2022年第四回定例会一般質問(質問者:三小田准一)

開催日 令和4年11月29日

 日本共産党葛飾区議団を代表して一般質問を行います。
 最初に新型コロナ対策についてです。
 新型コロナ第8波への警戒が必要です。ワクチン接種と合わせ、体調が悪くなったら速やかに医療機関にかかれるようにすることが必要です。しかし、区内では、発熱外来を実施している130か所の内、日曜日18ヶ所、祝日は9ヶ所で、休日発熱外来が不足しています。
 去る11月4日、わが党議員団は、区長医師会館での発熱外来を求める緊急要望をに行い、実施されることになりました。
 地域の医療機関の参加を増やし休日発熱外来診療ができるよう特別な補助を実施することや、年末年始も発熱外来診療が実施できるようにすべきと思うがどうか。
 東京都は、都内の感染者数を、毎日HPで情報提供していますが、本区では週1回です。感染状況を毎日、正確に伝えることは、区民への注意喚起として重要と思うがどうか。

 次に、物価高騰対策について質問します。
 物価高騰はあらゆる分野に及んでいます。10月の消費者物価指数で試算すると2人以上の世帯では年間13万1千円の負担増になります。
 今日の物価高騰打開のためには、消費税減税と賃上げを軸に実態経済を立て直すことが必要ですが、岸田政権は、そこには背を向け、物価高騰と異常円安をもたらしているアベノミクス・異次元の金融緩和に固執し、電気・ガス料金の抑制など、部分的な対策にとどまっています。
その一方で、公的年金は6月支給分から減らし、10月から高齢者の医療費窓口負担の一部2倍化、そして今、介護保険の大改悪を狙うなど、国民に痛みを押し付けています。
 この間の岸田内閣の支持率低迷と閣僚の辞任ドミノの根底にあるのは、物価高騰に対する無為無策への批判に他なりません。

 身近な区政は、こうした国の悪政の防波堤にならなければなりません。
 先の定例会では、国の非課税世帯への5万円給付に合わせて、区独自に均等割り課税世帯への緊急支援給付金、そして今定例会の補正予算案では、法人事業主に15万円、個人事業主に3万円の給付金が盛り込まれています。
 わが党議員団は、事業主や区民に対して一律の給付金を繰り返し求めてきましたので、実施については歓迎するものです。しかし、コロナと物価高で暮らしと営業はいっそう深刻です。

 区民への給付金は、住民税均等割のみ世帯に限定せず、さらに拡大し、事業者には、今回の給付金とは別に、固定費や燃料費の補助などの支援を行うべきです。

 葛飾区は、プロパンガスの利用率が比較的高い地域です。プロパンガスは、都市ガスと比べ価格が高いにも関わらず支援策がありません。政府は、都市ガス代の15%ほどの軽減策を出していますが、プロパンガスに対して区独自に負担軽減をすべきです。

 私立保育園への補助金誤支給は、その補助金を活用し、雇用した保育士を解雇することなく、4月以降も保育事業所が人件費を支払っています。そもそも区の間違いによって保育事業所の負担が増えたわけですから、その分を補てんするのは区の最低の責任です。雇用を継続するためにも緊急対策としての補助を行うべきです。

 東京都城東地域中小企業振興センターでは、大規模改修を理由に信用保証協会は千住支店に統合されました。今までは、相談や保証・条件変更など、テクノプラザかつしかとワンストップで利用することができました。統合されるにあたって区としてどのような対応を行ったのか。また、信用保証協会を元に戻すことを検討すべきです。夫々答弁を求めます。

 来年10月の消費税インボイスについて、財務省は、約161万の小規模事業者が新たに年15・4万円の消費税を負担すると試算しています。全国建設労働組合総連合、声優、アニメ、演劇、漫画の4団体、農業関係者、日本俳優連合、映画監督や撮影などの映画スタッフでつくる日本映像職能連合など、あらゆる分野から、税負担が重くなり、取引から排除されると、導入中止を求める声が広がっています。
 一方、福島市では、「インボイス制度の登録がない場合、水道局及び下水道室発注の工事等の受注ができなくなります」、広島市では、JR広島駅のタクシーの入講管理規定に「駅構内に入るものは適格請求書を発行しなければならない」と、インボイスの未登録業者を排除しようとする動きもあります。
 区として区内免税業者数、課税業者への移行状況など、どのように把握しているか、またインボイス制度の導入によって区内事業者が受ける影響をどうとらえているか、伺います。

