2025年第4回定例会 一般質問(質問者:中江秀夫)

日本共産党葛飾区議会議員団を代表して、区政一般質問を行います。

 

 はじめに、選挙の結果についてです。

11月9日投票で行われた区長選挙は、投票率が40.35%と、前回44.03%に比べても低投票率になっています。無効票は前回まではほぼ4000票台でしたが6000票台へとふえています。文京区では2年前の区長選挙で52.15%です。なぜ、こんなに開きがあるのでしょうか。

青木区長は再選を果たしましたが、2期目以降、選挙のたびに得票数を減らし続けてきました。選挙公報に記載された他の候補者の文字には「利権一掃」「不祥事頻発」「特定団体・事業者への優遇」「青天井の整備費で進める新庁舎計画」と、文字が躍っています。

 この4年間だけでも私立保育園補助金誤支給問題、児童相談所土地問題、立石エリアマネージメント問題、バルサアカデミー管理棟使用料問題、区庁舎移転問題とこれまで区長を被告とする5つの裁判が行われてきました。バルサについては第三者委員会が設置され、それを盾に何ら責任ある態度を示さない。毎年開催してきた政治資金パーティー、区の補助金支給法人や公共事業発注企業の代表者などから、個人献金の名のもとに「法に則って」と言って企業・団体献金について開き直ってきました。

こうしたことが、政治不信、区政への無関心となって数字に表れているのではないでしょうか。区長の認識を伺います。

 次に、今後の区政運営について伺います。

2025年7月~9月期の国内総生産は、前期比0.4%減と6期ぶりのマイナスとなりました。経済の循環構造が崩れたところに、物価高騰が直撃し、日本経済が停滞局面にあることが一段と鮮明になりました。厚生労働省が公表した9月の毎月勤労統計では、実質賃金が9ヶ月連続で前年度を下回り、物価の上昇に追い付いていない状況が続いています。政府の経済施策の誤りとアベノミクスによる日本経済の歪みが一部大企業と超富裕層にのみ富が集中し、格差と貧困を限りなく拡大してきた結果です。

まず、区長は、この経済の現状をどう認識されているのでしょうか。答弁を求めます。

この歪みを覆い隠すために利用されているのが極右・排外主義です。外国人が優遇されているというデマを振りまき、とてつもない格差を生み出した政治状況を偽りの議論で分断をあおる潮流を見過ごすわけにはいきません。

わが党は、創立以来、アジア諸国への侵略戦争に反対し、その基礎となるアジア諸国民への差別と闘ってきた政党です。それだけに、時の権力からは、激しい弾圧にも屈せず闘ってきました。

こうした歴史を持つ党だからこそ極右・排外主義を容認できません。外国人に対して差別的な、根拠のないデマや嘘で外国人への不安を煽り、外国人を敵視する排外主義が横行する今日、区長は、外国人との共生そのものも公約とした立場から外国籍の方々が人権侵害を受けた場合の対応策について、お答えください。 

格差と貧困、外国人差別という歪みを大本からただすとともに、最も身近な自治体として、区が区民のくらしと営業を守るために最大限の努力をするのは当然です。

高市政権は、臨時国会で補正予算を閣議決定し、コロナ禍後、最大の補正予算が見込まれ18兆円超と報道されていますが、その内訳は、トランプ米国大統領の防衛費増強に忠実に応え、防衛費8472億円を計上し、他省庁の関係費を含め今年度GDP比2%にあたる11兆円規模としました。また病床を11万床減らすための基金に充てるなど、どこが経済対策なのか。本来、その分は生活支援に充てるべきです。

一方、18兆円超のうち、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」に2兆円、そのうちの約4千億円を食料品高騰対策として打ち出しています。わが区議団は、11月20日、区長に2026年度予算編成に対する要望書を提出、合わせて物価高騰と経済低迷のなか、区民生活と中小企業の営業を守るための緊急申し入れを行いました。

しかし、第四次補正予算には、提言をした具体的な緊急物価高対策としてのお米券や電気代の補助など計上されておらず、政府も提言をしているにもかかわらずやろうともしないのは、物価高騰にあえぐ暮らしの実情に全く向き合っていないと言わざるを得ません。

区民のくらし、営業を守るための物価対策が緊急に求められています。区として出来うることとして、以下提案します。

まず、政府は、自治体によるお米券の配布など、一人あたり3千円相当を受け取ることを想定しています。しかし、依然として高値が続き買えないのが現状で、国の支援まで待てないのが実情です。財政調整基金の活用も含めて、ただちに実施すべきではありませんか。昨年は東京都もクーポンの発行、品川区では子育て世帯に現物支給、今年は台東区で、すべての区民を対象にお米券が配布されています。コメの値上がりは著しくお米券を区が上乗せをして、全世帯へ緊急配布すべきと思いますが、いかがですか。

