2025年葛飾区議会第三回定例会を終えて(団声明)
1、今定例会は、2024年度の決算議会であるとともに、今期最後の定例会でした。前定例会で、青木区長が次期区長選に出馬表明しましたが、今後の区政をどう改革すべきなのかが問われる重要な議会でした。同時に、来年度予算編成にあたり、物価高による区民のくらしと営業に厳しさが増しており区民要求をどう実現していくのかが問われる議会でした。決算剰余が122億円にものぼり、区民のために活用されることなく、基金としてため込まれていることが問題です。基金の総額は、いまや1300億円以上にもなり、23区内中、総額で上位7位、一人当たりで8位です。
党区議団は、そのために酷暑から区民の命を守るために電気代補助、お米券の配布、中小事業主に対する給付の拡充・早期実施、義務教育の無償化へ向かうため小中学校に入学する児童生徒に入学祝い金として10万円支給、シルバーパスを1000円に負担軽減するなど緊急提案を行いました。しかし、こうした提案に対し、背を向ける冷たい態度に終始しています。
1、気候変動の影響は、酷暑だけではなく、巨大な台風や線上降水帯の発生による激甚災害を多発させています。これに対する対応も急務となっています。とりわけ、能登半島地震後の被災者に対する支援が届かず、長期にわたる復旧の遅れによる国民の不安が増しています。
党区議団は、国際的標準となり、被災者が人間らしく避難できる体制・スフィア基準を求めてきました。この間の論戦によって党区議団の主張が実り、前進面もありますが、依然として安心できる態勢にはなっていません。引き続き、対応を強化しなければなりません。
1、バルサアカデミー葛飾校問題では、定例会前の8月19日に急きょ「区議会議員全員協議会」が招集されました。この「全協」には、参考人として、キッズ未来理事長の秋本氏、スポーツラボジャパン社長濱田氏と同社幹部1名、小林元副区長を参考人として招致し、質疑が行われました。しかし、この問題に対する「第三者委員会」設置の報告を主眼とするものであり、この日の質疑により新たに事実の解明には至りませんでした。しかし、党区議団が主張してきたバルサアカデミー葛飾校が東金町運動場の「優先利用」は、9月末で中止することとなりました。「第三者委員会」の報告書は、依然として、来年、3月を期限としていることは認められません。この間の経過から、区長自身が中心になって無理おしを重ねスタートさせたバルサアカデミー葛飾校事業をめぐる問題は、副区長の辞任、教育長の退任によって解決するものではなく、区長自身が責任を取るべき重大な事案であることを指摘しなければなりません。
1、今定例会では、教育長人事案件が提案され、新教育長を選任しました。今定例会にも学校プールの請願が4本提出され審議されました。水泳指導の民営化を推進するために既存温水プールでは足りず、新宿地域に33億円、お花茶屋地域では、49億円をかけて温水プール建設を進めようとしています。こうした動きに対し、与党からも計画的な学校建替えの障害になるのではないかとの意見が相次いでいます。学校建替に際し、計画的に温水プールを設置すれば、コスト削減は可能で、そのほうが合理的であり、根本的な水泳指導の改善こそ強く求められています。
1、立石駅北口再開発事業の工事契約、再開発組合と区との協定の締結が再三延期され、今定例会の終了後、締結される予定です。しかも、総工事費は、さらに1307億円へと上昇しましが、予備費を先食いし、庁舎保留床を352億円に据え置くという操作により、低く抑えています。これは、庁舎保留床がさらに高額になり青天井になることを覆い隠すためのもので、これ自体選挙で争われるべき問題です。今後、庁舎保留床を購入するためにさらに基金を積み上げ、それでも足りなければ起債=借金をしてでも事業を進めようとしています。いまや、各地の再開発は物価高騰で計画中止・見直しが相次いでいますが、立石駅北口再開発の進捗は、区庁舎への税金投入で成り立っています。まさに、工事はこれからであり、見直しをする最終段階にあるからこそ抜本的な見直しを求めています。立石駅北口再開発の「権利変換計画に異議あり」訴訟は、9月19日、判決が言い渡され、原告敗訴となりました。しかし、判決理由には、「権利変換計画は財務会計行為」との新たな判断が示され、二審の高裁では、その判断を改めて問うことになります。原告と弁護団は、10月3日、すでに控訴しました。
今後の区内再開発のためには、数百億円の規模で税金投入しなければ成り立ちません。そのうえ、東新小岩運動場のスタジアム構想もそれに輪をかける大型開発への税金投入に他なりません。それが、今後の区民要求実現の最大の障害になります。それだけにこうした事業の中止・見直しが区政の重大問題となります。
区民運動と議会論戦の相乗的な結合で、区民要求実現のために引き続き全力を尽くしてまいります。
2025年10月7日
日本共産党葛飾区議会議員団