 シルバー人材センターでは、消費税分を会員かセンターか、どちらかが負担することになります。第3回定例会では、わが党議員団の質問に「シルバー人材センターと密接に連携し、適切に対応する」との答弁でしたが、インボイスの影響について、どう検討したのか、何らかの対策を講じているのであれば、お示し下さい。
 シルバー人材センターについては、インボイス制度の適用除外を求め、これを機に、直接雇用することも検討すべきと思うがどうか。
 大混乱を招くインボイスの導入は中止するよう国に求めるべきと思うがどうか。

 学校給食の無償化に踏み出したことは大いに歓迎されますが、そのために給食食材を安く調達しようとして、これまで学校給食を支えてきた、地域の青果店、精肉店、豆腐店などの納入業者を排除することはあってはならないと思うがどうか。

 生活保護費の削減について、憲法25条の生存権と生活保護法に違反するとして、各地で生存権裁判が闘われていますが、大阪、熊本、東京の3地裁に続き、10月19日、横浜地裁において「削減は生活保護法に違反する」と処分の取り消しを命じました。
 生活保護利用者の生活を守るために以下のことを求めるものです。
 1、生活保護世帯の冬季加算の更なる上乗せ、またエアコンの購入・設置費用助成、使用にともなう電気代を助成すること。
 2、生活保護申請をためらわせる扶養照会は廃止し、ポスターを張り出すなど、生活保護を必要とする方が、ためらわずに相談や申請ができるようにすること。
 3、生活保護を利用しながら大学などに進学することは、原則認められていません。横須賀市では、市として独自に大学等への進学支援を始めました。本区でも実施すること、それぞれ答弁を求めます。

 年末年始について、生活が困窮したり、住まいを失ったりする恐れのある区民のために、区役所2階の区民ホールや区民事務所などを相談窓口として臨時開設すべきと思うがどうか。

 次に学校プールについて質問します。
学校プールの廃止がいかに道理がないか、そのことは第3回定例会の教育長人事案に、与党議員を含む10名が反対したことに現れました。かつてない事態です。また、今年、教育施設のための基金500億円を他の基金と統合したことが、本来、教育施設に使われる予算を見えにくくし、プール廃止を加速させています。

 学校外プール、特に民間プールを使った水泳授業は、企業が撤退すれば教育が止まる危険と隣り合わせです。
今年、西小菅小学校、東綾瀬小学校が利用した綾瀬駅前の民間施設は12月末で営業終了を発表ました。来水泳授業を民間に委ね、そこが撤退した場合、義務教育が提供できない危険性について、教育長はどう考えているのか、伺います。

 水泳授業は、海や川での水難事故から命を守る教育です。
 その水難事故を想定した着衣泳について、学校外プールでは実施されませんでした。
 着衣泳を実施するかしないかは各学校の判断とされていますが、世界的な気候危機による海水面の上昇、度重なる超大型台風と、東部低地帯で暮らす我々は水災害と隣り合わせです。津波・洪水・不慮の事故から命を守るための教育や実習に、真剣に取り組むべきです。
 和光大学の制野俊弘准教授は、宮城県東松島市での中学校教師時代に、「進む」こと中心ではなく「呼吸」に中心をおいたドル平という泳法の指導に力を入れました。教え子の一人は東日本大震災の津波で川に流されましたが、ドル平で九死に一生を得ました。制野さんは「水泳の授業で自分の命を守る力を子どもたちにつけることは、公教育の最低限の使命」だと語っています。
 国土の大半がデルタ地帯にあり雨季には何度も洪水に見舞われるバングラデシュでは、水の事故から子どもの命を守るために、2015年から水泳を必修化し、泳ぎ方と同時に救命術も教えています。2014年の韓国セウォル号事故や、2020年香川県与島沖フェリー沈没事故を見ても、水泳授業と着衣泳の重要性がわかります。
 学校外プールで着衣泳の指導ができないのであれば、学校内のプールで実施すべきです。着衣泳の実施は、学校の判断ではなく、区教委の水泳教育として位置付け、命を守る力をつけさせるべきです。答弁を求めます。

