立石駅再開発と庁舎保留床についてです。
この間、各地の再開発で重大な変化が起こっています。中野サンプラザ再開発は、白紙撤回されました。計画そのものがバブル的発想であり、当然の帰結です。
JR津田沼駅南口再開発も一時中断と報道されています。やはり、建築費の動向や社会情勢が見通せないことが原因とされています。
立石駅南口東地区権利変換計画も延期されます。これもまた、資金計画に生じているからであり、延びれば延びるほど、物価高騰がかさみ、事態は深刻になります。
立石駅北口再開発が、立石の街の賑わいに障害を作り、さらに、連続的な再開発の強行は、追い打ちをかけます。津田沼駅前と同じく、建築費も社会情勢も見通せないのであれば、立石駅南口再開発は抜本的な見直しが必要ではないか。
立石駅北口再開発の工事費の高騰にも、庁舎保留床の購入価格の高騰に直結することになり、大きな問題になっています。
2024年12月には、工事費の高騰の予測したものの、権利変換申請時には932億円としていた再開発工事費は、1280億円となりました。
庁舎保留床の購入については、242億円と区広報で何回も掲載し、宣伝してきましたが、352億円に膨らみました。
この説明責任を指摘し、このほど、5月25日付の広報に金額変更の記事が掲載されました。それによれば、これまでの積立では足りないと今年度当初予算で20億円もの積立が行われました。区民は物価高騰にあえいでいるのに、いくらになるかわからない庁舎のための基金を最優先でいいのか。それどころか、この広報では、「特別区債の発行」と明言しています。いくらになるかわからないから「特別区債の発行」となったのではないか。議会に対して説明もなくこうした方針転換は容認できません、答弁を求めます。
この「協定」が、庁舎保留床の購入価格を「青天井ではない」と強弁しますが、「協定」の本質は、再開発組合が算定した金額で、「いくらになっても購入するという協定」であり、「青天井」です。それを意識してか、区財産価格審議会は、庁舎保留床が399億円としたことからも窺えます。
今定例会の総務委員会、都市基盤対策特別委員会で立石駅北口再開発の工事費の更なる増額が予想されます。
立石駅北口再開発組合の全体工事費は、現段階で、1280億円と報告されましたが、物価高騰は、今も続いており、この金額を上回る可能性があるのではないか。一方、総工事費が上昇しても、庁舎保留床は、352億円で「協定」を締結するというなら、庁舎保留床が、352億円だとする根拠がなくなるのではないか。
しかも問題なのは、「協定」は、6月末日に、議会の関与はなく、区長の判断で締結され、決定されてしまいます。
こうした隘路にはまり込むことは、再開発の手法で庁舎整備する選択が原因であり、それへの反省が求められます。
結局、いくらになるのかわからない「協定」そのものに問題の根源があります。「再開発組合から請求された金額を支払う」という「協定」の締結をいまこそ、再考すべきではないか。
この立石駅北口再開発の権利変換に「異議申し立て」の集団住民訴訟が昨年7月に第一回公判が行われ、毎回、原告団だけではなく、東京地裁で最大の103号法廷は傍聴席が埋め尽くされています。
原告団の弁護人からは、毎回、論理的な主張によって、審理を尽くすために三階庁舎部分の権利床の評価が高すぎること、庁舎権利床が床の権利変換だけではなく、工作物を含むのは地方自治法に反し、公金支出の根拠を示していないことは、区民の財産である区有地の価値を貶めていると指摘しています。
さる5月13日の第四回公判では、埼玉大・岩見良太郎名誉教授の意見陳述書を弁護団が説明しました。
第一に、権利変換が財務会計行為である主張、第二に、葛新区が取得した権利床が著しく高額なのは、庁舎の価格を高くするための作為があると断じています。
しかし、被告の葛飾区と特別区人事・厚生事務組合は、東京地裁の公判で一切反論せず、裁判所に対し、いわゆる「門前払い」にすることを求め、審理拒否の態度をとり続けています。こうした態度は、原告団のみならず、全ての区民に対する背信行為ではないのか。