2024年第一回定例会一般(質問者 片岡ちとせ)

日本共産党葛飾区議団を代表して、区政一般質問を行います。

能登半島地震の被害者、被災者の皆様に心から追悼とお見舞いを申し上げまして、防災について質問します。

元日に起きたこの震災では、住宅の耐震化・避難所運営・厳しい避難所生活から、いかに区として教訓をすくい上げ、防災の取り組みを強めていけるかが今、求められていると思います。

 第一に、耐震化の推進などについてです。

 能登半島地震で犠牲になった222名のうち、92名、全体の41%が、家屋倒壊や家具転倒などが原因の圧死でした。

 区は、本区の耐震化率を94.8%としていますが、実は100世帯のマンションを100軒とカウントする数字のマジックがあります。実際、木造建築物の耐震化率は86%ですから、これだけでもかい離しています。

グレーゾーン住宅の耐震化に助成を広げ補助額を引き上げたことは、党区議団として求めたことであり評価しますが、同時期に建てられた木造三階建て住宅も経年劣化が心配です。また家具転倒による窒息や圧死は、地震が起きる前に対策が可能です。

災害時に重要なこととして、情報へのアクセスがあります。停電が続く被災地では、テレビやネットなどの通信網が寸断され情報が入らないために給水や物資を受け取れない状況がありました。やはり災害時には乾電池で動くラジオが重要ではないでしょうか。そこで質問します。

①1981年6月から2000年5月までに建てられた木造3階建ての建築物も助成対象のグレーゾーン住宅にするべきだと思うがどうか。

②感震ブレーカーの設置支援は約6500棟であるが、対象となる家屋は区内に4万棟あり、大幅に予算額を増額すべきと思うがどうか。

③家具転倒防止の助成対象を拡大すべきと思うがどうか。

④ラジオは命を守る情報源であり災害時の判断に重要な情報を聞き逃すことが無いよう、区独自で防災ラジオを配るべきと思うがどうか。

 第二に、避難所の人道的配慮と環境改善についてです。

 1995年の阪神淡路大震災で被災された方が、能登半島地震の避難所の映像を見て、当時とほとんど変わっていないと、失望していると伺いました。

人道憲章と人道対応に関する最低基準、通称スフィア基準は、紛争や災害の被害者が、尊厳のある生活を送ることを目的に、1997年に定められた国際基準です。「被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある」「実行可能なあらゆる手段を尽くして、被害や紛争の被災者の苦痛を軽減すべきである」というものです。

 海外の記者から「先進国の日本で被災者が、なぜ難民キャンプのような扱いを受けているのか」との疑問が寄せられています。これはスフィア基準が国際基準として広がっているにも関わらず、日本の避難所の遅れた現状があるからです。兵庫県川西市では、台風などの災害が発生した場合に備え避難所用2人用のテント500個を購入し、小中学校の体育館の避難所に配備するとしています。川越市でも同様にテント1500個を備蓄する計画を立てています。避難所での感染防止には、十分なスペースと、間仕切りやプライバシーを守ることが必要とされています。

スフィア基準では、避難所の女性トイレは、男性の3倍必要であると言われています。災害時避難所となる区内公共施設のトイレも平時から改善しておくべきです。本区の避難所に用意されている下水道直結型のトイレは、下水道が損壊していないことが前提です。阪神淡路大震災でも、能登半島地震でも困りごととして避難所にトイレが圧倒的に少ないことがあげられました。栃木県さくら市では、国の防災減災事業債を利用し、移動式トイレトレーラーを購入し公園に設置しています。能登半島の避難所に、全国から各自治体のトイレトレーラーが続々と集まり、被災者からは、「きれいで嬉しい」などの声が寄せられています。

スフィア基準を満たした避難所開設に区職員の役割は重要です。災害を想定した防災訓練を行っていますが、実際に災害が起これば、職員の多くも被災し、想定どおりにいきません。指定避難所の職員は4人となっていますが、防災訓練に4人集まらない時があったことをふまえ伺います。

