2022年第三回定例会一般質問(質問者:中村しんご) 

開催日 令和4年9月13日

 日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。

 異常な円安によるエネルギー、原材料、食料など輸入に頼る我が国経済を圧迫しています。異次元の低金利と規制緩和が原因であることは明らかです。この根本問題には取り組まず、多くの国民が反対する「国葬」だけは特別扱い。今日の統一協会依存内閣の支持率低下は、国民の悲痛な叫びを「聞く耳」がないことが明白になりました。

 まず、物価高騰への対策について質問します。
 日常生活における食料品など物価高騰は、本当に深刻です。食品の値上げは、帝国データーバンクの調査によると、8月は2,431品目、9月以降の値上げ予定は8,043品目です。
 8月27日に曳舟川親水公園で実施されたフードバンクには270人の方々が、区をはじめ、個人、農家、青果店,飲食店などの協力で提供された生活物資を受け取っていました。募金によって提供されたカップ麺は、4月には1個68円で購入できたのに、今回118円になっているなど、急激な値上げが続いています。
 建設業における資材、光熱水費などの値上も深刻です。
 わが党区議団は、和泉なおみ都議事務所と連携し中小企業・小規模企業のアンケートを実施しましたが、深刻な声が寄せられています。
 「材料が入荷されず、工事がストップ、結果仕事にならず収入が減る」「得意先の営業形態がまだコロナ前の状態に戻らないのでなかなか受注が増えない。得意先がこのままコロナ前の営業方針に戻さないような不安もある」「すでに電気、ガス代の合計が前年の日単位で1万円値上っている」「大手企業は値上げを認めてくれず、他社の業者に廻す。」「仕入れ値の上昇分を価格に転嫁できない。」などです。
 19年と21年を比較して「売り上げが下がった」の回答は、1割~3割で34.5%、3割~5割は38.1%です。「仕入れ値が上がった」は、85.1%、逆に「値上げ分を転嫁できている」は、わずか10.6%でした。
 本区が実施した景況調査でも、製造業、建設業、小売業などで、売り上げ、収益、資金繰りが厳しく、次期もその状況が続く見通しとなっており、わが党のアンケートと同様に厳しい状況が見て取れます。

 国の地方創生特例交付金は、原油・物価高対策、コロナ対策に続き、新たな交付金も検討されています。さらに財政調整交付金の再算定による4億円ほどの増収分、前年度決算繰越金など、こうした財源を活用し、負担軽減に踏み出す必要があります。
 何よりも営業を守るために、法人や個人事業主に対して、燃料、ガス、電気代の補助、家賃などの固定費の補助を実施すべきです。
 区長は、コロナ融資に代わる新たな融資制度を創設すると言われましたが、すでにコロナ融資の返済が始まっており、返済据え置きの延長か、新たな融資の借り換えができるようにすべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 国に対して消費税減税と事業復活支援金の第3弾を求めるべきと思うがどうか。

 わが党区議団は、建設業の2団体と懇談をおこないました。
 建築資材の値上げ分を契約金額に反映するスライド条項の改善要望がだされました。これだけ資材の値上げが続き当然のことです。
 公共工事の全体スライドは、工事が9か月過ぎていないと適用されないのは、「状況に応じた運用」といのは、学校や建物など契約金額が非常に大きい契約であり、工事が9か月過ぎという条件は、今日の物価高騰との関係でも改善が必要であり、期間を短くすべきと思うがどうか。
 単品スライドは、鋼材類と燃料油に限っての適用となります。しかし、現在、様々な資材の値上げが襲っている中、単品スライド条項の対象を拡大すべきと思うがどうか。
 受注後の工事をスムーズにすすめるための前払い金は、工事の場合、契約金額の40%か4億円まで、設計などは30%か5千万円までとなっていますが、前払金を拡大することも物価高騰への対策となると思うがどうか。

 公共事業を受注した企業、その下請け企業にいたるまで、労働環境の向上をさせることも暮らしを支えるうえで重要です。現在、23区で公契約条例を制定したのは11区ですが、賃金条項を規定していないのは本区だけです。労働に見合う賃金水準を条例で規定することは、働く人にとっては安心感につながります。賃金条項を盛り込むなどの改善が必要と思うがどうか。
 また猛暑の中の現場作業は熱中症と隣り合わせの環境です。頻繁な休憩をはさみながらでなければ命にかかわります。スポットクーラー、冷水器、電動ファン付作業服などの対策がとれるよう支援すべきと思うがどうか。

