2022年葛飾区議会第三回定例会を終えて(団声明)

  1. 今定例会は、決算議会であり、前年度の予算執行の結果から区民要求をどう前進させるのかが問われました。物価高騰からどう区民のくらしを守るのか、学校給食を来年度から完全無償化を実現したことは特筆すべきことです。コロナ融資を10月から物価高騰対策として融資額を増額し、信用保証料と利子を全額区が負担し、借り換えも実行することや本会議初日は、政府が打ち出した非課税世帯等へ5万円給付を進めることしか答弁しませんでしたが、会期内に対象者を拡大して同時に給付することになったことは区民の運動と議会論戦での貴重な成果と言えます。しかし、2021年度は、最終補正予算で、まちづくりや庁舎基金などに115億円もの基金積立を計上し、166億円もの決算剰余金が残しました。本来やるべきことがなされていない結果であり、同時に、区民の切実な要求実現の可能性を示すものでもあります。
  1. 私立保育園パート保育士補助金誤支給問題は、区長が独断で「返還を求めない」と表明してから、7月19日に無所属議員と4名とともに「議会報告への在り方の改善をもとめる要望書」を区長に提出し、区議団としても8月23日に、「公金であり返還を求めることや補助金の在り方について抜本的な改善を求める要望書」を提出し、二転三転した結果、「返還を求める」こととなり、区長は陳謝しました。こうした決断を区長にせまるうえために議会内外で私立保育所や区民の意見をふまえてリードしてきました。しかし、返還してもらうための具体的な手立てや今後の補助金のあり方などの詳細は、何一つ明らかになっていないのに、区長は、副区長とともに減給の条例案を提案しました。党議員団は、解決していない問題の責任を取ったことにする条例案であり、減給も軽微であり、本当に責任を感じているのかと疑わざるを得ないと判断し反対しました。また、区長は、庁議に参加する部長の給料減額条例案を提出しました。議長名で意見照会したところ特別区人事委員会から「地方自治法違反にあたる」として意見照会も条例案も撤回することになりました。前代未聞の事態でありこの問題の責任の取り方も改めて問われています。
  1. 新型コロナ対策は、第7波は、感染力が強力なオミクロン株に置き換わり、東京でも葛飾区でも定例会前の8月がピークとなりました。1日で都内4万人以上、区内で1000名を超える罹患者が生じました。デルタ株と比較すると症状が軽いといわれますが、感染者の数が比較にならないほど増加し、区民の20%以上が感染し、結果的に死亡者の数も急増する結果となりました。区内では、130以上の医療機関で発熱外来を実施していますが、日曜、休日は激減しています。このことから医師会との連携で立石、金町休日診療で発熱外来の実施を求めました。また、高齢者や基礎疾患のある方以外は、自宅療養という考えが、若年層の死亡者の増となっていることを指摘し、改善を求めました。
  1. 党議員団だけではなく、他会派や無所属議員も学校プールの水泳指導の在り方や社会教育施設の学校による優先使用によって利用している区民が締め出されていること等について疑問の声があがっていました。基本計画の前期実施計画に金町公園プールを温水プールとする計画も唐突なものでしたが、今定例会では、温水プールの設置を東清掃事務所とお花茶屋都営住宅跡地と安易に変更した事にも批判があがっていました。その結果、教育長人事案は、現職の延長を区長が提案しましたが、わが党区議団の他、公明党2名、無所属4名の計10名が認定に反対し、これも区政史上異例なことです。無所属議員等の共同の広がりは、請願の採択にもあらわれ、「学校外プール実施の検証に関する請願」、「監査委員会の選出に関する請願」も党区議団の他、5名の無所属議員が賛成しましたが、区民要求の広がり反映しているものだといえます。
  1. 定例会中の9月27日に元安倍総理の「国葬」が圧倒的多数の国民の反対を押し切って強行されました。9月20日、党議員団は、無所属のみずま議員、沼田議員とともに「区民に弔意の強制を許すな」と区長、教育長に申し入れを行いました。しかし、区長は、庁舎と3つの公共施設で国旗等の半旗を実施すると発表しました。決算委員会で、この問題を追及しましたが、区長の判断で「半旗」、つまり、職員と区民に弔意の強制をしたことになり重大な禍根を残しました。同時に、誤支給、職員の給与減額とともに区長としての適格性そのものが問われています。
  1. 区長は、所信表明で、第4回区議会定例会で、「区役所位置条例」を提案すると表明しました。その準備のために、今定例会中、庁舎移転問題の説明として議長が「区議会議員全員協議会」を10月11日に招集しました。区役所移転により救済しようとしている立石駅北口再開発計画の矛盾が広がっています。「区民の会」による駅頭宣伝、ビラまきが活発に行われ、今後、ポスター張り出しや区議会議員に直接訴えるなどの活動が行われています。この全員協議会には、区役所移転に反対する多くの区民が傍聴するために集まり、傍聴席(70席)に入りきれず、急きょ委員会室で傍聴するというこれまでにない緊張感のなかで質疑が行われました。地権者の5%(10月11日現在)しか同意していない状態では、権利変換などできる状況ではありません。しかも、この計画区域内には、未登記物件が多数、根抵当付物件が19ケ所もあります。選挙から1年後には、区役所整備費用は、100億円あまり膨らみ、760億円にも及ぶことが明らかになりました。何よりも議会で位置条例を決定することにより、住民追い出しに「お墨付き」を持たせて、強引に進めようという意図が透けています。「全協」では位置条例の提出は、「権利変換の同意率による」と答弁しました。第4回定例会に位置条例の提出を許さない世論と運動をつくりだすことが求められています。

 引き続き、円安の進行により物価高騰も進行しており、区民生活を守るために果たすべき区政の役割は重大です。区政の改革と区民要求実現のために引き続き全力を尽くします。

2022年10月13日
日本共産党葛飾区議会議員団

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