 学校外プールでは、夏季休業中の水泳指導も実施していません。
 児童生徒一人ひとりの泳力の到達度は違います。それだけに夏季休業中の水泳指導は重要です。ところが、学校外プールでは夏季休業中の水泳指導をとりやめています。学校プールの廃止方針が夏季休業中の水泳指導をやらない理由になっています。
 ある保護者は「学校にプールが無いせいか授業回数が少なく、長男も次男も泳げないままです。夏休みの水泳教室は少人数で教師が丁寧に教えてくれ、私はそこで泳げるようになった。民間の水泳教室はお金が高く負担できない家庭もある」と述べています。経済格差が命を守る教育の格差を生み出しています。
 水泳指導の民間委託によって、夏季休業中の水泳指導が中止となる現実は、明らかに水泳指導の後退です。夏季休業中の水泳指導の公平性をどう保つのか、答弁を求めます。

 学校プールの廃止方針は、教育予算の配分にも矛盾が生じています。
 区教委は、学校プールは、建設費や維持費で1校当たり年平均770万円、民間プールは年507万円で安く済むと試算していましたが、想定以上の費用がかかりました。
 学校外プールの利用で、教育効果を上げようとすれば費用がかさみ、費用を抑えようとすれば教育効果がしぼむという相反関係が浮き彫りになっています。
 学校プールを廃止するために、前期実施計画にあわてて金町公園プールの改修を位置付けながら、突然撤回しました。いかに計画性のない思いつきだったかは明瞭です。
 当初の計画では、金町公園プールの改修費用は9億円、あと1か所の新設で合計2か所で18億円でした。
区教委の方針では、学校内に屋内温水プールを作った場合、1か所6億円と試算しています。私は、昨年9月の文教委員会で、水元・道上・二上の3校に18億円で屋内温水プールを作った方が、子どもたちや区民から歓迎されると指摘しました。
 先月、中央区立城東小学校の学校内温水プールを視察ました。中央区では区立小学校4校を屋内温水プールにし、授業以外の時間は区民に開放しています。
 学校内に屋内温水プールを作り、地元住民にも開放する方向に転換すべきと思うがどうか。

 学校から移動を求められる水泳指導には、たくさんの問題があります。
 水泳のある日は時間に追われ、朝の会や給食、昼休みの時間が削られ、前後の授業や子どもたちの集中力にも影響がでる。プールでは先生がすべての生徒を見ていられないので成績や細かな評価ができない。教室やプール、バスに置き去りが無いか、行き帰りの確認にも神経を使わなければならない。教師の負担軽減の名で水泳指導の民間委託をしても、学校外プールを利用することが、教師や子供たちに新たな負担を生んでいます。こうした負担をどう解消していくのか、答弁を求めます。

 いくつかの学校で実施したアンケートは、区に好都合な回答を誘導するような内容になっており、意味がありません。
 まずは今年12校で実施した結果の検証が必要です。それをせずに、実施校を拡大することはあってはなりません。検証し、その結果を公表すべきです。答弁を求めます。

 学校プールに日よけを設けて全面的に暑さ対応をしている区は、23区中4区あります。現場を視察して本区も全面的に取り組むべきと思うがどうか。

 学校プールの維持は、学校ではなく自治体、すなわち教育委員会が設置と施設管理に責任を持つのがルールです。学校プールの廃止という間違った判断をし、水泳指導の後退を学校の責任にするなどとんでもありません。学校プールを維持することは教育委員会の任務であることを強く指摘するものです。

