2022年第二回定例会一般質問 片岡ちとせ

 学校プール問題、水泳指導について質問します。
 区営・民間温水プールを使う水泳指導が、一部の学校で5月から始まりましたが、問題は山積しています。
 第一に、水泳指導の安全性を確保するための定期健康診断についてです。
 文部科学省の「水泳指導と安全」のガイドラインでは、学校医による内科、歯科、眼科、耳鼻咽喉科の各健診の結果を水泳の可・不可の決定をするため、毎学年、6月30日までに健診を終了し、水泳指導を行うよう求めています。
 健康管理上注意を必要とする児童・生徒に対し、医師による診断によって水泳が可であることを確かめておかなければならないのは、生命にかかわる問題だからです。
 ところが、水泳授業は5月上旬からスタートしたため、この健診が終わらずに水泳指導が行われています。これは児童・生徒の安全管理に重大な影響を及ぼす危険があると思うがどうか。
 令和4年度は、四ツ木中学校が最も早く5月6日からスタート、6月30日以前に指導開始をするのが、12校中11校です。
 結局、スケジュール先にありきで、水泳指導を行うことは事故にいたる危険をはらむものだと思うがどうか。

 第二に、教育委員会のシミュレーションと現場にギャップが生じていることです。
 党区議団は、いくつかの学校との面談や温水プールの水泳指導の視察も行いました。ある学校では、1時限からの予定では、バスへの乗車は8時30分ではなく45分から予定し、やってみなければわからないと答えていました。
 ある学校では、2~4時限の水泳指導では、給食の時間に間に合わず、遅れて給食を始めることになりました。子どもたちの生活習慣を乱し、関係教職員の負担が出ていると思うがどうか。
 また、着衣泳を実施しないという学校もあり、これまでの水泳指導からの後退ではないか。その原因をつくったのは教育委員会の方針ではないかと思うがどうか。

 バスの移動では、座席が足りず児童が立ったままという実態がありました。保護者からの問い合わせに区教委は、民間バスの運転手は安全運転だから大丈夫と答えたとのことです。何を根拠に「大丈夫」と言えるのでしょうか。

 昨年11月、水戸市内で児童34人が大型観光バスで遠足に向かっていた途中、中央分離帯に衝突し全員がシートベルトをしていたが、2名が軽傷を負う事故がありました。

 ある学校では、保育園の近くにバスを停めたために、保育園から「散歩に行きたいが、いつまで停めているのか」と苦情も出ています。
 シミュレーション通りにならない現実をどう受け止めているのか、お答えください。

 第三に、水泳指導の方針が校舎の建て替えに影響を及ぼしています。
 二上小の校舎建て替え基本構想・基本計画が策定されましたが、水泳指導用に大型バス3台を停車させるための、6m×50mの巨大駐車場が図面に示されました。限りある学校の敷地は、教育条件を最大限向上することを前提に計画されなければなりません。しかし、外部の温水プールで水泳指導を行うために、学校のプールは廃止し、駐車場を作る。こうした校舎建設が良いのかと多くの関係者が疑いを抱いています。
 子どもたちのための最善の教育環境、長く使う校舎の配置がこれでいいのか、これが今後の学校建て替えのスタンダードになるのか、お答えください。

 第四に、コストの問題について伺います。
 「今後の水泳指導の実施方法に関する方針」では、児童数の平均値421名として学校外の屋内温水プールを使用した場合、年間507万円でした。
 しかし、令和4年度以降の契約では、想定経費のおおむね2倍となり、年間9百万円ほどとなりました。
 一方、学校の屋外プールは、80年水道料金も建設費用も上がらない前提のありえない数字ですが、年間770万円です。
 議会に対し、事実に反する説明となったことに対して、まずは謝罪すべきと思いますが、どうでしょうか。
 また、バス代は一人当たりに換算すると最安624円、最高1319円と2倍以上の開きがあります。施設使用料も区営プールの指定管理者がおしなべて民間プールよりも高くなっています。どうして、このような不合理・不経済なことになるのか、お答えください。

 第五に、学校外温水プールを使用しない学校への対策について伺います。
 35度超の猛暑日は、8月に集中し、東京の場合、猛暑日は2017年は1日、2018年は5日、2019年、20年、21年はそれぞれゼロでした。さらに、最高気温のピークは、午後3時前後です。
 独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校屋外プールにおける熱中症対策」では、小中学校の熱中症は、プール指導時よりも通常の体育の授業時、中学校では、部活動で発生していることに警鐘を鳴らしています。
 暑さ対策のために、学校外温水プール利用に血道をあげることは、はき違いではありませんか。
 最も多く熱中症が発生している体育授業時、部活動中の具体策こそが必要だと思うがどうか。

 61校は、引き続き、学校プールで水泳指導を行います。その学校の対策がおざなりにされていることも指摘しなければなりません。
 独立行政法人日本スポーツ振興センターの「熱中症対策」では、①プールに日陰、テントや遮光ネット、②扇風機、団扇、③スポーツドリンク、④氷のう、保冷材、⑤サンダル、⑥水面シートなどの実施を奨励しています。
 我が区議団はこれまでもたびたび遮光ネットの設置などを提言してきましたが、学校プールを使用する学校で、それぞれの施設がどれだけ熱中症対策を用意をしているのか伺います。

 第六に、区民に保障すべき社会教育と学校教育の関係について伺います。
 社会教育とは、学校の教育課程として行われる教育活動を除くことが社会教育法で定められています。よって社会教育施設である区営温水プールを学校教育としての水泳指導優先に使うことは誤りだと思うがどうか。

 現実に社会教育団体の活動が制限され、犠牲を背負わせています。今後、複数の学校で活用すれば、さらに団体の活用を制限することになります。
 社会教育施設で学校の水泳指導はやめるべきと思うがどうか。

 金町公園プールを温水プールに改修し、学校の水泳授業以外を一般利用とどうか。することは、二重の誤りです。「基本計画」で温水プールの設置計画を記載しましたが、学校の水泳指導のためではなく、社会教育施設として区民に開放すべきと思うがどうか。

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