2024年葛飾区議会第一回定例会を終えて(団声明)

1、今定例会に先立ち、去年の暮れから配布した区民アンケートは1500件近くの返信がありました。今回は、初めてQRコードにより返信できるようにし、若い層に活用され広く区民のご意見を伺うことができました。このアンケートでは、生活が厳しくなったとの回答は、わずか3%程度、70%が苦しくなったと回答しました。最大の要因は、物価高騰ですが、続いて税金、保険料、公共料金です。だからこそ異常な物価高騰から区民のくらしと営業を守るために区政の役割が問われる議会でした。粘り強い区民の運動や議会論戦を通じて、エアコン設置費助成や学校給食無償化の範囲の拡大、区内すべての中学校にサポートルームの設置、私立保育園への新たな人件費補助などが行われることは一定の成果でした。しかし、区長は、過去最高規模の予算だと自慢していますが、その内実は、国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険料の一斉値上げ、中小企業の経営への支援は全体的に後ろ向きであり、今後の開発への備えてして過度な積立が行われています。低所得者への給付金や学校給食の都費加算などすでに執行されている財源を区民のくらし・営業の応援のために活用すべきです。

1、今年元日に発生した能登半島地震によって、災害への備えが問われることになりました。区は、避難所運営を「スフィア基準」に目指すとしていますが、プライバシー用のテント、トイレトレーラーの導入や食料の備蓄などどれをとっても「スフィア基準」とはかけ離れているのが現状であり、抜本的な見直しが求められています。耐震工事にグレーゾーンを対象とし助成額の増、感震ブレーカーの無償配布・取り付けも一歩前進と言えますが、いずれも3階建てを対象外としていることや対象地域の拡大も必要です。

なお、岸田政権の軍拡に歩調を合わせるかの如く、地域振興部に運用管理課長として自衛隊OBを配置しましたが、災害よりも「国民保護法」のもとでの危機管理にほかならず容認できません。また、18才の個人情報を自衛隊にこれまでも提供してきましたが、データで提供するとエスカレートしたことも問題です。

1、子どもの権利条例にふさわしい子どもの権利が守られる施策が求められています。学童保育クラブの待機児の急増により、来年度から「かつしかプラス」を設置して対応しようとしています。しかし、待機児になった子どもを学校内に専用施設ではない場所で対応するもので、「学童保育クラブ」に入れない子どもを差別するものにほかなりません。学童保育は圧倒的に不足し中期実施計画を上回る整備をしなければ解決することはできません。

 水泳指導に関して、各団体から今定例会には8つの請願が提出されました。与党内にも教育委員会の水泳指導には根強い異論があり、変化が生じています。西小菅小学校のプール開放の請願は継続審査となりました。文教委員会委員が、区長・教育長に意見をまとめて提出しようという呼びかけられたのも新たな提案でした。委託の委託は原則禁止なのに水泳指導ではこれが横行しています。公契約条例は労働者の権利を守るための条例なのに業務委託によって守られるべき労働者の権利が与えられず、これを多用していることは問題です。積算根拠も不透明で不公正な水泳指導の民営化はやめるべきです。何よりも、圧倒的多数の学校内プールの暑さ対策に注力すべきです。

1、私学共済運動場を325億円で購入する議決が行われました。区は、区民の意見を聴くといいつつ、スタジアム建設準備の担当課長を配置します。運動場だけにとどまらない新小岩地域の新たな開発を進めようとしている意図が見えています。しかも、都市計画決定の認可時期も未定であり、その間の利子償還も未定であり、将来の区民負担も不透明です。

 東金町1丁目西地区再開発では、1期工事の屋上とスロープが破格の安値で供用開始されるのは、「坂本自動車のための再開発か」との批判が広がり、不公正極まりないことです。

 立石駅北口再開発は、権利変換前の事業費予測が極めて不適切だった結果、権利変換後に工期が延長され、今年、8月までに事業費を見直すことになりました。この間、「権利変換計画に意義あり、東棟の区役所の権利床が高すぎる」と集団住民監査請求運動が取り組まれ、241名の区民が住民監査請求を提出、弁護団に委任し2月29日に区監査事務局に提出しました。不当にも3月21日付で区監査委員はこの申し立てを却下しました。弁護団と住民は、直ちに住民訴訟として提訴します。

 なお、区長が直接の部下である総務部長を税金の使い方をチェックする代表監査に推薦すること自体ありえないことであり党区議団は反対しました。

1、区政の混乱は深刻です。児童相談所を事業用定期借地権の土地に設置した事に続き、私立保育園パート保育士誤支給を合理化するために支出した弁護士費用の返還問題、立石駅周辺のエリアマネジメント事業に実績も資格もないと疑われている事業者を参入させ、その後、特命随意契約していた問題がそれぞれ、住民監査請求の後、住民訴訟として戦われています。そして、立石駅北口再開発の権利変換問題も住民訴訟に移行し、4件の住民訴訟が同時並行で行われるというのも異常なことです。

 さらに、自民党派閥によるパーティ券ウラ金が問題になっているのに、区長自身が、3月14日に政治資金パーティを行ったことは道義的に到底許されるものではありません。

1、党区議団は、今定例会に「費用弁償の廃止条例」「国保の子ども均等割無償化条例」「保育園の0~2才の第1子保育料無償化条例」「学童保育クラブ保育料の無料化条例」「後期高齢者の医療費軽減条例」を提出し、この財源も具体的に明らかにするなどして、区民のくらしと営業を応援する当初予算に対する「組替動議」を提案しました。これは、当初予算の3.3%を組み替えたものですが、残念ながら賛成少数で実現には至りませんでした。しかし、無所属議員の合意が議員提出議案や請願の可否で賛成が広がっていることは重要な変化だと実感しています。

 パレスチナのガザ地区での停戦を求める意見書も前定例会は合意が得られませんでしたが、全会一致で意見書が採択されました。引き続き、区民要求実現のために頑張ります。

                                    2024年3月27日

                                日本共産党葛飾区議会議員団

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