2024年第一回定例会代表質問(質問者 木村ひでこ)

日本共産党の代表質問を行います。

まず、今年元日の能登半島地震での犠牲者へ追悼を表しますとともに、今も不自由や困難のさなかにあるすべての被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

物価高騰による区民生活と営業の圧迫からどう区民を守るのかが問われる状況になっています。区長は、2月15日の所信表明で今日の物価高騰を「海外情勢に起因するもの」と繰り返し表明していますが、情勢判断を見誤っているのではないでしょうか。

岸田首相自身、我が国の経済の失速を「失われた30年」と表明しつつ、「コストカット経済」からの転換というものの、大企業の内部留保空前の拡大、異次元の金利緩和は、円安を引き起こしています。要するに、変わらぬ経済政策で矛盾は更に広がっています。

 働き方が非正規に大きくシフトし、この30年間で20%から40%へと倍増しました。これは、賃金抑制のため正規を非正規に置き換え、労働法制の改悪によって全業種に派遣労働に置き換えることを可能にするなど賃金の低下を大規模に引き起こしました。

 女性はすべて非正規という、ジェンダー問題として許されない企業もあります。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、実質賃金が2年連続で減少しているからです。こうした矛盾を根本的に解決するには、抜本的な最低賃金の引き上げや、働き方の改革こそが求められています。

 わが党区議団は、昨年暮れから今年にかけて、区民アンケートを行いましたが、生活が良くなったは、わずか2.7%、苦しくなったは、62.1%と圧倒的多数に上ります。その原因は、これまでのアンケートで同じ質問をしていますが、税金、保険料、公共料金が常にトップスリーでしたが、今回は、物価高騰が、トップで57%という結果でした。

 それなのに、政府は、大企業減税、消費税減税を拒否するどころかインボイス制度の導入へと突き進んでいます。

ましてや、今国会で大問題となっているパーティ券の裏金疑惑に国民の怒りが沸騰しています。国民生活と営業は危機へと進んでいるのに一部の政治家は、企業団体献金として多額の現金を懐にしていたのですから当然のことであり、徹底的な真相究明が求められています。

 わずかな減税と低所得者への給付で経済の好循環は起こらないことは多くの国民が実感していますが、区長は、「所信表明」で令和5年11月に閣議決定した「デフレ脱却のための総合経済対策」をスピード感もって補正予算を編成したと自慢していますが、区民感情とはかけ離れているのではないでしょうか。

 区長は、11月に閣議決定した「デフレ脱却のための総合経済対策」による減税と低所得者を中心とする給付金の支給で日本経済並びに本区の景気がV字回復すると考えているのですか。答弁を求めます。

 次に、予算案について質問します。

2月15日、区長の所信表明で過去最高の一般会計予算と表明されましたが、区民にとって過去最高のものになっているのかが問われています。過去最高となった最大の要因は物価高騰ではありませんか。今日の物価高騰は、全ての歳出に連動しています。

 物価高騰と失政が区民生活と営業を追い詰めていることはのべましたが、こういう時だからこそ最も身近な自治体が行うべきは、区民の利益を優先する事でなければなりません。

各区の新年度予算案について新聞報道をみると、品川区では、学校補助教材の無償化、板橋区では高齢者が公衆浴場を一回100円で利用できること、中央区では、小中学校だけではなく、区立幼稚園13園の給食無償化で、世田谷区では、生活保護世帯の大学生に最大で年50万円を給付します。

交通弱者への配慮という点では、足立区がコミュニティバス12路線から15路線に拡充、

千代田区でも、コミュニティバス4路線から6路線に拡充しました。

能登半島地震をうけて防災対策として、杉並区、足立区で備蓄品の配備の強化、一時避難所のプライベート確保のための間仕切りやテントの確保です。

そのための財源は十分あります。

 令和5年度の第5次補正予算で、住民税非課税世帯への定額給付金7万円が財政調整基金の取り崩しで約44億円、第6次補正予算で住民税均等割世帯に10万円、子育て世帯に5万円の給付を行うために同じく16億円、都合、財政調整基金で60億円を立替えた状態になっています。

財政部局の説明では、予算案に計上されてなく、令和5年度の決算で明らかになるとのことです。同じく来年度当初予算には、学校給食費の半額が、約8億円余りを東京都が負担するとされているが、これも歳入計上されていません。

 しかも、令和5年度の第7次補正予算で最も目立つのは、約50億円の積立であります。これだけでも、合計118億円もの財源があります。

そこで、

1、こうした財源を活用し、令和5年度6月の第2次補正予算、12月の最終本会議提出の第5次補正予算で行った緊急経済対策を今定例会の最終日までに提案すべきと思うがどうか。