 住宅リフォーム助成制度は、全国的にも効果があることは実証されています。耐震改修助成やエコ住宅の助成と併用して推進すれば、耐震、環境、バリアフリーが一体となって良好な住環境を整備が進み、仕事確保にもつながります。一般世帯向けの住宅リフォーム助成を創設すべきと思うがどうか。

 区長は、先ほどのあいさつで、学校給食費の無償化を表明されました。わが党は繰り返し要求し、毎年、財源も示して予算組み替え案も提案してきた立場から無償化実施を歓迎するものです。
 保育園との整合性も必要です。保育料も0歳~2歳の完全無償化、保育園の給食食材の値上げによる負担についても補てんすべきと思うがどうか。

 新型コロナ感染対策について質問します。
 8月、岸田首相が新型コロナに罹患し、本人がPCR検査を希望してから陽性判明まで、24時間とかかりませんでした。しかし、一般市民は、症状があっても発熱外来の予約が取れずに何日も経過し、迅速にPCR検査を受けることができないため罹患初期に投与すべき治療薬が使えない患者が出ています。
 デルタ株が主流だったコロナ第5波と比べると、7波の感染者数は10倍、死者は4倍にものぼりました。肺炎を起こしていないために軽症と分類され、入院を待機している間に全身状態が悪くなり亡くなる人が増えたのが、コロナ第7波の特徴です。
 常時健康観察が可能になる入院は、重症化リスクのある高齢コロナ患者にとって命綱となります。我が党に、墨田区在住の高齢者がコロナによる体調悪化で、本区内の病院に救急搬送されましたが、病院で処置も検査もなく、風邪薬を持たされ自宅に戻され、2日後に亡くなられたというご遺族からの悲痛な訴えが届いています。命を救う医療を行うには、医師が患者の全身状態を見て総合的に判断することが必要です。
 東京都の酸素ステーションの利用率は2割程度で低迷しており、自宅での死亡例が相次ぎ、医療機関のベッドを空けるための受け皿が機能していないことは、医療崩壊の一端であり、5人に1人がコロナに感染している今、医療従事者への支援を含め、医療体制を抜本的に強化していくことが求められます。
 3年ぶりの行動制限のない夏休みになり、帰省や旅行で訪問者が増えた地方では、お盆のシーズンに過去最大の新規感染者を記録しています。
 9月1日から東京都が「もっとTokyo」で都内の旅行を推進しています。しかし、旅行したい人は、この制度がなくても旅行します。今、求められているのは、真に必要なところに財源を振り向けるべきです。経済や社会のシステムを守るために必要なのは、いつでも誰でも受けられるPCR検査の拡充で、体調不良、無症状の新型コロナ陽性者を見つけ隔離し、適切な療養を行うことです。松戸市では年齢制限のないPCR検査の助成を行っています。本区でも、東京都の委託事業による無料検査に頼りではなく、区の責任で区民に検査の機会を増やすべきと思うがどうか。
 区民の命を守り、医療崩壊を防ぐには、発熱がコロナによるものなのか、それ以外の原因によるものなのかを迅速に突き止めることが重要です。発熱で体調不良の方が、発熱外来を自力で調べるのは大変困難です。デジタル化の推進は誰もが使いやすくすべきで、区のHP上でファイル形式ではなく、そのまま発熱外来一覧が見られるように改善してはどうか。また、医療現場の混雑を緩和し、区民の安全を高めるために医師会の協力を仰ぎ、立石・金町の休日応急診療所を夜間や土日でもPCR検査が受けられる臨時の発熱外来として、機能拡充するべきと思うがどうか。

 検査の重要性は、クラスター発生を抑えることにもあります。これまで行ってきた高齢者施設、保育施設での検査を継続し、さらに小中学校の職員、児童生徒も定期的なPCR検査の対象とし、若年層のコロナ抑制をはかるべきと思うがどうか。東京都の事業として、有症状の20代~40代に抗原検査キットを配布していますが、区民が普段からコロナ感染の備えとして、年齢や症状にかかわらずPCR検査キットや抗原検査キットを手に入れることができるように、区内の販売店と協力し、検査キットに助成を行うべきだと思うがどうか。

 高齢単身者や、老々介護の世帯ではコロナに加え、サービスが利用できないことが生死にかかわる問題にもなります。葛飾区ではコロナ陽性で介護サービスを受けられなかった人数を把握していません。介護事業所も感染防止のために陽性者にはサービス提供を停止する方針ですが、高齢者と従事者の命と健康を守るためには、現場の自己責任にせず、双方の間に立って安全に行えるサービスの基準を作り、必要としている高齢者に最大限サービス提供ができる体制を整えていくべきです。またそのために福祉従事者、事業所を支える支援策を強化すべきではないか。