 

①スフィア基準に沿った避難所等の開設・運営を地域防災計画の中に位置付けるべきと思うがどうか。

②スフィア基準に沿った、プライバシーが守られる避難所にするには、学校をはじめとして、各公共施設に、計画的かつ大量に避難所用テントを備蓄すべきと思うがどうか。

③トイレトレーラーを平時から地域イベントで利用すれば使い方にも慣れ、災害時の使用がスムーズに行われ大変役立つと思うが、本区でもトイレトレーラーを購入してはどうか。

④スフィア基準を満たすための避難所開設時の職員配置について、地域防災計画では、震度6弱以上の地震が発生した場合、全員が登庁することになっているが、指定避難所の職員は4人で良いのか。少数の職員体制では対応が困難になると予測されるが、1人でも多く配置ができるように対策を講じるべきと思うがどうか。

⑤区内公共施設のトイレも平時から改善が必要である。党区議団は昨年11月24日にトイレの男女格差を是正するために調査結果を基に青木区長に申し入れをしたが、区として区内公共施設の実態調査を実施し、男女の個室・便器数の改善や、洋式化の計画を策定し、改善していくことが必要であると思うがどうか。

第三に、要配慮者支援についてです。

能登半島地震で被災した視覚障害者は、身を寄せた小学校の避難所では教室にマットレスが敷き詰められ、歩けば誰かの足や頭を踏んでしまう。廊下にも物がたくさん置かれ、白杖を使い歩くことができなかったと、避難生活と移動の困難さを語りました。

本区は、高齢者や障害者、その他の災害時要配慮者対策として、福祉施設のBCP策定支援や個別避難計画策定を行っていますが、能登の地震を受け、要配慮者の対象を広げるなど、協定を見直す自治体があるようです。

特に要配慮者においては「情報の入手や伝達の困難」「避難時などにおける移動の困難」といった状況から、自治体としても避難できない要配慮者の安否確認など現状把握ができなくなる可能性があります。憩い交流館や、高齢者・障害者施設と協定する福祉避難所がありますが、台風19号の時に福祉避難所協定を結んでいたものの開設できなかった施設がありました。こういった過去の事例を踏まえ、質問します。

①一人でも犠牲者を出さないために、地域全体で実効性のある支援体制の構築を再確認することが喫緊の課題だがどうか。

②福祉施設での実効性のあるBCPの作成や、災害時要配慮者の個別避難計画の実効性を確保するために、福祉避難所の運営の在り方も含め、新設される組織でどのように取り組むのか。

第四に、災害時の学校のプールについてです。

水道が復旧していない、珠洲市、内灘町などの自治体は、最大の課題は水と住まいだと言います。ライフラインが寸断された時に、真っ先に困るのが水の確保で、飲料水から生活用水に至るまで、水がなければ生活は成り立ちません。断水が続いた七尾市で、避難所となっている小学校では、プールや川から引いた水を繰り返し浄化して使う「簡易シャワー」を設置しました。避難所となる学校のプールがいかに重要であるかの事例です。学校は地域の防災拠点であり、水の確保は命にかかわります。学校プールの水は消防水利として、また生活用水として重要な役割を持つものだと思うがどうか。

第五に、自衛隊OBを課長に配置することについてです。

来年度の組織改正で危機管理課に運用訓練担当課長を新たに配置するが、災害に特化した専門の幹部職員であれば、自然災害に特化して、被災地の自治体職員や消防関係から人選するのが筋だと思うがどうか。

次に、「子どもの育ち」に必要な施策について提案します。

今月、台東区で起きた4才児の死亡事件が報じられましたが、誠に残念なことです。

本区が昨年10月に制定した葛飾区子どもの権利条例に則し、子どもを生まれたそのときから権利を持った主体性ある存在として尊重し、区は子どもの権利を保障し、発達や成長を支える立場で、全ての子どもが差別や虐待をうけることなく、その子らしく育つための「子育ち」の視点が必要ではないでしょうか。