2、今定例会には、党区議団として5つの議員提出議案を提案いたしました。ご承知の通り、保育園、学童保育クラブ、国民健康保険料の未就学児の半額均等割免除、後期高齢者への医療費窓口負担の軽減などですが、今こそ検討すべきと思うがどうか。

3、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の軽減のために基金の活用、また、国、都への申し入れや区長が区長会等で、さらなる保険料減額について、その先頭に立つべきと思うがどうか。

財源としては、庁舎基金等令和5年度末には、1336億円もの積立基金が存在していることもあらためて指摘しておくものです。

次に、災害対策について質問します。

阪神淡路大震災の直後には、区役所の本館、全ての小中学校の耐震補強、あらゆる公共施設の耐震化などに取り組みました。また、部課長の管理職員が、区役所に交代で毎日泊まり込み、緊張感のある対応が行われました。

しかし、当時の緊張感とは、かなり、かけはなれた感を否めません。

そこで、第一に、災害対策はマンパワーの不足を解消することが必要だと思います。

1月23日付都政新報に、「マンパワー不足 被災地職員も疲弊」という記事が掲載されました。東日本大震災でも、能登半島地震でも地方自治体の平成の大合併により、かつての役場の機能が弱められ、孤立する集落に対応できない実態となっていることは深刻です。

これは、葛飾区にとっても他人事ではありません。

歴史的に職員定数を減らし、非常勤職員に置き換え、2020年から会計年度任用職員となり、その割合は、平均30%と言われていますが、本区では、半数近くに上り、全国平均よりもより高い水準にあります。

 災害の規模によって職員は参集の義務があり、配置先の公共施設も具体的に指定されています。しかし、会計年度任用職員は、公務員として参集の義務はあるもののその参集すべき公共施設は指定されているわけではありません。これは、決定的にマンパワーの不足となる原因となりませんか。答弁を求めます。

 

第二に、備蓄品の考え方です。

 本区の地域防災計画では、都区との協力により備蓄品3日分を確保するとあります。能登半島地震の惨状から、備蓄品の確保を区独自で計画する区がでてきていることが報道されています。

 杉並区や足立区では、区独自で3日分確保する方針が示されていますが、本区としてそれでもいいのか、なぜなら、避難所に身を寄せなければならない人数は、予測どおりになるとは限らないからです。

 予測よりも甚大な被害が及ぶことになれば、備蓄品の不足が生じることになります。備蓄倉庫に火災が及び、また倒壊するということになれば、それ自身が不足の要因にもなりかねません。

 だからこそ、本区の都市計画審議会会長である東京都立大学中林一樹名誉教授はテレビ番組で、自治体が1週間分の備蓄も検討すべきとインタビューに答えていました。

 備蓄品の確保について少なくとも区独自で3日以上、また、それ以上に確保すべきと思うがどうか。

 第三に、国による地方自治体への介入が危惧されていることです。

 総理の諮問機関である第33次地方制度調査会は、大規模な災害や新型コロナウイルス感染症の拡大などにより想定外の事態が発生した場合に備え、国が「自治体」に指示を出せる仕組みづくりの答申を取りまとめました。

 2000年施行の地方分権一括法で、国と地方が「対等・協力」関係とされましたが、この答申は、国と地方の関係をゆがめてしまうのではないかという懸念が、11月27日の朝日新聞、12月10日の毎日新聞に掲載されました。全国知事会は「国が一方的に双方向の制度に」と主張していますが、自治への安易な介入を招きかねません。

 地方自治体の首長としてこの答申に対し、住民自治を守る立場で発信すべきと思うがどうか。

第四に、水害対策は、もはや気候変動対策に直結しています。

世界の山火事、大干ばつ、洪水、異常気象、我が国でも異常気象や想定外の雨量による水害が頻発しています。

 党区議団は、先の定例会の初日の本会議一般質問でドバイ外遊を問題視しました。何故なら民主主義の根幹にかかわる問題だからです。議会を招集した区長が委員会中に不在となるということは、あってはならないことだからです。

ところが、私もいくつかの新年会の会場で耳にしましたが、区長は、昨年、ドバイへの外遊を新年会で披露していました。

 議会を招集しておきながら、会期中に外遊したことに対し、議員全員に納得のいく釈明が必要だと思うがどうか。

 しかも、石炭火力まで自慢するとは、時代錯誤も甚だしいのではありませんか。3大メガバンクの融資で我が国や途上国で導入しようとしている、石炭火力発電システムとは、通常の石炭火力とは異なり、アンモニアとともに燃やすものですが、CO2の排出量は、わずか10%程度しか減少しないシステムです。