 国民健康保険に加入している方がコロナに罹患した場合や、有症状のコロナ疑いで療養のために労務に服すことができない方には、新型コロナの傷病手当が金支給されますが、個人事業主は対象外となっています。コロナに罹患すれば国の制度からこぼれた方たちに区独自の傷病手当金を作ってはどうか。
 また広く住民への臨時特別給付金を実施すべきと思うがどうか。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料によると、若者ほど失業率の上昇が大きいという調査結果が出ています。特に学生アルバイトは新型コロナの影響により減収や失業をしても、学生のアルバイトであるがゆえに失業者として認識されにくく、生活困窮、学業の継続困難という大変重大な問題の原因となっています。コロナ禍での若者支援として学生や若い労働者のための生活支援策を打ち出すことを求めます。

 我が党ではかねてよりコロナ禍で支給されてきた各種給付金は収入認定から除外すべきと訴えてきました。政府はコロナ給付金を公営住宅の「家賃算定の対象から除外するかは自治体の判断で可能」と答弁しました。これを受けて兵庫県では家賃算定の収入から除外しました。本区でも区営住宅と国民健康保険料の算定額から除外していくことができるのではないか、また都営住宅の家賃算定も除外するよう東京都に求めるべきと思うがどうか。

 この夏、東京でも過去最多の猛暑日を記録しました。熱中症予防のために冷房が必要ですが、電気代の上昇が家計を圧迫しています。松本市、会津若松市では低所得者へのエアコン等の光熱費の助成制度を実施しました。本区でも法外援護金に夏季の電気代と、エアコンの設置助成を加えることを求めます。また生活保護世帯以外にも、住民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯も対象にするべきと思うがどうか。

 次に、災害時の通信対策と気候変動対策についてです。
 6月4日、京成本線荒川橋梁線路内で、初めて夜間水防訓練を実施しました。私も参加させていただきましたが、線路内での作業は約50分で完了しましたが、台風などの直撃の悪天候では、迅速かつ円滑に越水防止工法の遂行には、困難をきたすことも考えられます。しかし、この訓練は大きな意義を持つものだと思います。
 荒川橋梁の堤防部は周辺の堤防に比べて低く、大型台風等による増水時は越水する危険性が高く、2020年の台風19号の時は、増水しましたが氾濫を免れました。仮に決壊した場合は葛飾から八潮に及ぶ約1800㌶浸水し、約30万人が被災すると想定されます。抜本的な解決となる京成本線荒川橋梁掛け替え事業は2037年完成予定であり、区民の命と財産を守る上でも、また地域の願いであり早期実現が求められています。

 災害時に大事なのは、正確な情報の伝達し、必要な情報の取得です。
 しかし、こうした必要性を根本から揺るがす事態となりました。
 今年の7月2日からおよそ3日間にわたって続いた、KDDIの通信障害は規模の大きさや長時間に及び、社会的にも極めて大きな影響をもたらしました。
 本区における、この通信障害で被った状況について答弁を求めます。
 さらに、8月3~4日にも、東北地方における大雨の影響で山形県や福島県で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクで通信障害や停電などが発生、さらに、8月25日夜に起きたKDDI通信障害は、東日本16都道府県の利用者最大8万3000人に影響が出たことが明らかになっています。連絡の手段がなく命にかかわりかねない通信網の不具合が、デジタル社会のもろさを露呈しました。
 これまでの大規模災害時にも、通信障害が問題になりました。
 災害時の通信障害に対する本区の対策についてはどのような検討、対策が取られているのか。
 住民への情報伝達ツールとしての防災行政ラジオですが、現在およそ280の自治体が導入しています。
 本区でもFMかつしかと連携しますが、最大限その活用を図るために、災害時の情報取得手段の一つとして防災行政ラジオをの積極的活用、各戸への配布も検討すべきと思うがどうか。

