2023年葛飾区議会第一回定例会を終えて(団声明)

 2023年葛飾区議会第一回定例会を終えて(団声明)

1、今定例会は、予算議会ですが、長年の区民要求として実現を目指していた18歳までの医療費の無料化、学校給食の無償化などが実現しました。

区長は、一般会計で2231億円余という過去最高の規模として編成された予算だといいますが、はたして、区民の願いに本当に寄り添ったものなのかが問われています。2022年度末では、本定例会で提案された最終補正予算で112億円もの基金積立を行いました。区民にとって必要な予算を余らせた結果であり、庁舎建設基金も含め1379億円ものため込み基金も過去最高となりました。物価高騰で区民生活が大変な時に、国民健康保険料、介護保険、後期高齢医療保険料なども含めて滞納した場合の延滞金の徴収、収納業務の一元化と称して徴収強化を図るとしています。そのうえ国保料は、広域化して以来、最大の値上げをします。物価高騰対策として給付金事業を行っていますが、その額も執行体制も民間に丸投げで、区内産業育成の観点が欠けています。生活保護も無慈悲な据え置きは、物価高騰の今、事実上の引き下げで、法外援護を拒否していることは容認できません。

1、子どもにとっての最善の利益を保障する予算にもなっていません。水泳指導の民営化は、その典型的なものです。区教育委員会が行った不十分な検証でも300名もの子どもたちが「楽しくなかった、やりたくない」と回答しているのに、その声に応えようとしていません。教員の負担解消にも背を向ける態度です。水泳指導が民営化された学校では夏休みの水泳指導が行われず、着衣泳も行われないことが指摘されているのに今年度12校から24校に増やすことも重大です。木根川小と渋江小、柴又小と東柴又小の統廃合を具体的に進めていますが、子どもの教育環境を最善にするのではなく効率性を追求する学校統廃合になっているからです。不登校の子どもたちが急増しているのは、行きたくなくなる学校運営にこそ問題があります。水元幼稚園の保護者が中心になって今後の葛飾の幼稚園の在り方について話し合いを求める陳情署名が1800名筆以上教育委員会に提出されたのに廃止条例を可決させたことも問題です。3月21日、プール問題の運動関係者や保護者、教員が中心になって「教育のつどい」が開催されました。和光大学山本由美教授が学校統廃合やプールの民営化問題の全国各地の事例から葛飾区でも学校施設の効率化を促す「コンサルタント会社」が葛飾区の公共施設等基本方針を策定していることも明らかにされました。自治体としての在り方が問われる大問題です。

1、営利企業による株式会社の認可保育所の経営実態が明らかにされ、直近の2021年の決算で人件費の割合が50%を割り込んでいる保育所が10ケ所あり、うち3ケ所は30%代であることがわかりました。保育士の人件費を安く抑え、本部に還流、株主に配当するなとの実態が浮き彫りにされました。保育単価は人件費率が70%前後に設定され、社会福祉法人の保育所の実態はそうなっています。それでも保育士の人件費が低いことが社会問題になっており、営利企業による保育所では、それに拍車をかけています。保育運営費が流用されているともいえるこうした実態にメスを入れる必要があります。

1、立石駅北口再開発では定例会の直前、1月25日から2週間、権利変換計画書の公告・縦覧が行われました。地権者の権利変換の同意は、いまだ100%には遠く及ばず、権利床の変換にも重大な疑義があります。区有地に変換される権利床価格が異常に高額になり少ない権利床とされているからです。区民の共通の財産である区有地を再開発組合に差し出していることになります。あらためて日程に固執して計画を進めるのではなく、いったん立ち止まって区民の声に耳を傾けるべきです。また、来年度当初に計画している立石駅南口西地区の都市計画決定の中止を求めます。

1、閉会中の1月23日の総務委員会で庶務報告された6.8haの「私学事業団グラウンドの取得について」は、報告されたものとは異なる協定書を2月1日に締結しました。区民が望んでいるスポーツ施設を増やすことは当然ですが、この取得は、サッカースタジアム建設を前提とした協定です。取得費として350億円、その償還利子約50億円、サッカースタジアム建設に約150億円余と巨大事業となります。区民に慎重な意見を求めることなく区長の独断で進めることは許されません。この私学事業団グラウンド取得のために用地特別会計予算が計上されましたが、わが党議員団は、区民との対話を継続すべきだとして採決を見送る動議を提出しました。動議に無所属の沼田議員、みずま議員が賛成しましたが、少数で否決、続いて行われた採決で無所属の両議員と共に反対しました。

1、今定例会でも無所属議員と個別の区民要求実現のために共闘を進めてきました。4つの議員提出議案「費用弁償見直し条例」「後期高齢者医療費軽減条例」「国保未就学児無料化条例」「銭湯条例」は、それぞれ無所属議員と共同で提案しました。区長提案の条例、区民からの請願でも、無所属議員との共同が広がっています。

 4つの条例提案の他、不要不急の大型事業を見直し、それを財源として「0~2歳児」の保育所・認定こども園など保育料の完全無償化、がん検診の無料化、同和事業の中止、学童保育クラブの増設などの予算組み替え動議を提案しましたが、多数の同意を得られませんでした。しかし、冒頭の医療費や学校給食の無償化など道理ある要求は必ず実現します。引き続き、区民要求実現のために全力をあげます。

2023年3月29日 

日本共産党葛飾区議会議員団

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