子育て支援策が、保育事業者と保護者に対する支援から転換し、「子ども」を主体として論じられる必要があります。

第1は、学童保育クラブについてです。

本区の学童保育クラブの需要は依然として高く、待機児は年度当初で2021年259名、22年281名、23年386名と急増しています。昨年公表された子育て支援に関するアンケート調査結果では、「希望しても入れない」「申し込みの点数制度に平等性がみられない。」など、学童に対し至急の改善を要する声にあふれています。さらに待機児童の多さから申し込んでも入れないと説明され、申し込みを門前払いされるケースがあり、これは待機児童の数にも入らず、悪質です。

 学童は、区条例による「監護が必要な児童」を保育する施設です。ところが、学年で差をつけて点数づけし当落を決め、放課後の子どもの育ちに対して、格差をつけています。学童保育クラブ条例施行規則には学年により格差をつける記述はなく、第2条で「別に定める基準により・・・決定」とあります。これは、施行規則で明確にされず、区や施設側のさじ加減で決定していることであり、子どもの権利の尊重の片りんも見られません。区は新規事業「かつしかプラス」を行うが、問題は学童保育クラブが決定的に足りないことであると指摘し、質問します。

 

①中期実施計画で示した学童保育クラブの増設は、4年間でわずか4カ所だが、これで待機児が解消できるのか、できないならばそのための対策について説明すべきと思うがどうか。

②かつしかプラスは、待機児童の多い4校で展開するが、待機児童になった証明が無いと申し込みできず、待機児の解消策になっていない。子どもの発達から見ても問題があり、おやつも出ない場所で過ごす。これは大人の都合で子どもに与える差別だと思うがどうか。

③かつしかプラスに係る財源を新たな学童保育クラブの設置に充てる方が、合理性があると思うがどうか。

④令和5年7月31日付の東京新聞で、都内学童保育クラブの指導員の夏休み中の児童への指導が8時からなのに、開所前に出勤し準備する時間が「サービス残業にあたる」という記事が掲載された。この記事が掲載された、江戸川区は翌日にこのサービス残業を解消する措置を取ったが、本区ではどうか。

第2は、保育所の待機児童と地域偏在の問題です。

同アンケート結果に、『1歳児からでも希望する園に入れるようにして欲しい』『多くの方が1歳児クラスの4月入園が難しいために1歳になる前に育休を打ち切って0歳で入園させている。満1歳で入園しやすい仕組みを作って欲しい』などと寄せられています。一時保育枠の空きを利用した1歳児等受入事業は、待機児解消の緊急対策ですが、希望園に入れないことが背景にあります。また受入事業は本体保育と異なる一時保育の枠内で行われるために、本体保育と同じ保育が行われない恐れがあります。

「送迎保育ステーション事業」は、金町駅から約1.5キロメートル以上離れた水元地域の保育園の児童を対象にし、カナマチぷらっとのキッズスペースをステーションとして、朝預け、その後バスで保育園に行き、夕方ステーションに戻り、親の帰りを待つというものです。しかしステーションは、保育所としての法的位置づけがなく、保育士の有無、バスの運行形態もわかりません。全国で、バス送迎による事故のニュースが後を絶たず、安全性の確保は絶対です。そもそもカナマチぷらっとは、地域住民の多様な活動や生涯学習の場を提供することを目的として設置されたもので、送迎保育ステーションを想定していません。そこで質問します。

①1歳児等受入事業による保育を、保育所保育指針で定める指導計画を作成し、本体保育と同様の保育となるよう必要な支援をすべき思うがどうか。

②アンケートの声に応えるためにも、満1歳からでも入園しやすくするために必要な地域に保育所を開設すべきと思うがどうか。

③小菅1丁目地域では長年保育園の開設を望む声がある。東京拘置所の敷地に新しく合同宿舎整備が進むのであれば、保育施設の併設などを区として強く訴えていくべきと思うがどうか。