 過去にない記録的な猛暑、集中豪雨、大型台風などの自然災害が多発するなど、気候変動の影響が身近に迫っている今、危機的な状況を自らの問題と認識し気候変動への対策を加速し、また行政が先頭に立ち真剣に環境対策を実施していく必要があります。
 そこで、本区が取り組むべき方策について質問します。
 第1に、Zebreadyの認証をうけた建築物への転換です。
 本区の第一号は、奥戸に建設する清掃事務所が第一号となります。今後、学校を始めとする公共施設のすべてZebready認証をうけた建築物とするべきではないか。
 ZebReadyの認証とは、構造物や効率的な冷暖房、特殊な窓等で50%の省エネを実現することですが、完全なZeb化とは、その建物にさらに50%の創エネルギーで完全に脱エネルギー化を図ることです。
 今後の学校をはじめ公共施設の在り方として、これを目指すべきだと思いますがいかがでしょうか。

 同時に区内公共施設には、太陽光発電が設置されていますが、まだ、少数です。加えて、発電量が小さいのが現状です。そして発電した電力を最大限生かすのには蓄電池の設置も欠かせません。計画事業として、学校を始めとする公共施設に太陽光パネルの増設と蓄電池の設置によって発電量を増やす計画とすべきと思うがどうか。

 環境省によると住宅を含む家庭部門のCO2削減目標は(2014年比)66%と他の部門に比べて最も高い数値が設定され、住宅の断熱による省エネルギー化は重要な施策の一つとして位置づけられています。省エネ化のメニューのひとつとして断熱窓への改修も加えるべきではないでしょうか。

 本区における運輸部門の二酸化炭素排出量のうち、約90%が自動車由来のものです。本区の庁舎の公用車は201台ですが、電気自動車・燃料電池車はわずか7台であり、温室効果ガスを出さない電気自動車などへの計画的な切り替えが必要だと思うがどうか。

 エネルギーオフグリットの街を目指し、川の水流で発電する新しい水力発電、または、上下水道を使用して小水力発電が見直されています。24時間発電が可能で天候に左右されにくい安定的な省エネ対策であると同時に、何よりも温水効果ガスの排出が少なく、地球環境に負荷をかけない再生可能な自然エネルギー源です。本区でも水力発電という先進的な取り組みを検討してはいかがでしょうか。

 次に、私立保育園パート補助金誤支給について伺います。
 8月31日の保健福祉委員会で、区長が出席、誤支給分の返還を求める方針に戻し、区長は陳謝しました。
 発端は、区長が「人件費に使われた補助金は返還を求めない」と発言したことにより、区政を混乱させたものに他なりません。これによって、事務手続きによる5億円もの誤支給が発生も大問題ですが、区長発言が、区政に対する信頼を失墜させた政治責任の問題です。
 今定例会で区長は既に記者会見で、3カ月20%減給表明しました。しかし、区政の混乱への責任が欠如しているのではという疑いが広がっています。区政の混乱の責任は、区長自身にあることは明白です。
 9月1日、私立保育園園長会で謝罪と報道されましたが、関係者の怒りと不信は増幅しています。
 区長がやるべきは、先頭になってすべての保育園を訪問し、誠実に対応し打開策を考えることです。
 誤支給されていたパート保育士への補助金は、今年4月からは、本来の支給額に是正され減額されました。私立保育園は、パート保育士を確保するために保育園の負担で保育士を雇い続け、誤支給されていた給与をパート保育士に支払い続けており、園の運営を圧迫しています。
 今年度4月から減額したことによって各保育園が、何人分のパート保育士の雇用を維持し、各保育園の実害がいくら生じているのか早急に把握することが必要であり、8月31日の保健福祉委員会でわが党議員が質問しましたが、把握できていません。その実数を把握するとともに、4月にさかのぼってその必要額を補てんすべきと思うがどうか。

 誤支給の返還を求めることによって経営できなくなる保育園を生じさせないためには思い切った補助制度の抜本的な改善が必要です。
この事件を契機として、葛飾区の保育を充実させるために、以下の提案をします。

 第1に、パート保育士への処遇についてです。
 党区議団は、この問題が生じてから、特別区のパート保育士の補助制度の比較を調査しました。多くの区が、本区よりもかなり充実した制度を持ち、時間単価も大きいことがわかりました。中央区の延長保育士加算は、月80時間、1時間を超える延長保育施設では、月253,920円で、大田区でも、月80時間257,320円になっています。葛飾区と同じく、月60時間104,460円と同額の区がありますが、最低クラスですがこの現状をどう認識しているか。パート保育士への補助制度の見直しが必要だと思うがどうか。

