2023年第一回定例会代表質問(質問者:中村しんご)

                                      開催日:令和5年2月27日

日本共産党葛飾区議会議員団を代表して質問をいたします。

トルコ・シリアでの大地震で犠牲になられた方々に哀悼の意を捧げますとともに被害に遭われたみなさんにお見舞い申し上げます。国際社会は戦争ではなく被災者への救援がなによりも求められていると思います。

区長は、2月15日の所信表明の冒頭で新型コロナ対策に加えてロシアのウクライナ侵略などの影響で原油や穀物などの価格が高い水準で推移し、区民生活に多大な影響を及ぼしたと述べました。しかし、今日の物価高騰の最大の原因は、我が国が構造的にエネルギー、食糧だけではなく、あらゆるモノを輸入に頼り、今や多額の貿易赤字となっていることに加え、アベノミクス路線以降、異次元の規制緩和という名により低金利政策により円安に歯止めがかからず、物価高騰を招いていることに口をつぐんではいることは許されません。

岸田政権は、ロシアのウクライナ侵略だけではなく、中国の軍拡、北朝鮮の核開発を口実に憲法違反の敵基地攻撃能力の保有のために大軍拡路線も打ち出しています。「反撃能力」などと言い換えていますが、国是としてきた専守防衛を投げ捨てるものです。なぜなら、敵基地攻撃能力は、先制攻撃そのものであり、国際法にも国連憲章にも違反する行動となります。そのために新たに射程3000キロの高性能ミサイルを開発すること等は、軍事対軍事の軍拡競争となり、東アジアの緊張をますます高め、日本が再び戦場となりかねない危険なものです。平和外交に徹するべきです。

まず、2023年度区予算案について伺います。私は、何よりも「誰に寄り添う予算か」が問われていると思います。

長年、区民が願い、わが党も要求した18才までの医療費の無料化、学校給食無償化も本区が最初に表明し、その後、特別区では6区が続きました。帯状疱疹ワクチン接種の改善、インフルエンザ予防接種の改善も区民から歓迎されることだと思います。

しかし、前進した施策が数々あるものの、その目的は、深刻な少子化を防ぎ、経済成長を維持するためだとされており、子どもの権利、豊かな成長発達を正面から据えたものにはなっていません。水泳指導や学校の統廃合などの推進を狙い、産業振興でも駅前の再開発でも誰のためなのかと疑わざるを得ないものもあるからです。

区長は、過去最高の予算規模と言明していますが、区民にとってはたして本当に最高の予算と言えるのか。わが党は、暮らしと営業を守り抜く予算とは言えないことが問題だと認識しています。

昨年、12月の厚生労働省の毎月勤労統計調査では、物価高騰が賃上げを上回り、実質0.9%のマイナスとなりました。

しかし、区長は、特別区交付金が、住民法人税の堅調な推移で77億円の増、特別区民税と地方消費税交付金をあわせ一般財源で93億円の増と言っていますが、一部の大企業をはじめとした好調な企業が存在していることは事実ですが、本区は中小企業の街であり富裕層はごくわずかであり、物価高騰で、生活苦にありながら公共料金の値上げや、消費税をふくめ増税に苦しんでいる実態をどうとらえていますか、また、広がる貧富の拡大についてどのような認識をもっているのか、答弁を求めます。

 2022年度5号補正予算も特別区交付金再算定分だけではなく未執行予算などの減額補正により112億円もの基金積立が行われ、当面、わが党区議団が提案している事業に結びついていません。

 新型コロナ対策は、5類に移行させようとしている国の「様子見」で東京都は、基本的に予算案に計上せず、補正対応だとしています。本区では、当初予算で抗原検査など7月分まで計上したと伺いました。現在、感染者が減少傾向ですが、医療提供体制や公費負担などの継続・拡充が求められています。第九波の感染拡大を決して望むものではありませんが、新型コロナの感染拡大はまさに災害であり、必要な場合、閉会中でも臨時会で対応し、補正予算の速やかな編成が必要かと思うがどうかか。

 過去最高となった2023年度予算に使われている特徴は、今後の駅前再開発を中心とする巨大事業だといわなければなりません。

 前定例会では、「区役所の位置を定める条例」が異例の記名投票で採決が行われました。

 区役所の移転がなければ成立しない再開発そのものに問題があります。しかも多額の税金投入が必要になることは繰り返し指摘してきました。

 2月13日に区都市計画審議会が開催され、立石駅南口西地区再開発についての報告後、質疑が行われました。「立石駅北口、駅南口東地区に続き、「3つ目の駅南口西口再開発で完全に立石らしさがなくなると懸念、結果として、だれでも知っているような店だけになれば、これまでの客を呼び込めなくなり、そこに住む人だけの街になることを懸念する」という発言があり、座長も「立石が死んだ町、失敗のないように」と発言していました。そういうまちづくりになりかねないということを自覚すべきです。

