立石駅北口再開発等の今後について 2024年11月27日(一般質問より)

立石駅北口再開発等の今後についてです。

 前定例会で、2022年12月から2024年4月の総事業費が932億円から1185億円に253億円の増となりました。区は、「広報」も使い、何回も保留床価格は、242億円で新しい庁舎ができると繰り返し、全員協議会でも、それを前提にして「区役所の位置条例」を議決しました。しかし、この予定価格の変更は、その前提を覆すものです。

先の定例会で明らかになった3つの問題点を指摘します。

第1に、今後の事業費がいくらになるかわからない、その先は、ゼネコンの言いなりにならざるを得ないという問題です。

区の試算では、東棟の保留床の価格は、2030年には、380億円との予測ですが、この想定自体が甘いものです。江戸川区、北区、中野区の事例を具体的から、2倍近い事実を示し、葛飾だけがなぜ1.6倍で済むのかと質しましたが、明瞭な回答はありません。

しかも、前定例会中に急きょ開催された区議会議員協議会の資料では、参考データとして東棟の設備工事費の上昇率は、2022年と2025年建築工事請負契約締結時比で196.59%とすでに2倍になっています。最終「清算」時には、さらなる保留床の上昇は避けられないのではないか、答弁を求めます。

 同時に、着目したのは、2022年12月から2024年4月比の物価上昇で工事費がどうなったのかという分析です。この分析は、特定業務代行者の建築工事・設備工事の検証ができたのは、36.5%に過ぎず、特に機械設備工事では、22.1%にすぎません。ほんの一部の検証でさえこれだけに工事費増となっているのですから、物価上昇を理由に、特定業務代行者が、さらに保留床価格を最終的に釣り上げらたら抵抗できるのか、答弁を求めます。

 

「駅前庁舎」には様々な変遷がありました。本館、新館を全部なくすことを前提にしましたが、事業が進まない苛立ちから、駅前移転を縮小し、新館を存続させる方向に転換しました。しかし、R5年の第3回定例会の総務委員会庶務報告で、新館の取り壊しの検討にまで、踏み込みました。

これは、現再開発方針を何があっても変更しない、つまり、後戻りはありえないという、これまた、特定業務代行者・ゼネコンいいなりの態度だと批判されても仕方ない態度ではないか。新館の活用方針は、堅持すべきと思うがどうか。

 

 第2に、事業費の増加を税金で穴埋めしようとしている問題です。

 前定例会では、事業費全体で253億円の増、そのうち、補助金で121億円賄い、さらに「公共施設管理者負担金」が39億円の増、加えて、東棟、西棟の庁舎を中心とする保留床の増加分が49億円です。したがって、事業費増253億円のうち209億円、率にして83%が税金によって賄われるということになります。

この再開発は民間事業ですが、「官製」事業だという姿が、ますます鮮明になっています。ここでいう「補助金」の増額も総務、決算各委員会や全協でも、満額支出の保障はなく、願望であることも明らかになりました。

 結局、「補助金」もまた、税金であることに目をそらす無責任です。「補助金」が年度ごとに変わり、廃止予定のものもあること、「補助金」も血税であるという認識があるのか、答弁を求めます。

第3に、地方自治を破壊する「モラルハザード」ではないかという問題です。

 どんな自治体でも庁舎を建設する場合には、国の補助金はありません。なぜなら、地方自治体は、国の下部組織ではなく、あくまでも対等な関係にあるからです。これは憲法の原則の一つが「地方自治」であることに起因するものです。

しかし今、国策として再開発を進め、補助金獲得のための悪用が広がっています。

 「補助金」という税金投入で再開発を進め、新たな保留床をつくりだし、その保留床を異常に高い価格によって税金で取得する、このことは、税金の二重払いではないのか。

庁舎建設には国の補助金制度はないのに、再開発により補助金を得て庁舎建設を計画すること自体モラルハザードであると思うがどうか。

 党区議団は、11/1~3まで、江東区で、土地区画整理・再開発全国研究集会に参加しました。そこでの発言、交流で、今日の再開発は、物価高騰という外的要因によって、「潮目」の変化がおこっていることでした。

現在、品川区や杉並区で再開発ラッシュが続く中、各地でそれに異を唱える戦いも進行している事例も紹介され、そこで繰り広げられている市民運動の交流も行われました。

品川区では、現在進行中の再開発が20ケ所あり、そのうち9つの再開発に係る地域住民が連絡会をつくり運動を交流しています。

品川区で進んでいる再開発は、新たな公共施設の建設を目的としたものではなく、そこにできるタワマンや、商業施設、ホテル、企業のビジネス街に「補助金」という名の税金が大量に支出されているという事例です。

これにはカラクリがあり、品川区やさいたま市では、副区長・市長には、国土交通省幹部が出向し、都心、副都心地区を中心にした再開発が進んでいます。

こうした仕組みが、都心、副都心等と周辺区との格差を拡大する原因になっている現状、国策として再開発推進・大企業奉仕の街づくりに多額の「補助金」を誘導する仕組みが作られていることについて区長はどう見ているのか、答弁を求めます。

私は、こうした自治体間格差を作り出しているこの仕組みの被害者は、葛飾区自身でもあるのではないか。これ自体が「地方自治」破壊ではないかと思います。

こうした現状を直視するのなら、庁舎建設のために、その「おこぼれ」=補助金を獲得のために汲々とし、「地方自治」破壊に加担するのではなく、再開発制度の見直しを世に問うことが、葛飾区民の代表として取るべき態度ではないかと思うがどうか。

葛飾区のモラルハザードの現状は、目を覆うばかりです。

いま、住民監査請求の後、住民訴訟として係争中の案件が4件あります。①児童相談所の定期借地権②私立保育園パート補助金の返還を求めない弁護士費用③立石駅周辺のエリアマネジメントの官製談合さえ疑われる案件④立石駅北口再開発の「権利変換に異議」をとなえる集団住民訴訟です。どの案件も係争中としてまともに答弁がなされませんので指摘しておくものです。

最後に、特定の「財団法人」を特別扱いしてきた区政のゆがみについてです。

11月14日に文教委員会で審議が行われた、営利企業の事業でありながら財団法人を隠れ蓑にして特別扱いをし、公共施設を使用させ、本来、入るべき収入を散逸させ、その他、説明がつかない税金投入が行われた問題です。

事実の解明のための調査、関与した特定の人物などが必要であり、区と教育委員会が全面的に協力すること、民間の団体、企業の事業だとはいえ、区と教育委員会自身が公共性のある事業として認めてきた事業であることを鑑み、必要な資料要求を行うとともに、当該団体、企業にも協力することを求めるべきと思うがどうか。

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