④送迎ステーション事業は保育所としての法的位置づけが無く、事業が不明瞭です。遠方の保育所への送迎に保護者の負担が大きいのであれば、保育所の増設こそ必要であり、送迎保育ステーション事業の実施は見直すべきべきと思うがどうか。

⑤都は、昨年10月から第2子の保育料を無償化しました。区独自に第1子の保育料を無償にし、区内も保育料を完全無償にすべきと思うがどうか。その際、必要な予算はどれくらいか。

第3は、教育費の負担軽減等についてです。

本区が先駆けて実施した給食無償化は多くの自治体を動かし、23区すべてで実施となりました。それに乗るかたちで都が給食費の1/2助成を実施します。そうなれば区負担も半減します。そこで質問します。

①アレルギーなどで学校給食無償化になっていない子どもに対して、給食費相当分を支給すべきと思うがどうか。

②品川区では補助教材を所得制限なしに完全無償化しますが、本区でも検討すべきです。品川区と同様の教材を無償にした場合の予算はどれくらいか。

③お金の心配なく中学生が修学旅行に参加できるよう無償にすべきです。その場合の予算はどれくらいか。

④就学援助制度の認定基準を引き上げることや、費目認定を増やすなど、改善を図るべきと思うがどうか。

第4は不登校対策などについてです。

本区の不登校の児童生徒は、年々上昇し令和4年で小中学校をあわせて1,200人以上であり、復帰率は40%程度しかありません。不登校を「子どもたちの静かな抗議デモ」ととらえ、子どもの学ぶ権利を保障しなければなりません。

知人から「中学生の時に適応教室に通えたから高校に進学できた。絶対効果があるのに、なぜ小学校にはないのか」と聞かれました。中学校では今後3年間で全校に校内サポートルームを開設する計画ですが、小学校への対応も急務です。教育振興基本計画素案へのパブリックコメントには、「低学年の不登校児童の居場所の確保」「ふれあいスクール明石は対応年齢が高い」などと寄せられているとおり、ふれあいスクール明石は、1校しかなく、受け入れは小学4年生からのため、低学年へのケアが不十分です。

同パブコメには、「変な校則や押さえつけのない教育環境が大事だと思う」「お互いの個性を認め合う場所に」など小中学生の意見もたくさん寄せられていることをふまえ、子どもを尊重した教育のために質問します。

①中学校だけでなく小学校にも校内サポートルームの設置を急ぐべきと思うがどうか。

②ふれあいスクール明石は小学4年生からしか受入をしていないため、小学1年生から3年生へのケアが不十分である。また明石1か所では区内全体をカバーできていないため、地域に増設する必要があると思うがどうか。

③教員と生徒がふれあう時間を増やし一人一人が大切にされるためにも、教員を増やし、少人数学級にする必要があると思うがどうか。

次にバス交通について質問します。

区長は、現在の公共交通網整備方針から5年経ち、公共交通をとりまく状況の変化、持続可能な交通手段の確保がますます重要だとして「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」にもとづく地域公共交通計画を策定するとし、この計画は、新金線旅客化実現に必要な計画だと述べました。

この「法律」は、昨年国会で法改正がおこなわれましたが、公共交通に国が責任を果たさず、赤字鉄道路線を廃止しバス路線に転換しても運転手不足で、そのバス路線も廃止になるという問題が浮き彫りになりました。

本区における地域公共交通でも同様ではないでしょうか。現在の整備方針を策定する時に、高齢社会の進展、外国人旅行者の増加、運転手不足によるバス路線の減便などをあげており、今日の状況変化を捉えています。この方針にもとづいて区は責任をもって本気で取り組んできたのかの検証が必要です。

この5年間の新たな路線は、綾瀬駅から西水元方面の深夜39、細田循環などの4本、一方、休止・廃止は、有72・有74など、3月末までに6本です。

  私は、地域公共交通会議の第1回、第2回の議事録を読み、第3回は傍聴しました。そこでわかったことは、 事業者から乗務員不足や今年4月の改善基準告示の改正を遵守するには人員の増か、減便の対応にならざるを得ないという声が上がっているのに、「減便やむなし」「減便は受け入れがたい」「再考をお願いしたい」などの意見が出ていることです。会長に至っては「事情があるのは理解できる。区民の足を守るということからは反対の方向へ動いているため、住民や利用者の意見を聞きながら実施していただければと思う」と発言していますが、事情がわかるのであれば、その事情に応えなければなりません。