「位置条例」を議決しましたが、施行日は決まっていません。またもや、決まったことのように区の広報で報じたことも問題です。

区に求められていることは、予定通りに工事を進めることではありません。「組合に転居を申し出たが生活再建とは言いがたい物件しか紹介してくれない」「商業棟で商売を続けようにもあまりに条件が悪い位置で納得できない」など様々な意見が寄せられています。なによりも重要なのは、地権者、借家人との合意であり、その前提となるのが「生活再建」にありのではありませんか、答弁を求めます。

巨額の財源を区民本位の予算とするためにいくつかの提案を行います。

第一に、子育て支援策についてです。

まず、ゼロ歳から2歳までの保育料の無償化です。

東京都は、来年度ゼロ歳から2歳までの第二子の保育料を無料にします。その財源を活用すれば2.7億円が措置されることになり、あと6.9億円の一般財源によって、葛飾区の保育料を完全に無料できます。

すでに大阪府守口市、滋賀県高島市、岡山県備前市、大分県豊後高田市で保育料の無料化が実行され、こうした動きを2021年11月15日付のスポーツ報知新聞が「子育てに優しい自治体」として、広がりつつあると紹介しています。

さらに、北海道紋別市も2022年から保育料の無料化を始めました。

学校給食の無償化によって「葛飾への移住を検討している」というお話を伺いしました。

「子育てするなら葛飾」というなら検討すべき課題だと思いますが、答弁を求めます。

次に、学校給食の無償化は、完全にこだわってほしいと思います。

学校現場では、アレルギーや宗教等によって、除去食の提供がなされていることは承知していますが、わずかではありますが完全に弁当持参、主食などのみの提供でおかずは持参という子どもが一定います。そのためには、学校給食にあたる費用の現金給付があってしかるべきであり、そうしてこそ完全無償化となると思うがどうか。

第二に、2月1日から物価高騰緊急対策支援金の申請を受け付け始めました。

しかし、現実の物価高騰にはおよそ及ばない給付金額であり課題があります。国の補正予算で電気、ガス代の支援が始まりますが、これに追い打ちをかけるように四月から新たな電気・ガス代の値上げが発表されています。

いまから、もっと金額を引き上げて支援金給付の第二弾の対策が必要だと思うがどうか。

また、東京都は2025年から大手ハウスメーカーには太陽光を標準装備としました。 しかし、中小建築業者も参入できるようにすべきであり建築労働者への講座の実施や参入するための独自の支援策が必要だと思うがどうか。

第三に、生活保護世帯に対する対策です。

コロナ禍が「日本の貧困」をあぶりだしたと花園大学の吉永淳(あつし)教授が指摘しています。小口資金や特例貸付に殺到させて、本来、生活保護として保護すべき方々を福祉事務所から遠ざけたと指摘しています。

今年度は、五年に一度の生活保護基準の見直しにあたる年となりますが、過去二回、大幅な引き下げを実行してきたこと自体が大問題です。

 各地の裁判で、保護費引き下げ裁判で減額の異議申し立てを認める判決が出されており、市民の生活を守る役割を発揮しつつあります。

すでに伝えられているところでは、これだけ物価高騰が続いているというのに、社会保障予算の抑制策として減額しようとしています。

具体的には、2023年度は、生活保護を利用していない低所得世帯の消費支出にあわせて生活保護基準額を見直したうえで2023年から2024年度は物価高をふまえ特例として一人月1000円を加算するとしましたが、この特例加算後も現行基準に届かない世帯は、基準額を据え置くとしました。

厚生労働省は、10月の改定で生活保護世帯の家族構成や年齢、居住地ごとに試算しましたが、27ケース中、7ケースで改定率が2.5%下回る減額となります。

これだけ物価高が深刻なのに、こうした場合の特例加算をされても現行基準額に届かないので基準額を据え置くという無慈悲な扱いです。

また、75歳に達する高齢単身者世帯(1級地1)の場合、見直し基準額72000円から68000円に減ります。

区長、2023年度の生活保護基準の改定について、物価高騰から生活保護世帯の暮らしを守るために区長会を通じて、国に異議を唱えるべきだと思うがどうか。

 そして、これまで削減されてきた「生活保護費」に鑑み、区独自の「法外援護事業の拡大」に取り組むべきと思うがどうか。

 

第四に、国民健康保険料の値上げについてです。

昨年、11月には国民健康保険料について国の仮係数にもとづく算定額を示しましたが、大幅な値上げになることが懸念されます。

東京都は、2月9日に国保運営協議会を開き、今年明けに都が決定した2023年度国民健康保険の区市町村に課す納付金の決定額を報告し明らかにしました。昨年末に国が示した本係数をもとに納付金額を都として決定しました。