 次に公衆浴場について質問します。
 まず公衆浴場、いわゆる銭湯の果たす役割と現状についてです。
 銭湯は、いうまでもなく、区民の公衆衛生、地域のふれいの場、健康増進に重要な役割を果たし、加えて、日本独特の生活文化を発信・継承する存在であり、重要な観光資源ともなっています。
 自家風呂があっても、健康増進とふれあいの場として銭湯を利用する方も多いのが実態です。
 ところが平成11年79か所あった区内の銭湯は、現在24か所の3分の1に減少しています。
 都市計画マスタープランの7地域でみると、水元地域0か所、奥戸・新小岩地域と金町・新宿地域は1か所、柴又・高砂地域2か所、その他の地域は、4か所から8か所と、地域偏在があります。
 憲法25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。
 この憲法25条との関係で、区内の銭湯の果たす役割と現状をどう認識しているのか、区長に伺います。

 「公衆浴場の経営の安定をはかるための特別阻止に関する法律」第3条では、国と地方公共団体の任務として「公衆浴場の経営の安定を図る等必要な措置を講ずることにより、住民の公衆浴場の利用の機会の確保に努めなければならない」と定めています。
 区民から「近くに銭湯ができるとよいが、せめて近場の銭湯を回ってくれる巡回バスで、家の近くから乗車できるとよい」と切実な声が寄せられています。
 法で定められた任務に照らしても、区民の利用の機会を確保し、利用者を増やし、経営の安定化を図るため以下の取り組みを求めるものです。
 1、無料の巡回バスの運行です。
 銭湯の空白地域から他地域の銭湯への無料の巡回バスを運行してはどうか。

 2、公設の公衆浴場等の整備です。
 東日本大震災の時に、水元学び交流館が被災者の避難先になったのは、風呂と和室があったからです。公設の公衆浴場等を整備することを災害対策としても位置付ける必要があります。
 たとえば西新小岩のたつみ憩い交流館の風呂を廃止したあとも、そのまま入
 浴施設は残っています。改修するなどして復活させてはどうか。
 高砂団地跡地に特別養護老人ホームを整備する際、公設の公衆浴場を整備してはどうか。
 23区内にも公設の公衆浴場がありますが、区として調査してはどうか。

 3、くつろぎ入浴事業の拡充です。
 くつろぎ入浴事業は、70歳以上の区民に、くつろぎ入浴証を交付し、半額で
銭湯が利用できる事業です。いつでも利用できる事業として実施している区は、本区も含めて5区、その他の区は、回数の制限などがあります。
しかし、対象年齢や本人負担については改善が必要です。70歳以上となっている区は、本区も含めて8区で、15区はそれ以下となっています。江戸川区は60歳に引き下げたことによって利用者も増えているとのことです。
対象年齢を70歳以上から60歳以上に、そして本人負担も引き下げてはどうか。
 入浴証は、現在、対象者に銭湯で引き換えるための申請書を送付していますが、直接、入浴証を交付する仕組みに変更してはどうか。
 隣接自治体との相互利用では、足立区の2か所の銭湯で、30枚のシール付き台紙を使い、シール1枚渡すことによって、半額で利用できるようになりました。江戸川区との相互利用も実施すべきと思うがどうか。

 4、ふれあい銭湯事業の拡大です。
 区の事業として介護予防につながる体操やレクリエーションを実施している銭湯が9か所あります。
一人暮らし高齢者が増える中、介護予防につなげるとともに、高齢者を孤独から守る場とするためにも、実施している会場では、当日の参加者が無料で入浴できるよう支援してはどうか。

 5、区独自の1010、銭湯クーポン券を配布することです。
東京都は都立文化施設やスポーツ施設利用者に無料で入浴できる1010クーポン券を配布していますが、区独自に検討してはどうか。

 6、銭湯ポスターの活用です。
 小中学生に銭湯ポスターの作製を依頼し、銭湯の脱衣所に貼りだし、地域の話題にしたり、優秀ポスターに1010クーポン券のCMをつけ、街頭に貼りだし銭湯利用を呼びかけてはどうか。

 7、銭湯の魅力をもっと発信することです。
 浴場組合のHPでは各銭湯の特徴や歴史、取り組みなどが写真や文書で整理されていますが、動画や音声でも伝えられるようHPの作成を支援し、伝統・文化や観光資源としての銭湯の魅力をもっと発信してはどうか。
町工場物語のように漫画でのアピールも必要と思うがどうか。以上、答弁を求めます。

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