そこで第一に、社会実験路線を抜本的に増やしてはどうでしょうか。

住民の足の確保、高齢者の社会参加、CO2削減は、現方針に掲げている、10年間で取り組む施策である、循環バスの導入、運転士確保の支援、都市施設の整備に合わせたバス路線の検討、公共交通の利用促進などに思い切った予算措置を行えば実現できます。そこで質問します。

①現方針の検討路線として、西亀有、高砂1丁目、堀切、東立石・東四つ木、東水元、東金町8丁目、新宿水戸街道北側、同じく南側、高砂・鎌倉、奥戸・細田の10の地域を抽出しているが、それぞれの検討状況はどうなっているか。

②現方針時のパブリックコメントではスーパーや病院、公共施設をめぐる地域循環バスがあるとよい、慈恵医大葛飾医療センターやイムス東京葛飾総合病院にバスで乗り継ぎなしで行きたい、などの意見があります。区役所や区内主要駅を病院と結ぶ路線を検討すべきと思うがどうか。

 

第2に、バス利用促進のインセンティブが必要だということです。

 小田急電鉄は、小児IC運賃の全区間一律50円化を実施しています。その理由は「小児運賃は鉄道収入ベースでみると1%未満。すぐさま鉄道事業の経営に大きな影響を与えるものではないが、お⼦様と⼀緒に乗る親御さんの利用が増えることや、将来的な子育て世代の沿線流入に繋がると考えている」と語っています。桜の時期には金町駅・水元公園のシャトルバスがありますが、さらなる利用促進を目的に質問します。

①スポーツと緑豊かな水元公園を内外に発信するためにも年間通して土日・祝日のシャトルバスを運行し、その際の子ども料金を無償にしてはどうか。

②小菅地域を運行する地域乗合タクシーさくらは、もともと新小岩、綾瀬、小菅の路線だったが、小菅地域が切り離されたために、区が助成して運行しています。しかし、その結果、綾瀬からはまた運賃を払って乗り継がなければなりません。金町・小岩間のバスで、小岩から東京かつしか赤十字母子医療センターに行く場合も金町駅でまた運賃を払って乗り継がなければなりません。こうした路線の利便性向上のために乗り継ぎ無料券発行の助成をしてはどうか。    

 

第3に、2024問題への対応についてです。

路線バス運転手の年間労働時間は2544時間、全産業と比べ約400時間長く、それに対して、年収は446万円と全産業男子の平均530万円を大きく下回っています。業界団体「日本バス協会」は「運転手の待遇が、労働条件に対して魅力的でなくなっていることが、運転手の確保を困難にしている一因である」と指摘し、国交省も「輸送人員の減少による収入源を人件費削減によりカバーしてきた結果」としています。区内バス路線の維持と利便性向上のために取り組むべき課題として、区は、大型2種免許の助成を始めましたが、運転士の確保は免許だけでなく賃金への反映が必要です。これ以上の廃止・減便に歯止めをかけ、新たな路線開設のためにも、バス交通を福祉の観点としてもとらえ、事業者への区独自の助成を一層行うべきと思うがどうか。答弁を求めます。

次に私学事業団運動場敷地の取得についてです。

 私学事業団運動場敷地については、昨年12月5日の総務委員会では、「不確定な土壌汚染、地中障害物を含む契約不適合責任を将来的に追うことは私学事業団としては困難であり、想定される責任分についてあらかじめ減額することも含め協議する」と報告し、今定例会に325億円で取得する議案が提出されています。しかし、令和4年10月21日の私学事業団との協議事項では、私学事業団から「最低でも330億円。瑕疵担保責任も通常のとおり負うことを考慮した」とあり、これに対して区は「300億円、瑕疵担保責任なし」と応え、検討するとしていました。