ヨーロッパ諸国では、石炭火力発電もガソリン車の製造も期限を決めて終了することを宣言しています。

COP28では、化石燃料について「脱却」という言葉が盛り込まれたことは前進でした。しかし、先進国と途上国の削減量の責任は日本も含めた先進国が特別に重い責任を負うべきことは疑いありません。三大メガバンク・財界の言いなりになって石炭火力発電の推進を発信することは時代錯誤も甚だしいことを自覚すべきです。

 COP28は、化石燃料からの「脱却」が合意されているのに、石炭火力推進の立場を標榜することは、SDGsを推進している本区の基本的な考えと矛盾していると思うがどうか。

次に、再開発等の問題について質問します。

東金町一丁目西地区、立石駅北口地区、新小岩駅南口地区という三つの再開発の事業が進捗していることは、今後、区の予算を圧迫してくるものとみなければなりません。

そのうちの一つである、立石駅北口再開発は、現状のバリケードや道路封鎖に多くの関係者が心を痛めています。

 なによりも破たんした再開発を必要のない庁舎移転によって計画を救済、多額の税金投入に道を開くことが事の本質であります。

 今各地の事業が建設資材と人件費の高騰で矛盾が広がっています。

 大阪万博の事業者は、2018年には1250億円が2020年には1850億円に、さらに昨年2023年には、2350億円と5年間で倍近くに膨れ上がりました。

江戸川区役所の移転予定は、やはり物価高騰と人手不足のために1年10か月延期され、工事費は、300億円から590円へと倍増することとなりました。

 本区でも、前定例会で明らかになったのは、新小岩駅南口再開発は、1年前に事業費を算定しました。しかし、権利変換前に土壌汚染と地下埋設物の撤去のため工事が2年間延長したこと、資材と人件費が高騰している状況を見極めるために見直しした結果、事業費の総額が20%高騰し、400億円から500億円となりました。

ところが立石駅北口再開発組合では、建設資材が高騰し、人件費も高騰していることをほぼ無視して3年前の事業費のまま横引きして、権利変換を行いました。

これ自体問題ですが、昨年末になって、アスベスト、鉄道対策、地下埋設物の撤去のために1年5カ月の工事延期が発表、資材価格、人件費だけではなく、補償費の急増も予測されます。

「東棟の区の権利変換計画が異常な高値であり、東棟1階よりも高額になっていることは、区民の財産である区有地の価値を貶めるもの」であります。

必要な検証を行わず、強引に工事を進めるために住民を追い出し、バリケード封鎖とは到底許されるものではありません。

先ほど紹介した区民アンケートでは、「使える庁舎の建替えが必要なのか」「豪華な建物は必要なし」など、根強い反対意見だけではなく、このまま実施よりも見直し・中止が多くを占めています。

このままでは、事業費の膨張によって葛飾区を含めた地権者の負担が増すことは確実ではないのか。組合員の合意を得て、事業費がいくらになるのか明らかにするようを組合に求めるべきと思うがどうか。

また、現在の計画を縮小するなどの見直しも要請すべきと思うがどうか。答弁を求めます。

現在、立石駅北口再開発に区が同意した権利変換計画が区民に損害を与える結果となり違法、不当な行為であると主張する集団住民監査請求が用意されていると伺っています。監査委員がどのような結論を示したとしても住民訴訟のための弁護団も組織されていると聞き及んでおります。

すでにご承知の通り、現在、たたかわれている児童相談所に定期借地権付きの土地に建設したことは経済的な合理性に欠けると訴えている住民訴訟、この訴訟では、当時政策経営課長であった副区長への証人尋問が行われました。

つづいて、私立保育園保育士補助金の誤支給問題で区長が「返還を求めない」としたことに合理性を持たせるために支出した弁護士費用110万円は不当な支出と住民監査請求では監査委員の意見が割れるという区政史上初めての結果となりました。

さらに、立石駅周辺の再開発のエリアマネジメントに係る支出にも住民監査請求が提出されました。監査委員の結論は、棄却としましたが、今後の裁判の動向を注視しつつ、その結果によっては、職員に対する損害賠償及び懲戒処分を勧告するとし、

さらに、

⑴入札と契約の改善 

⑵特命随意契約が不適切であること

⑶再委託について

⑷成果物ついての付帯意見が付されることとなり、この事件も住民訴訟の手続きが取られています。

先ほど紹介した、集団住民監査請求の結果次第では、4つ目の住民訴訟へと発展します。

区が、4つの住民訴訟の対応に追われるというのは、異例なことだといわなければなりません。

あらためて区政の転換の必要性が問われていることを表明して、代表質問を終わります。なお、答弁いかんによっては、再質問いたします。ご清聴ありがとうございました。

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