又小と東柴又小の統合は、地域住民のほとんどが知らないまま、また統合を認めなければ桜道中学校の改築はしない、などの脅しで統合を決めたことは問題です。しかし東柴又小学校が改築校となったからには、地域住民との約束は守らなければなりません。東柴又小学校のプールは、鎌倉公園プールを廃止した際、地域に対して一般開放を約束し、それを実施している学校プールです。したがって東柴又小の改築の際には屋内温水プールを整備し、学校でも地域でも活用できるようにするのは当然だと思うがどうか。

学校プールと学校外プールとの格差が放置されています。

熱中症対策は、来年度、やっと学校プールへの遮光ネットを設置するとしていますが、プールサイド1辺のみの中途半端なものです。学校外プールでのバスには1校当たり1千万円かけながら、遮光ネットは、1校当たりわずか60万円しか使わない。恥ずかしくありませんか。

遮光ネットは、プール全体を覆うものにすべきです。もし覆わなくても熱中症対策になるというのであれば、屋内温水プールでなくてもいいという事になると思いますが、教育長の答弁を求めます。

プールサイドなど床面の温度上昇を抑えるためのタイル、ゴムチップ舗装、シートなども検討すべきです。

学校プールでは、水質管理の負担があり、インストラクターの配置もなく、教員の負担軽減は後回しになっています。改善すべきです。答弁を求めます。

学校外プール活用校に対して、夏季休業中の水泳指導を実施させないことは問題です。

夏季休業中の水泳指導について区教委は、学校の任意だと言っていますが、実際には、学校外プール活用校は、授業1回分増やしたことを理由に実施させないのが実態です。学校プールでは今年度、28校が実施しています。かつしか教育プランについて学識経験者から、夏休みのプール開放は体験学習として重要との指摘がありました。家庭の経済状況に応じて夏季休業中の水泳体験ができない状況があってはなりません。学校プールを活用し、社会教育として指導員を配置して実施すれば、1校当たり500万円ほどの財源で可能であり、教員の負担なくできると思うがどうか。

バスでの移動のない水泳指導に切り替えれば、年間1億7200万円の財源を子どもたちにとってより良い使い方に変えることができることを強調しておきたいと思います。

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