そもそも取得費として用地会計に計上した350億円は、あくまでも予算計上であって敷地の購入金額ではありません。今回の325億円で取得する議案は、瑕疵担保責任、いわゆる契約不適合責任の免責を設けることによって、あたかも25億円を減額したかのように装っていますが、実際には、私学事業団の言い値ではありませんか。しかも私学事業団は「不適合責任を負う」と言っていたにもかかわらず、なぜ免責条項をいれたのですか。これでは減額ではなく、私学事業団のために区民の負担を増やしたということになりませんか。答弁を求めます。

区長は、運動場の将来的な活用について述べていますが、最終的にはサッカースタジアム建設に他なりません。基本計画の重要プロジェクトにも位置付け、基礎調査の実施、様々な整備手法にとどまらず、周辺も含めた面的な複合開発まで検討対象にし、スタジアム構想担当課長も配置するとしていることは重大です。スタジアムにとどまらず面的な大規模開発の推進を隠して、地域住民には、「スタジアムは決まっていない」と繰り返しながら、運動場と偽って取得することは区民を欺く行為ではありませんか。答弁を求めます。

 区民合意のないスタジアムを含む大規模開発計画は撤回し、運動場を将来的にも維持し、区民のスポーツ振興に寄与すべきと思いますが、区長の答弁を求めます。以上で、質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問を行います。ご清聴ありがとうございました。

【再質問1】

学校プールの果たす役割について。学校プールの水量は8,300トン。一方、学校にある受水槽と高架水槽の水量は520トン。能登半島地震では土地が隆起する被害があったが、この被害になれば井戸は使えなくなります。

学校改築時に整備するとしている貯水槽は水道管直結と聞いていますが、断水ではこれも使えない。学校プールの廃止計画は、災害時の安心安全を否定することにならないか、区長の再答弁を求めます。

【再質問2】

保育料の無償化について再度質問します。

重ねての指摘になりますが、これまで行われてきた子育て施策は、ほとんどが親を主体にした「親助け」のものでした。これは、子どもの育ちに関わることを親の自己責任に押し付けてきたことの証明です。

これからは、「葛飾区子どもの基本条例」第2章、子どもの大切な権利、第6条・(4)「子どもであることを理由に不当な扱いを受けないこと。」

第3章、子どもの権利を保障するための役割及び責務、第9条「区はあらゆる施策を保障し、子どもが安心して暮らすことができるまちづくりを推進するものとします。2・区は、子どもの権利の保障について、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設と協働し、及び連携し、子どもの活動を支援するものとします。」という理念に立ち、子どもの育ちの保障を中心に施策を組み立てる必要があるのではないでしょうか。

子育て支援に関するアンケート調査結果の中には、

『保育料を安くしてほしい。』

『所得制限により、受けられない手当があり、また保育園にも入りにくい状況で困ることが多々あった。第一希望の保育園に転園させることで、子どもへの負担もあった。』

『0歳からの保育無料を進めて欲しい。』

『0~2歳児の保育料を無償化にしてほしい。』との声がありました。

保育料の無償化は一見親助けに見えますが、子ども自身がお金を稼いでいるわけでもなく、お金を持っているわけでもないのですから、子どもを代理する親の生活状況によって子どもの育つ権利が変わってはいけません。

そこでやはり、区として0歳から2歳の第1子の保育料の無償化を進めるべきだと思うが、再度答弁を求めます。

【再質問3】

私学事業団運動場敷地について、地域住民に対しての説明会などでは、「スタジアムは決まっていない」と言っているのは事実です。

スタジアムとなれば、土地建物合わせて500億円もの税金が動く事業になるのですから、そうであれば、スタジアムの結論ありきで進めるのではなく、地域住民のみならず、区民全体から大きく意見を求めるキャンペーンを行うなど、もっと区民の声を丁寧に聞き、合意形成を大切に進めるべきではないか。区長に答弁を求めます。

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