二つ目に、電気・ガス代の支援は、9月で終了しています。夏よりも冬のほうが電気代は高くなります。エアコン等を使うことを我慢するなど健康を害すことがあってはなりません。電気、ガス代の補助を早急に実施すべきです。いかがですか。

三つ目に、高齢者の社会参加、福祉の向上を図るため、東京都のシルバーパスを年額1000円で使用できるようにすべきと思いますが、答弁を求めます。

次に、区内中小企業の営業をどう守るのかという問題です。

東京商工リサーチによると、2025年10月全国企業倒産件数が965件、東京都では174件、葛飾区でも当期6月時点で16件、物価高や人手不足、収益が厳しいなか、賃上げ・人件費や借入金利などの負担が大きいのが原因とされています。厳しい経営悪化のため、年を越せるのかどうかもわからない状況です。事業継続をするための区の支援として、本気度が問われています。

今定例会では、中小企業支援策として、個人事業主に3万円、法人事業主に15万円の支給が計上されました。

四年連続の実施となりますが、中小業者の置かれている深刻な状態、しかも、政府は政府なりに補正予算を計上し、「重点支援地方交付金」に2兆円の予算化をしているのです。なぜ、いままでと同じ対策しか行えないのか問われています。今求められているスピード感のある本気の対策として、増額をし、ただちに物価高騰緊急対策支援金を実施すべきです。答弁を求めます。

また、第3回定例会一般質問で、賃上げを要件とする中小業者への直接支援を、他の行政の事例も述べ質問しました。賃上げのために直接支援制度で事業者を守る努力をしています。しかし、この賃上げ支援を活用して、最低賃金をあげたら事業者の負担額が大きくなり、賃上げ分を価格に転嫁できない中小業者にとっては、賃上げ倒産に追い込まれるという問題が生まれています。

それでもなお、事業者を助けるためにどう改善をするのか、どうしたら賃上げができるのか解決策を模索しているのに、本区としては未だにその検討すらしていないのは大問題です。本気で事業者を守るための支援を検討すべきと思おいますが、いかがですか。

次に、子育て支援策としていくつか質問します。

区長は、「子育て支援のさらなる充実」「義務教育の負担軽減」と選挙公約に掲げました。本区は全国に先駆けて、小・中学校の給食費無償化、修学旅行費無償化など実現してきましが、更なる教育の無償化をすすめるべきではないでしょうか。

まず、足立区が来年から実施予定ですが、入学時における家庭の経済的負担の軽減を図るため、小学校、中学校への進学の際、入学祝い金10万円を支給すべきです。いかがですか。

二つ目に、中学生や高校生など交通費負担の重さが問題となっています。通学定期代を補助すべきと思いますが、いかがですか。

 三つ目に、国民健康保険料の均等割は、加入するすべての家庭の人数に定額の負担がかかります。子どもがいる世帯にとって重い負担となっています。未就学児までの均等割保険料をゼロにすべきではないでしょうか。お答えください。

四つ目に、保育料の無償化は、延長保育にも適用すべきと思いますが、いかがですか。

五つ目に、学童保育クラブの待機児は深刻です。増設計画を増やし、待機児をゼロにすべきと思いますが、いかがですか。あわせて、使用料、おやつ代も含めて無償化を実施すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

六つ目に、区内小・中学校で、インフルエンザ感染により、学級・学年閉鎖が相次いでいます。インフルエンザの流行期、予防接種は感染防止につながります。18歳以下のインフルエンザ予防接種を早急に無料にすべきです。いかがですか。

次に、最高裁が違法とした生活保護の減額について質問します。

2013年~2015年にかけて3回に分けて行われた平均6.5%、最大10%、年額削減額670億円の史上最大の生活保護基準の大幅引き下げを違法とした最高裁判決について、国は原告らに直接謝罪し、利用者全員の減額分を全額補償すべきです。区としても訴訟を受けている行政として、区長が先頭になり犠牲になった区民の方々に反省の立場に立って、国に求めるべきではないでしょうか。

政府は、生活保護費を全額補償とせず一部補償にとどめ、原告には上乗せをしますが、一般の利用者にはしない考えで、生活保護利用者に新たな差別・分断を持ち込むもので、無責任と言わなければなりません。また、違法とされた引き下げ方法とは別の手法で2.49%減額する方針を固めました。弱い立場におかれた生活保護利用者の人権と人間の尊厳を再び踏みにじる行為であり、断じて容認出来ません。生活保護基準の大幅引き上げを国に求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。