 第2に、保育所の定数に対して保育士を配置することです。
 学校とは異なり、保育所は、基本的に実保育人数で、保育士が配置されています。
 昨年、コロナ対策で、結果的に通年「0歳児」担当職員が定数分年度当初から措置されていました。
 今年度は当面9月まで定員分全員の人件費を措置されましたが、10月以降も継続して定員分の人件費を確保すべきであり、来年度は、当初から年度末まで、通年で人員配置するべきと思うがどうか。
 1歳児の職員配置基準を本区では5対1としています。1歳児保育は、現場では困難を極めるといわれ、改善を要望する声が少なくありません。この基準を改善してほしいという要望が寄せられています。子ども4名に対し職員1名へとすべきと思うがどうか。
 その他の2歳児6名、3歳児15名、4・5歳児30名に1人の保育士配置基準を充実するべきです。年度当初から受け入れ児童定数で保育士を配置することが、保育所の安定的な運営に資するものと思うがどうか。

 第3に、保育所の新設、建替えに区の独自補助制度を創設することです。
 国基準は、規制緩和でホールや園庭がなくても建設な規制緩和が行われました。これにともない、保育園整備のための国基準も変わりました。しかし、葛飾の保育を築き支えてきた社会福祉法人の保育園は、園庭があります。しかし、こうした保育園の建て替えの時に園庭に対する補助はなく、法人の独自の財源で整備しなければなりません。そのために、法人が計画的に積立て、工事の完了にともない不足が生じたら融資も必要になります。
 園庭のある保育園が園庭を引き続き維持するためには、区独自の園庭などの設置についても独自加算を設けることが必要だと思うがどうか。

 第4に、葛飾区だからこそ保育士として働きたいと思える制度の導入が必要です。
 保育関係者では、「松戸手当」が有名で、これは人件費への直接補助です。
 松戸市の「手当」は、常勤で最高78000円、パート保育士も勤務時間に応じて最高45000円の直接人件費補助を行っています。さらに、市内の保育園に入所させると保育料27000円減額されます。
 こうして、葛飾区の私立保育園が選ばれる制度を実現することが、保育の質の向上と保育所の運営の安定化につながると思いますがいかがでしょうか。

 以上の改革に着手することを強く求めるものでありますが、この間、保育に係る国や都の規制緩和と保育行政の問題点、区の保育政策は国、都の言いなりで現場の保育関係者に困難を押し付けてきたことを指摘しなくてはなりません。

 子どもの権利条約を我が国が批准し、「子どもたちに最善の利益」と謳いあげ、すでに28年経ているというのに、保育士配置の国基準は、70年以上にわたって変わっていないことが「保育において最善の利益」が保障されていないことが端的に表れています。
 都加算を引き続いているといっても反論にはなりません。
 なぜなら、ゼロ歳児の都加算は、子ども2名に対し保育士1名でしたが、国基準の3対1に後退させました。
 私立保育園で働く保育士の待遇を公務員の水準に近づけようという東京都の「公私間格差是正事業」という都独自の賃金助成制度も廃止され、公務員との格差は広がる一方です。国の規制緩和は、公的保育が営利企業にも開放され、低賃金の状態を野放しにしています。  
 保育士の低賃金が低いことは社会問題になっており、保育士の資格を保持しているのに保育以外の職につかざるを得ない実態も問題になっています。
 これは、国会で保育士の低賃金についての質問に「保育士の95%が女性であることから不適切ではない」と答弁しましたが、女性の賃金だからこの程度で良いと女性の賃金差別を助長するに等しい態度です。区長は、こうした国の姿勢を唯々諾々と追認してきたのではありませんか。保育士の低賃金の実態と現実をどうとらえているか、答弁を求めます。

 派遣労働が全産業に広がるような労働法制の規制緩和とともに、労働者の多くが共働きをしなくては生活が成り立たなくなり、高まる保育需要のなかで保育の重大な規制緩和が行われてきました。
 1998年、各月齢児のクラスに正規職員が一人いれば、その他の保育士は非正規でよいとし、公私問わず、非正規保育士の割合が大きく広がることになりました。
 そして、さらに2021年3月19日付の厚労省児童家庭局長通知「保育所等における短時間勤務保育士の取り扱いについて」では、「常勤が望ましい」としつつ、これまで、「各組に1名の常勤配置」の義務を解除し、「常勤配置しなくても非常勤保育士を充てても可」とする内容としました。つまり、全員非正規保育士でも構わないということになります。
 そこで伺いますが、この通知の取り扱いについては、単純に受け入れず、できる限り正規で、パートはあくまでも補完的なものとして公私立保育所に指導すべきと思うがどうか。

 以上ですが、答弁いかんでは再質問させていただきます。

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