水泳指導の民間委託について質問します。
まず新宿3丁目、お花茶屋1丁目に整備予定の屋内温水プールについてです。
私は、5月にオープンしたつくば市立みどりのプールを視察してきました。こ
の施設で水泳授業を行うとしていますが、本区と違うのは、学校の水泳授業優先の施設ではないということです。
第1に、整備の背景には、児童生徒数が増加している学校では校内プールだけ
では水泳授業ができない、学校プールの老朽化、スポーツと健康に関する市民の意識の高まりという観点から、学校プールの機能と合わせて、すべての人が利用できるように、社会体育施設として新設されました。
第2に、水泳授業は、午前中のみで当面9校を受け入れ、午後以降は一般開
放しています。
選定した学校は、バスで30分以内で移動できることを条件に、プール未設置
の学校、児童数が多くて校内プールでは賄えない学校、老朽化で使うのが困難な
学校が選定されています。その学校では、教員のプール管理・水質管理がなくな
り、監視員が1槽2名配置され安全面は向上したというメリットがあります。
水泳授業は、インストラクターはつかず、指導と評価の一体化の観点から教員
がおこなっています。今後、教員の指導力向上や安全管理体制の向上のために、県の実技指導者講習会への参加、体育学習アドバイザーの活用、指定管理者が設定する講習会の参加を促すとし、水泳指導で教員の果たす役割と責任に重きを置いていることがわかります。
学校優先の学校教育施設として整備し、水泳授業を民間委託している本区とは全く違います。
スポーツ施設としてのプール整備は区民要求も高く、本来なら歓迎されるべきものですが、先月、新宿、お花茶屋で開催された説明会では歓迎されるどころか、反対の声が続出しています。いずれも住宅地であること、プール建設先にありきになっていること、新宿は具体的な施設概要図までできて住民不在であること、お花茶屋は双葉中の第2校庭の要望を無視していること、整備費用が不明であることなどが出されています。
やはりプール建設先にありきで地域住民との合意がありません。
そこで質問します。
1、元々あった金町公園プールを屋内温水プールにする計画をそのまま実行すれば、新宿での建設を急ぐ必要はないと思うがどうか。
2、新宿でのプール建設は、プールのあり方も含めて地域住民との合意形成を最優先すべきと思うがどうか。
3、お花茶屋は、プール建設ではなく、当初の予定通り双葉中の第2校庭として整備すべきと思うがどうか。
4、双葉中学校の校庭は狭く、築年数も古く、改築校に選定し、改築と合わせて学校内に屋内温水プールを整備すべきと思うどうか。
2か所の屋内温水プールを整備し、20校を受け入れることが、いかに無謀な計画であるかは、この間の水泳指導の民間委託で浮き彫りになった数々の問題点からも明らかです。
現実に行われている学校プール活用の水泳指導の安全・安心対策不十分です。
学校外プールでは「着衣泳」が約半数で実施されず、夏季休業中の水泳指導は中止されています。
学校外プールでは、教員のプール管理がなくなりますが、学校プールでの負担は変わりません。文科省は、民間業者への委託で教員の負担軽減をするよう通達をだしています。
バス移動では、学校外プールに児童が置き去りにされた、3台配車予定が2台しか配車されなかった、契約外のバス会社が配車された、1校で4社のバス会社との契約など、バス確保に困難が生じているだけでなく、事故が起きても区教委に報告すらされていません。移動が予定通りいかず休憩、給食に支障をきたしています。
学校外プールを活用すれば、その施設の一般利用者が排除される事態が生じ、水元温水プールやセントラルフィットネス青砥店の利用者から、繰り返し請願が出される事態が続いています。
広報では、児童が温水プールの水泳指導を「楽しい」との回答を強調していますが、9%約600人は「楽しくない」と回答に分析がありません。
子どものアンケートでは「インストラクターが怖い」という回答と合わせて、教員のアンケートにも「なぜ大きな声で叱られたのかわからない、怖い、と訴えた児童がいた」「乱暴な言葉遣い、威圧感を感じる指導」があったと、子どもへのハラスメントの実態が告発されていまが、区教委は「ハラスメントの声は上がっていない」と開き直っています。
何よりも水泳指導は命を守る教育であり、民間委託でいいのかが根本的な問題です。
区教委の「手引き」には、「現場でのインストラクターへの直接的な指示命令は契約上できない」と明記しているのは偽装請負になるからです。そのためインストラクターのハラスメントに気が付いても教員は指導できません。その点からも安全に関わる教育を学校以外の人材に任せることは、命への責任の放棄になります。
スイミングスクールのインストラクターの指導は第一に泳力をつけるためのトレーニングです。一方、学校が教育として行う水泳の指導は、泳力だけでなく、呼吸の確保、浮く姿勢などを核としながら、川や海で過ごすことも視野に入れた命を守る教育です。奥戸温水プールの指定管理者は住民との懇談で、「先生がきちんとプールサイドにいてみんなを見守り、最初と最後に先生があいさつをしっかりおこなう」と語っているように、水泳指導の中心をインストラクタ―任せでは、「命を守る教育」とは言えません。
水泳指導の民間委託は、様々な問題があり、学校間格差をつくるものです。そこで質問します。
1、小中50校の学校プール活用校でも熱中症や天候を配慮して、遮光ネットや屋根、プールサイドへのテント設置などの対策を講じること。
2、水泳指導を教員が行う上でも体制の強化を図ること。
3、着衣泳の実施は、海や川での事故が増える夏以前に全校実施すること。
4、夏季休業中の水泳指導は学校判断ではなく、社会教育としてできるよう環境整備を行うこと。
5、学校プールの管理は、業者委託で教員の負担軽減を図ること。
6、学校外プール活用で、一般利用者から声が上がっている場合は、当該プールの活用をただちに中止すること。
7、子どもへのハラスメントは人権侵害であり犯罪行為です。契約書に対策を明記すること。
8、教員の指導力向上のために、研修やアドバイザーの活用などを検討すること。
9、水泳指導は命を守る教育です。3年におよぶ民間委託の全面的な検証をすること。以上、答弁を求めます。