2022年葛飾区議会第四回定例会を終えて

2022年葛飾区議会第四回定例会を終えて

1、今定例会は、物価高騰で区内中小企業や区民の暮らしが脅かされているなか始まりました。この間、新型コロナ第8波により、感染者が増え続けています。党区議団は、定例会の度に区独自の直接支援を提案し、さる11月4日に2023年度予算要望書とともに年末年始までの緊急要望書を提出しました。今定例会の補正予算には、区内事業法人に15万円、個人事業者に3万円の支援を行うことになりました。しかし、この金額としたことには、明らかな根拠がなく、この予算を執行した後に、財政調整基金の残高は、183億円であり、引き続く支援が求められています。区医師会館で年末年始を含め12月10日から休日の発熱外来を再開することになりました。区内の医療機関が逼迫し始めていることから、発熱など症状のある区民に無料の抗原検査を年度末まで実施することになりました。また、保健所も年末年始の相談体制を強化することになるなど申し入れの内容が実現したことは貴重な一歩だといえます。

1、私立保育園パート保育士補助金誤支給問題では、今定例会の保健福祉委員会で当面の方針が示されました。しかし、区に提出済みの決算をあらためて3年分提出を求めたり、区が手続き書類を11月25日に一方的に発送し、通知から60日後の23年1月24日までに返還計画の提出、90日後の2月24日までに手続きを完了することを求めています。きわめて官僚的な態度であり、保育園の実情に寄り添った態度だとは言えません。現場に足を運んだのは、わずか15園であり、決算認定の際の付帯決議である、「保育所の安定的運営に十分配慮」することにも抵触するものです。根源には、この問題に対して区長が反省していないからにほかなりません。また、今定例会では、株式会社が運営する認証保育園あっぷるキッズ青戸へ不正に交付された補助金3400万円の返還を求める「訴えの提起について」が議案となりました。こうした事態になったことは、株式会社が保育に参入し、保育を儲けの道具にしていることに他なりません。安心して子どもを保育できる環境を整えていかなくてはなりません。

1、学校プールの民営化により、20校が夏休みのプール指導をやめてしまい、着衣泳の実施は73校全校から21校に後退しました。今こそ必要なのは、プール指導の民営化による弊害を検証することであり、その解決のためには、学校改築の際、温水プールを設置することです。今定例会でも水元地域の元教師、父母、住民の会から「着衣泳に関する請願」と「学校外プールの見直しに関する請願」の審査が行われました。最終本会議では、無所属議員との認識の共有が進んでいます。総務委員会では、「内部統制の整備と監査の充実に関する請願」「インボイス制度の実施中止を求める意見書を政府に送付することを求める請願」も党議員団とともに3~5人が無所属議員と賛成を表明しました。

1、今定例会の文教委員会で「学校適正規模等に関する方針」の報告が行われました。小規模校の統廃合を目的とする方針にほかなりません。なぜなら、大規模校に対する適正化の具体化はなく、小学校12クラス以下、中学校8クラス以下の学校に「取り組みを着手する」として、木根川小、南綾瀬小、中川中が該当する学校としました。この計画は、10年後の推計を載せていますが、10年後には、適正化に着手するのは小学校8校、中学校7校、計15校の統廃合計画となります。学校の存在は、地域にとっても欠くことができない施設であり、防災拠点としても位置付けられています。地域で関係者との連携を図り、子どもと学校を守れの声を広げていかなくてはなりません。

1、今定例会では、行き詰まった立石駅北口再開発事業を救済するために計画された区役所移転のための「区役所の位置を定める条例」の議決は今定例会の最大の焦点となりました。地方自治法で、区役所の位置は、区民にとってさまざまな利害が及ぶ大きな事項なので、その変更、決定にあたっては、慎重たらしめよという趣旨であり、出席議員の三分の二以上の同意を要することとされています。この条例をゴリ押しするために幾重にも異例の対応が行われました。総務委員会では、再開発の問題は所管外だと質問を封じたのは、再開発と一体の区役所移転に説明がつかないことと表裏一体となっていることを示しています。区役所移転の区民合意がないことは明白であり、反対する地権者・借家人が存在しており、現時点の「位置条例」の採択は拙速です。なによりも、この議決によって、再開発組合は地権者や借家人との交渉の道具とすることになるのは間違いありません。しかも、異例の記名投票とすることで与党内から異議を封じ込めるための方法がとられました。この議決は、葛飾区議会に汚点を残すものであり、新たな問題を生じさせることになります。地権者・借家人の数さえ確定できず、一度も面会していない権利者は12名にも及びます。再開発法、土地収用法にもとづき土地・物件調書を再開発組合が策定し、区職員に押印させることも重大です。権利変換計画の認定申請手続きをスケジュール通りに進めるために、丁寧に説明するといいながら、強権的な手法で強引に進めています。長年、反対、疑問を持つ地権者・借家人を排除してきた経緯から、今後、都収用委員会に対して裁定の申し立てを経て住民訴訟へと混乱が生じかねません。投票結果は、賛成31、反対9で可決されました。

「位置条例」の成立で局面が変わったことは、事実ですが、党区議団は、引き続き区民とともに連携し、議会内外で運動と論戦に全力をあげる決意です。

区役所建て替えより、物価高、新型コロナから区民を守るために奮闘してまいります。

                               2022年12月15日

日本共産党葛飾区議会議員団

よかったらシェアしてね!
目次