今回、被保険者の減少と医療給付費の増を見込み、これをベースにした一人当たりの保険料は、18万556円となり、前年比で1万3814円、8.27%の値上げとなります。

この値上げは、国保広域化されて以降、最大の値上げになりかねません。

従来、一人当たりの納付今額の伸びが平均を一定上回る自治体への激変緩和策を国・都で行っていますが、国はその額を半減させ、都独自の保険料引き下げの財政支出がされていません。

 区長、国に対して、国の激変緩和としての財政支出を半減したことに対して、区民の代表として抗議すべきではありませんか。そして、物価高騰で区民が大変な時に大幅値上げは到底認められません。区長会として都の財政支出を強く求めるべきと思うがどうか。

 そして、最大規模となった一般会計予算から国保への繰り出し金を最大限活用し、値上げをストップさせる財政支出をすべきと思うがどうか。

 また、今年度からスタートさせた未就学児への国保均等割の半減措置を区独自の予算で無料にすべきと思うがどうか。

 次に、私学事業団総合運動場敷地の取得について質問します。

 この事業もまた、巨額の税金投入となるだけに慎重な対応が求められていると思います。

年初の来年度予算重点事業についての報告の時に、この情報提供があり、1月23日の総務委員会でこの庶務報告が行われました。

 総務委員会で配布された協定書案とは異なる協定書案の説明を後日、受けました。その時点で正式な委員会で説明したものと異なるものであり、協議をするというなら次回の総務委員会の日程が決まっているのでそこで説明があってしかるべきものであります。

 

 第一に、議会への正式な説明とは異なる協定書を、2月1日に私学事業団と協定を締結したことに手続き上の瑕疵があると指摘しなくてはなりません。

 スポーツ施設を新たに取得することは、区民の健康・福祉の増進にとって有益なものと言えますが、この協定の大前提が「サッカースタジアム」を建設することが目的であることです。

 プロサッカーチームを地元で支えるということは官民での力強い連携が必要であり、そのためには区民と民間機関、行政がどう支えていくのかというイメージや実際にプロサッカーチームを支えている事例の具体的な調査も当然必要なのではないでしょうか。

ところが、それをすっ飛ばして、区民、議会に説明もせずに協定の締結はあまりに乱暴ではないでしょうか、答弁を求めます。

第二に、区民と議会への説明責任が果たされていません。

 確かに2021年1月の総務委員会で「サッカースタジアムの検討状況について」という庶務報告が行われ、奥戸の森永乳業跡地、三菱瓦斯化学の所有地、新小岩公園及び、私学事業団運動場が候補地としてあげられて検討したことは事実です。

 しかし、その後、議会では森永乳業工場跡地についての議論をちょうど一年前議論をしてきました。結果として「公有地を拡大するための法律」いわゆる公拡法による取得の断念せざるを得なくなりました。

 しかし、その後、区からは積極的にこの問題に対して「発信」がないのです。交渉相手のあることだから「私学事業団」とは、具体的な名前を伏せた状態でも「この問題では調査検討を進めている」と説明する必要があったのではないか、答弁を求めます。

 

 第三に、莫大な財源を必要とする事業です。

 今定例会では、用地特別会計予算を使い、350億円の起債を起こし、特別区交付金で買いもどす方針を伝えられました。交付金でまかえると説明しますが、交付金も税金であり  さらに、現状の金利でも50億円ほどの減債基金への繰り入れが必要になります。

 また、スタジアム建設の具体化となれば、130億から150億円と説明していますが、定かではありません。2022年11月にまとめられた「サッカー競技場敷地選定検証報告書」をみても、スタジアムができることで「地域経済効果」を描いていますが、想定維持管理・運営費は、ネーミングライツ費ではおぼつかなく、具体的な記載もありません。

 区長は、2月15日のあいさつで、「サッカースタジアムを整備することについて検証したところスポーツ振興にとどまらず、区内の商業や観光業などの地域経済を活性化させ、防災面、環境面からも大きな効用をもたらす」と言いましたが、「検証報告書」からは、とてもそうは読み取れません。

 ちゃんとわかるように説明していただけませんか、答弁を求めます。

 第4に、本区では、社会教育施設の充実が必要です。

社会教育会館をなくし、社会教育施設のプールを学校教育として水泳指導を行い、社会教育としての使用の幅を狭めていることに反省がありません。

足立区や世田谷区、杉並区には、社会教育として使用できる体育館が各地に設置されています。

本区でも計画的にそうした施設を増やしていくべきです。

私学事業団運動場がスタジアムにする工事を始める時に、同レベルの運動施設を整備しなければ、スポーツ施設が減少してしまうので、計画的に区内各地に運動施設を設置し充実させるべきと思うがどうか。

以上ですが、答弁によりましては、再質問させていただきます。

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