限られた保護費の中で、灯油代や電気代、食費を節約しないと厳しい冬を迎えることは困難です。生活保護世帯の冬季加算に区が独自に上乗せをすべきです。また、法外援護の拡充をすべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。

第二に、立石駅北口再開発等、今後の大型事業について伺います。

立石駅北口再開発にともなう区庁舎移転計画は、今後の区政に大きな問題を投げかけていることは、今度の選挙を経ても変わるものではありません。なぜなら、区長はこの問題点について明確にしてきませんでした。選挙公報には「防災上、駅前再開発が必要」と一般的なことを示しただけで、わが党を含めこの問題への具体的な指摘に対して、なんら反論がなかったからです。

選挙後、11月24日付Merkmal(メルクマール)というニュースで「駅前の店がすべて消えた

 京成立石 揺らぐ下町文化と、コスト増・訴訟が示す構造的リスク」という記事がネット上で配信されました。立石にできる三棟のタワーマンションに入居する人が果たしているのか、街づくりのミスマッチ、今後、行政が買う床の増などの懸念の指摘でした。

選挙戦に突入する直前に、再開発組合との「協定」の締結も行われましたが、庁舎保留床取得のためにいくらかかるかわからない、わからないが「協定」により再開発組合からの要求額を全額支払わなければならなくなりました。

 前期最後の総務委員会では、「協定」を締結しても「売買契約締結前は遅延損害金の請求はされない」との答弁がありました。

 まず、そういう法解釈はできたとしても、再開発組合から「法的な手段」で賠償が求められることになるのではないでしょうか。答弁を求めます。

 将来のことを真剣に考えればこそ、事業そのものの見直しが求められています。

 立石駅北口再開発事業の工期は、2029年度までの予定とされていますが、今日の物価高騰や資材の調達、労働力の不安定要素が現実に存在しています。

 学校建て替えでは、工期の延長が実際に起きています。公共事業の場合は、工期の延長による費用の増加分は専決処分で増額されていきます。しかし、再開発はあくまでも民間の事業で、年10%程度の遅延損害金の支払いが発生します。再開発による区庁舎整備というのは、そうしたリスクが生じることも問題があるのではないでしょうか。

 工期の延長がないなら、今期の議会が保留床購入の議決をすることになりますが、少しでも工期が延長となれば、次期の議会が行うものとなるのではないでしょうか。

それだけに、今後の区政に混乱をもたらすことのないように、見直しの決断は早ければ早い方が賢明だと指摘しておきます。

 この立石駅北口再開発の「無駄な税金投入を許さない、新庁舎問題住民訴訟を進める区民の会」による公判は、今年9月19日の一審判決で原告敗訴となりましたが、権利変換を一部財務会計行為と認める判決となったことはこれまでにはなかった判断で、被告の区側が、事実認定を一切拒否した事の問題をうきぼりにしました。

 来年1月20日に東京高裁で二審が始まることも申し添えておきます。

 

北口再開発により、人流が大きく変貌し、街の賑わいが大きく損なわれています。

 立石駅南口東地区再開発は延期されていますが、この地区の工事を始めるならば、深刻さはさらに深まり、街壊しとなることは明らかです。

 今後の立石地区の計画については、地権者の動向も見定めたうえで、抜本的な再検討をすべきと思いますが、いかがでしょうか。

東金町一丁目西地区市街地再開発は、一期工事が完了し、二期工事にすすんでいますが、驚くべきは、再開発ビルには地元の事業者の参入はなく、唯一、この再開発組合理事長の自動車教習所が特権的に再開発ビルの共有部分を破格の安値で利用し、一日も休まず営業を続けていることです。

 いうまでもなく、再開発には公共施設負担金や再開発補助金という巨額の税金投入が行われています。再開発組合の事業はいうまでもなく組合による民間の事業ですが、区財政からも大きな税負担があります。区自身も地権者としてその税金投入について、区民に説明すべきです。いかがですか。

また、東金町小学校の新校舎が竣工したばかりなのに、すでに教室の増設工事が行われています。これは、計画性の欠如によるものではないでしょうか。学童保育クラブの不足、理科大学通りの混雑も同質の問題ではないでしょうか。見解を伺います。

東新小岩運動場のスタジアム構想も、そもそも区民合意がなく、スタジアム先にありきというものです。

 せっかく区民要求を満たす運動施設ができたのに、それをなくしていいのかという声に向き合うべきではないでしょうか、答弁を求めます。

 以上、こうした大型開発優先の事業がすすめばすすむほど、区民の生活と営業を支える事業が後景に追いやられることになりかねません。なによりも、住民本位のまちづくりでなければならず、そこに住む住民のくらしと生業があってこそです。

 住民不在のこうした計画を転換することこそが必要である、と申し上げて質問を終わります。

よかったらシェアしてね!
目次